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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第153話 養殖場へいらっしゃい配信

 ----それから、数日後。

 トムとオリーブの2人は、イプシロンちゃんに呼ばれて元村役場に来ていた。


「ようこそ、少年少女達よ! この場所こそ、私の職場たるイプシロン養殖場なりっ!」

『『『シャシャウ! シャウッ!』』』


 ドヤ顔するイプシロンちゃんと、配下であるスネークゴーレム達。


「「すごっ……」」

「えっ? もしかして私、そんなにびっくりされてない?」


 トムとオリーブの2人は、元村役場の大変貌ぶりに驚いていた。

 

 なんという事でしょう……!

 あの、雨漏りがしていて人が入れそうになかったボロボロの建物が、大改造によって、エレガントさを感じる新施設に生まれ変わったではないですか!

 ----そう、屋上に海賊船のような物が生えている、謎施設に。


「……なんで海賊船が生えているんでしょう?」

「……新しくなった事より、そっちの方が驚きよね?」


 ひそひそと話す2人でしたが、高性能なゴーレムであるイプシロンちゃんにはその言葉は筒抜けであった。

 ちなみに、あの海賊船のようなモノは、イプシロンちゃん自身がススリアに頼んで取り付けてもらった代物である。「いや、絶対外観としておかしくなるけど……」とススリアには言われたが、強行して取り付けてもらったモノである。


「……うぅ、そうですか。やっぱり、変でしたか」


 ガックシと、自分の価値観を否定された事に、イプシロンちゃんは崩れ落ちるようにして、落ち込んでしまう。周りの蛇ゴーレム達が必死に慰め始める。


「(めっちゃ落ち込んでるんだけど、どうしよう?)」

「(いや、仕方ないよ。だって屋上に海賊船ですよ?)」

「(いや、確かにそうなんだけど……)」


 ひそひそと、話し合う姿が、さらにイプシロンちゃんを惨めに思わせた。

 

『シャア~……』

 

 スネークゴーレムの1匹が、トムとオリーブの2人に近付く。

 そして、瞳から映像を投影して、2人に『ご主人様を褒めて』という文字を見せていた。


「「えっと……」」


 恐る恐る、トムとオリーブの2人は、イプシロンちゃんに近付く。


「うぅっ……海賊船はカッコいいはずなのに……最&高のはずなのにぃ……」



「うんっ、海賊船カッコいい……です、よね?」

「そうですね。カッコいい、よ?」



「そっ、そうですよね! やはり海賊船こそが、めちゃくちゃカッコいいですよね! 帆、船体、オール! やはり海賊船こそが、この世界における最高の代物ですよねぇ~!」



「「(チョロい……)」」



 ちなみに、イプシロンちゃんの高性能な耳は、普通にひそひそ声を捕えていたのだが。

 ----それは言わないことにしておこう。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 あからさまなおべっかに期限を良くしたイプシロンちゃんに案内される、トムとオリーブ。

 そんな2人が見たのは、巨大な養殖場であった。


 その養殖場には、ざっと見ただけでも、100を超える魚達が居た。

 その魚達は元気よく泳いでおり、2人はこんなにも多くの魚達を見たことがなかったので、素直に凄いと思っていた。


「ここにいるのは、ホワイトサモーンと呼ばれる魚の赤ちゃんたち! 未だ現在は食卓に並ぶほどの大きさではありませんが、これを大きくしていきます! それが私の仕事です!」


 その言葉に、トムとオリーブの2人は「そんな仕事があるんだ」と思っていた。

 2人は家で教わっている仕事だけが、将来出来る仕事だと思っていたし、そんな仕事があるだなんて、考えたこともなかったのである。


「魚の養殖だなんて、仕事があるんだ……」

「わぁ、魚の赤ちゃんって、こんなに小さいんだ~」


 稚魚に感動していると、スネークゴーレムの1匹が2人に近付いて来る。




『シャシャーシャ!』


「えっ、餌入れても良いの?」

「うわぁ、これが餌なんだね!」


『シャーシャシュ』


「うわっ、本当だ! あっちに投げ込んだらいっぱい来たよ!」

「こら、トム! 私! 私にもやらせてよ!」




「えっ、怖っ……。うちの蛇ゴーレム達と会話できてるって、怖っ……」

『『シャーシャシャシャ』』


 こうして、トムとオリーブの2人のコミュニケーション能力の高さに驚く場面もあったが、2人の養殖場見学は無事、終了したのだが----。




 ----3日後。


「「今日からお世話になります!」」

「うち、バイトとか雇ってないんですが……」


 養殖場に就職したいと、トムとオリーブの2人が懇願しに来た。


「お魚を食卓に! このイスウッドではあんまり魚なんて出回らないし、ワクワクしてるんです! やりたいんです、僕!」

「お魚の赤ちゃん、大きくなったらどうなるのか楽しみ! だから、手伝わせて! 海賊のお姉ちゃん!」


 ……どうやら、多感な子供の時期に、今まで自分達の人生に一切存在しなかった施設を見せたことで、2人とも興味津々で、やりたいと思ってしまったようである。

 元々この施設は、イプシロンちゃん単体での運営で作られているため、バイトは一切必要ない。だからこそ、イプシロンちゃんはこの2人に、どう対応すれば良いか困ってしまうのであった。




(※)海賊船型天候操作魔道具

 養殖場の施設内全体の温度管理など、空調などを管理している魔道具。本来は海賊船型にする必要は全くないのだが、イプシロンちゃんの強い要望によって現在のような形になってしまった

 船室内にあるコントロール施設以外は、ほぼイプシロンちゃんの強い熱意によって作られただけの代物だが、実際に海においても浮かび、きちんと航海できるほどのクオリティーを誇る

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