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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第134話 メガロは、変な女と出会った配信

 ----変な女。


 俺、鮫の魚人族のメガロが、ススリアという女を見て、抱いた感想であった。




 いつものように、海に行ったところ、1人で海を見つめている女を見つけた。

 胸が大きな、ちょっぴり露出度の高い変な服を着た女である。


 俺は、親達からこう教わっている。『男は海で仕事をしろ、女は家に居ろ』と。

 男は、屈強な身体を活かして、海で多くの魚を捕って来る。

 女は、器用な手先を利用して、家で男の帰りを待つ。

 そう言う風に、お互いに得意な事を活かして、協力し合っていく事こそが、『えんかつ』な社会になるのだという。


 俺は最初、これはちょっと変だなと感じていた。

 そう感じたのは、いつも遊んでいる『みっちゃん(フグの魚人族の女の子)』や、『びゅんちゃん(トビウオの魚人族の女の子)』が、全然女の子らしくないからだ。

 大人たちの話によれば、女性ってのは、手先が器用で、料理が得意で、そういう女の人を言うと聞いていたが、あの2人はそういうのが得意そうな感じが一切しないからだ。むしろ、いつも一緒に遊んでる『たっくん(亀の魚人族の男の子)』の方が手先が器用だと感じていた。


 しかし、俺はこう思った。

 大人ってのは、大きくなったら自然とそうなるんじゃないか、って。


 『みっちゃん』も『びゅんちゃん』も、大きくなったら自然と、うちの母ちゃんみたいに家事が得意な大人の女の人になるんじゃないか、って。

 『たっくん』も、今はそうじゃないけど、大人になったら近所のベンおじさんのようなカッコいい男になるんじゃないか、って。


 だから、海に近付いて良いのは、男だけ。

 そう思って、その変な格好の女に退くように告げたら、別の女を連れて来た。


 その女は、うちの国の変人であるギジエ、その友人らしい。

 ギジエは男の癖に、漁に出たりすることはあまりなく、いつも変なカメラ相手に浜辺とかで話している、俺らから言わせてもらえば、『大人の男の癖に、海の仕事をしない変人』というヤツだ。

 だから、そんな変人の友人が連れて来たから、女の癖に海に行けだなんて指示を出したんだと思った。


 だから、俺は言ったんだ。

 『女は、海に近付いたらダメなんだぞ! 分かったか!』と。


 そしたら、その変な女----ススリアと名乗る女はこう応えた。

 『そうか。だったら、男にも負けないヤバい女だったら良いんじゃない?』と。


 訳が分からなかった。

 海に、女は近付いてはいけないんだ。そう大人達は言っているのに。


 男にも負けない女だなんて、そんなの居るはずがないじゃないか。

 だって『女は男よりも弱い、だから家で仕事をする』んだって。女で、しかも魚人族でもないひょろっこいこの女が、男よりも強いはずがないって。


『それじゃあ、君と勝負しよう。この国伝統のプロレスとやらで』


 そして、女はそんな事を提案してきた。

 頭がおかしいんじゃないかって思った。俺は魚人族の中でも戦闘力に長けた、サメの魚人族だ。

 大人にだって、勝ったことがある、子供チャンピオンの称号も持っている。ひょろっこい、人間族の女が勝てるはずがないのに。


『----そこまで自信があるなら、私になんか負けるはずがないよね?』


 当然である。むしろ、俺が勝つのが当然だからハンデを付けようか?


『要らないよ、私は大人だから。とりあえずこちらが勝ったら、ガンマちゃんの活動を許可----いや、見逃してくれるだけで良い。

 内容は分かりやすく、『相手を殴る際に、魔法や武器を使用してはならない』と『相手が倒れたら、カウントを取り、勝敗を決する』のスタンダードな、一般的なルールで行こうじゃないか。あっ、カウントは10で』


 望むところだ、後悔させてやろうじゃないか。

 


 そうして俺は、その変な女(ススリア)と、プロレスをする事になったのである。




 会場は、プロレス会場としてよく使わせてもらっている、近くの酒場。

 おばちゃんに声をかけたら、喜んで会場を使わせてもらって、暇そうにしていた大人の男達も仲間を呼んできて、あっという間に30人弱の観客が集まった。


「負けを認めるなら、今のうちだぞ?」


 俺がそう声をかけたが、ススリアは近くのギジエに何か話し込んでいたようで、こちらの問いかけを無視していた。

 なんか、『子供を殴っても大丈夫なの?』、『リングネームとかって必要? これって、配信されたりしてる?』とか、訳が分からないことを言っていたが、とりあえず負けを認める気はないらしい。


「良いだろう! この『首領(ドン)・メガロ』の、ウルトラスーパープレスで、一気に止めを刺してやる!」

「首領・メガロ----あぁ、それがリングネームね。うん、それじゃあこっちは『あるけみぃ』で」


 なんともまぁ、気の抜けるリングネームだ。

 大人達が言っていた。『男同士のプロレスで名乗る名前はリングネームと言い、そのカッコよさで相手を威圧するのに使うから、カッコいい名前にしておけ』って。

 だから大人達は『偉大なる地下グレート・アンダーグラウンド』だの、『アンノウン・インパクト』だの、『太陽英雄サンライズ・ジャスティス』といったカッコいいリングネームをしているのに、この女は何とも間の抜けたリングネームをしているモノだ。ほら、観客達も、それにあのギジエですら、呆気に取られているぞ?


「良いぞ、『あるけみぃ』! この『首領・メガロ』が、お前を倒してやる!」

「あぁ、はいはい。とっとと、試合(プロレス)を始めよう」


 そして、俺と、『あるけみぃ』の試合は、幕を開けたのだった。

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