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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第160話 ワットちゃんの食べ歩き配信

 こうして、起動されたワット。

 腕も太もも、健康的でふくよかな彼女がまず最初に行った仕事とは----




「ふむふむ、なるほどです」


 ----食べ歩き、であった。

 

「ほら、スコティッシュさん? この串焼き、食べたいですか? それとも、食べたくないですか?」

「……私も食べる、ニャア」


 お目付け役、またの名を監視役として派遣されたスコティッシュは、お金を払い、串焼きを買う。

 彼女自身、それほどお腹は空いてはいなかったが、ワットが先に串焼きを買って食べているのだから、それに釣られて、である。


 これで8件目。串焼きを含め、貿易都市バザールで売っている主要な出店を制覇する勢いで、ワットは黙々と食べ続けていた。


 起動するなり、ワットはそのまま食堂へは向かわず、外へ出て行ってしまった。

 シガラキ代表は代表としての仕事、ジュールは食堂で料理の仕事があったため、仕方なくスコティッシュがワットを追いかける事になったのであった。


 慌てて、追いかける事を命じられたスコティッシュが見た時には、彼女は出店の焼きそばを美味しそうに食べていた頃だった。

 その後も、スコティッシュが見ていたのは、ワットが色々な出店のおすすめ商品を食べる姿だけ。

 これじゃあ、ただの食べ歩きするゴーレムではないだろうか。




「ふぅ~、満足。満足っと」


 15件目の焼き芋を美味しそうに食べ終わったワットは、スコティッシュの方を見る。


「では、帰りましょうか?」

「----いや、なんで?!」


 ポカンと、首を傾げるワットであるが、首を傾げたいのは自分の方だとスコティッシュはそう口にする。


「いきなり外に出て、いきなり食べ歩きをして、そして帰る? なんの目的でこんな事をしていたのか、教えて貰わないと困ります! 報告(ほう)連絡(れん)相談(そう)、というやつですよ!」

「……っ! 確かにスコティッシュさんの仰る通りですね。説明は大事です。報告は必要というべきか、それとも必要といわないべきか……そう言われれば、確かに必要ですね」


 頷くワットは、ポケットからメモ帳を取り出して、サラサラっと文字を書いて行く。

 そして書いたメモを、メモ帳から千切ってスコティッシュに渡して来た。


「『ジュールは仕事、ワットは仕事率』?」

「えぇ、マスター・ススリアのいたところでは、そういう意味で使われたらしいですよ。私達の名前の由来というモノです」

「なるほど……? これと、先程の食べ歩きと何か関係が?」

「いえ、あるか、ないかと言われれば、確かにないですね」


 何を言っているのだろうと、スコティッシュはさらに怪訝な目を向ける。


「"ない"のなら、今のメモはいったい----?」

「すいませんね。私はマスター・ススリアから、このような性格設定をされていますため、どうしてもこのような喋り方になっておりまして……」

「……性格はともかく、食べ歩きをした目的を教えて貰えませんか?」


 「失礼しました」と素直にワットは頭を下げて、食べ歩きをしていた理由を説明してくれたのであった。




「簡単に言いますと、(ワット)とジュールでは、商売の仕方が違うという事です」


 まず最初に、ワットはそう話を切り出した。


「ジュールは人を見る事で、その人の好みに合わせたラーメンを作る事に特化したゴーレムです。一方、(ワット)は人ではなく、その国柄に合わせた料理を作る事になってます」

「国柄に合わせた料理……?」

「はい。食べ歩きしてたのも、この国の味がどのような味なのかの調査のためです」


 ワットが食べ歩きをしていた目的は、この国の味を探るためだったという。


 薄味が好きか、濃い味が好きか。どのくらいの硬さが好みか、どのくらいの量が良いのか。

 そういった、"この国における標準的(スタンダード)な美味しい味"を調べるために、食べ歩きをしていたのだとか。


「(そう言えば、食べ歩きをしていたお店、人気店ばかりだった気がする)」

「店ごとに味の違いはあれども、人気店の味というのは、それ即ち多くの国民が好む味だと思います。そう思いませんか?」


 問われて頷こうとするスコティッシュであったが、ワットは返答を聞く前に、話を続けていた。

 どうやら、今のも面倒臭い喋り方の1つ、だったようである。


「私が作る料理は、『洋食』----マスター・ススリア曰く、"この国の皆さんが好むように改善された、別の国の料理"というモノらしいです。ちなみに、こちらがメニューになります」

 

 「どうぞっ」と、メニューを渡されるスコティッシュ。

 渡されたからには、中身を見ないといけないなと思い、スコティッシュは中を見て、


「----すごっ?!」


 そのメニュー数の多さに圧倒された。



「肉料理、約10種類。魚料理、約10種類。ピザとパスタ、合わせて約15種類。サラダやスープ、各4種類ずつ。丼物、約8種類。定食セット、約20種類。デザート、12種類。

 ----これに加えて、ジュースやお子様用のメニューなども合わせて、おおよそで100種類以上。


 ラーメンに特化したのがジュールなら、私は多くの種類の料理で魅了せよというのが、マスター・ススリアからいただいた命令(ミッション)になります」




(※)【料理業務型アルファ・ゴーレムサポートシステム搭載型ゴーレム・モード"仕事率(ワット)"】

 ススリアが作った、レストラン経営型ゴーレム。常に100種類近くの多くの種類を提供し、お客様に多くの料理の中から選ばせるという選択肢を与える

 ゲンエインジウムを使う事により、頭や胴体、足などを分解しながらも、稼働できるように設計されている。合体した状態では顔の左半分を藍色の髪で隠したセーラー服の少女と言った様子で、"多くの選択肢を与える"という特性からか、「○○です。〇〇ではない」など、多少ややこしい話し方になるように性格設定をされている

 ジュールがラーメンのみに特化していて失敗したからか、ワットは様々な料理を作る設計がされている。その国における"国民が受け入れやすい味"を見つけ出し、最初にインプットされている料理をその味に近付ける設計になっている

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