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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第152話 イスウッドの子供達、トムとオリーブ配信

 イスウッドは、王国東にある辺境の街。いくら辺境の街といえども、そこには多少ながら、そこで暮らす人達が存在する。


 【トム】と【オリーブ】は、そんなイスウッドに暮らす子供達であった。

 トムは狩人の息子、オリーブは染物屋で働く女職人の娘であった。2人とも10歳のまだ遊び盛りの子供達であり、今日は森の中に、とある魔物が放つ糸を取りに来ていた。


「オリーブ、そろそろ家に帰ろうよぉ~」

「ダメよ、トム! 今日こそ、ワイヤスパイダーの糸を取って帰るんだから!」


 トムとオリーブの2人が探しているのは、ワイヤスパイダーという蜘蛛型魔物が放つ糸を回収するためであった。

 普通、蜘蛛というのは、粘着性の高い糸を使って動けなくして餌を得るのだが、このワイヤスパイダーという夜行性の蜘蛛は硬い鋼鉄のような糸を吐き、その糸を使って餌となる小動物を細切れにして食べる蜘蛛魔物である。この糸を、2人は必要としているために取ろうとしていたのだ。


 この蜘蛛の糸は日中は柔らかいただの糸のようなモノなのだが、夜になると硬いワイヤーのようになる特殊な糸なのである。

 トムはその糸を加工して弓の弦に、オリーブは染物前の服の繊維に使うために、集めに来たのである。

 夜間は、触れた物を斬ってしまう恐ろしい糸だが、日が昇っているうちはただの糸だ。子供である自分達も集められるだろうと思って、2人は森に来ていたのだが----。


「「見つからないねぇ~」」


 いくら探せども、ワイヤスパイダーの糸はどこにもない。

 いつもだったら、籠一つ分くらいはとっくの昔に見つかっているはずなのに、今日は糸が1本も見当たらないのである。


 ----ワイヤスパイダーは全員、やられちゃったのかな?


 2人はそう思って、いつもは踏み入らない森の奥へと入って行く。



「我らは~、最強~♪ 完全無敵の~♪ イプシロン~♪」

『『『シャアア! シャア、シャアア!!』』』


「おぉ、良い感じですね! 私の蛇ゴーレム部隊!」

『『『シャシャシャッ! シャアアアー!!』』』



 そして、トムとオリーブの2人は、森の奥で怪しげな女を見つけた。


 森の奥だというのに、眼帯をした海賊姿の美少女。

 その美少女の周囲には、10数匹ばかりの蛇が居た。その蛇は金属めいた光沢を輝かせており、一目見て人工物だという事はすぐに分かった。


「怪しい人だね、オリーブ」

「えぇ、物凄く怪しいわね、トム」


 トムとオリーブの2人は、その怪しげな女を不審者と判断した。


 この世界には、数多くの不審者がいる。

 どこかの国から逃げて来た逃亡兵、怪しげな実験を行う魔女、狂信者……この世界の不審者は、関わるだけで死に直結するようなモノなので、2人の判断は何も間違っていなかった。

 幸い、気付いていないようなので、2人はそのまま後ろを通って、通り過ぎようとして----。



「さぁ、イプシロン船団よ! まずは、このワイヤスパイダーの加工をしていくぞ! 美味しい魚を育てるには、やはり糸がないといけないよねぇ~!」

『『『シャシャッ! シャアア―!』』』



 そう言いながら、その怪しげな女はジャケットのポケットの中から、大量の糸を----



「「ワイヤスパイダーの糸!!」」

「うわっ、びっくりした?!」




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「なるほど、2人はこの糸が必要、という訳ですなぁ」


 大量のワイヤスパイダーの糸を取り出したのを見て、思わず声に出してしまって見つかってしまった2人。

 あっという間に、怪しげな女----イプシロンちゃんが率いるゴーレムスネーク達に包囲されてしまい、捕まってしまった。


 事情を説明した所、イプシロンちゃんは2人の事情について納得し、ワイヤスパイダーの糸をちょっとばかり分けてくれた。


「いやぁ、すいませんなぁ! この辺りの糸といえば、このワイヤスパイダーの糸しかなくてねぇ!」


 「アーハハハッハハ!」と笑い、イプシロンちゃんは2人を見る。


「えっと、イプシロンちゃんさんは、何に使う予定なんですか?」

「捕獲用の網、その一部に使う予定だよ。トム君」


 トムの質問に、そう答えるイプシロンちゃん。


「2人は確か、弓の弦と、洋服用の糸、だったか?」

「「えぇ! その通りですが……」」

「家の仕事である狩人と染物に必要と聞いていたけど、そういう意味で言えば、私も家の仕事に必要なんです。網に、使いたくてね」


 パチンっと、イプシロンちゃんが指を鳴らす。鳴らすと共に、ゴーレムスネーク達の目が光り輝き、空中に映像が浮かび上がる。


「「なにこれ?!」」

「どうですか、配下(マイスネーク)達の映像投影技術は! 素晴らしいでしょう! ----まぁ、投影装置を作ってくれたのは、船長ですが……」


 空中にいきなり浮かび上がった映像に驚く2人を尻目に、イプシロンちゃんは説明していく。


「実は私、今度このイスウッドにて魚を育てて行こうと思うのですが、その美味しく育てた魚を優しく捕獲するために網が必要なんですよ。このワイヤスパイダーの糸は鋼鉄のように切断能力の高い糸にも出来ますが、今回は普通に糸として利用して行こうかなぁ~、と……って聞いてます?」


 映像に未だに驚いている2人。それを、説明不足で納得していないと判断したイプシロンちゃんは、2人にこう提案する。


「仕方ありませんねぇ……丁度良いです。私の仕事場をご案内いたしましょう!」

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