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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第163話 ワットによるグランドオープン配信

 お客様6人だけのプレオープンもすんなりと終わった、その日の昼。

 遂に、ワットによるグランドオープンが始まった。


 ジュールのラーメン店営業ではなく、ワットの営業という事で、訪れた人々は困惑した。

 なにより、厨房には行かず、ずっとホールで待っているというその体制(スタイル)も困惑の原因だったとも言える。

 ラーメンの派閥の長達である四天王が他の人達を止めなければ、全員帰ってしまっていただろう。




「お子様ランチ、2つお願いします!」

「お子様ランチですね。はい、どうぞどうぞ」


「レディースランチって、なんですか?」

「女性向けに開発した定食だったり、ヘルシーや美容を求める人達向けのメニューだったり? 本日は日替わりのチキンカレー、大盛りサラダ、あとはアイスジェラートとかです?」

「あら、美味しそう! それじゃあ、それを人数分お願いします」

「はい、どうぞどうぞ。1人ずつ、出していきます」


「オレにも、そのアイスジェラート。あとこのデザートの、ここからここまでをお願いします」

「デザートですねぇ~。食後ですか、それとも今食べますか?」

「プリンとケーキは今すぐに。それ以外は後でお願いします」

「はい、どうぞどうぞ。プリン、それとケーキを先にお出ししますね~」


 ワットの料理を喜んだのは、女性や子供であった。

 ラーメンは良く働く男性向けの料理であり、あまり量を食べられない女性や子供にとっては少々多すぎるという意見もあったのだ。また、男性たちの中には、サラダやスイーツなどの方が好きな方もおり、ワットの方が好きという意見も多かった。

 多くの料理から選べるという、選択肢が多いというのも、高評価だったという。




「----という訳で、これが本日の売り上げになりますね。はい、どうぞどうぞ」


 その日の夜、ドラスト商会の代表の部屋にやって来たワットは、今日の売上表が書かれたノートを提出してくる。サラサラっと、今日の売り上げを確認するシガラキ代表。


「ふむっ……ご苦労様。1つずつの利益は、ジュールよりも高いようですね」

「えぇ、利益率に関しては常識の範囲内ですので、問題ないかと」


 ワットが言うように、利益率に関してはひどく良心的な物であった。

 そもそも、ジュールのモノが圧倒的に利益率が低すぎただけで、ワットの利益率に関してはひどく良心的だと言える代物であった。


「確かに、問題ないですね」

「はい、問題があるか、ないかで、言っちゃえばないですね~。あと、今後は赤字にならない限りは一月毎に----」


 と、淡々と報告していくワットを止めるシガラキ代表。


「その前に、聞いておきたい事がある」

「聞いておきたい事……?」



食堂(ホール)に居ながらにして、料理を出す手腕。よければ、ご教授願いたいんですが?」




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 シガラキ代表に原理を問われ、ワットは淡々とその原理を解説していく。


「マスター・ススリアから受け取りました情報(データ)によりますと、私の【アイテムボックス】にはちょっとだけ、特殊な機能が搭載されているのです。もっと具体的に言えば、私は2種類の【アイテムボックス】を搭載されているんです。

 皆さんが想像するような、長時間保存できる便利な【アイテムボックス】に対して、もう1つ。空間と空間を繋ぐためだけの機能のみを搭載した魔道具【デリバリーボックス】というモノが搭載されているのです」

「----魔道具【デリバリーボックス】」


 それが鍵らしいと、シガラキ代表は話を聞くことにした。


「【デリバリーボックス】は、長期間の保存には長けていませんが、短距離であれば2つの地点を繋いで、モノを移動することが可能なのです。あとは、私を構成するゲンエインジウムにて、厨房内に料理をする個体を数体作成し、彼女達が作った料理を、【デリバリーボックス】越しに、お客様に提供しているというのが、私の仕事の仕方です」

「なるほど。つまり、ワットは複数人居て、厨房内で実際に料理を作っている者が居た、と」

「そういうことです。ホールに居て大丈夫なのかではなく、ホールに居るべき個体が残っているということです」


 だから、プレオープン時に、誰かが厨房に行きさえすれば、この仕組みは分かったのである。


「……なるほど。ちなみに、その【デリバリーボックス】の距離というのは?」

「少なくとも、この施設内であれば普通に届きますが、それ以降ともなると難しいかなぁ~? というくらいです」

「運送業の実用性は薄い……という事ですか?」


 なんとか、この【デリバリーボックス】を、本番の商会に使えないかと提案するシガラキ代表。


「マスター・ススリアなら対処できるかもですが、【アイテムボックス】を2人以上で共有するような事ですよ? それでも、大丈夫です?」

「……個人所有が前提の【アイテムボックス】をそんな風に使えば、問題が出るのは当然、か」


 結局、【デイリーボックス】の実用化は難しいという話になった。


 かくして、ジュールが2日営業したら、ワットが2日営業するという、交代営業スタイルにて、ドラスト商会の食堂は運営していくことになったのであった。




(※)ワット式革新的運営方式

 【料理業務型アルファ・ゴーレムサポートシステム搭載型ゴーレム・モード"仕事率(ワット)"】が、【デリバリーボックス】を用いて行う飲食店経営方式

 ゲンエインジウムを用いて生み出した幻影を厨房に配置して、本体はホールにて注文を聞く役目に徹する。注文された料理を幻影が作り、幻影が作った料理を本体が【デリバリーボックス】を通してやるスタイル

 事情を知らない人が見ると、あたかもホールに居る本体(ワット)が即座に料理を提供しているように見える

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