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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第128話 ベータちゃん、喜びのコスプレ配信

「みなさん、おはうおっち。今日は以前から予告させていただいておりました、百合営業配信となります」


(※)『おはうおっち!』『おはうおっち!』『というか、百合営業って自分で言って良いやつか?』『百合~! 百合~!』『おはうおっち!』『どんなのになるか、今から楽しみ!』『おはうおっち!』『おはうおっち!』


 ----遂に、来てしまった。

 そう、私が恐れていた百合営業配信の日、である。


「今日、マスターと共にする内容は、コスプレ配信。つまり、マスターと一緒にいつもとは違う格好をしていこうという取り組みです」


(※)『おぉ! それは面白そう!』『キャラクターって、どんなんだ?』『教えて、ガンマちゃ~ん!』ガンマ『後で詳細について、この後の動画を張りつけますよ!』『おぉ、それは楽しみ!』『期待に胸が膨らむわぁ~』『膨らむほどないだろww』『おい、お前どこのどいつだ! 握りつぶしてやる!』


「さぁ、始めます! 私とマスターの、コスプレ配信スタートです!」


 そう言うと共に、動画が切り替わる。

 いま、視聴者の見ている映像には、事前に用意しておいたこれから私達がするコスプレの内容が、ダイジェストで流れている。

 そして、その映像を見ている間に、私達が着替えて登場という感じだ。




「マスター、準備はよろしいでしょうか?」

「いや、全然よろしくないんだけど」


 ばっちり着替えを済ませるも、納得できていない人間がそこには居た。私であった。


「なんでこれ? ガンマちゃんのセレクト、尖りすぎてない?」


 私が着替えたのは、『今日から私は百合します!』という作品の、クール系美少女キャラだ。


 この作品は、私達が今からしようとしている『百合営業』そのものを題材とした作品である。

 働いている店員(キャスト)が、百合を売りとして売り出しているお店で、ひとりぼっちの孤独な少女は女の子と"キャッキャうふふ"するためという、かなり歪んだ目的で、店員になり、物語は始まる。

 その後、本当はただの店での設定だったはずなのに、実際にお互い好きになってしまうという、そういう女の子同士の絡みを一番に描いた作品だ。


 ちなみに、ベータちゃんがコスプレする相手は、そのひとりぼっちの孤独な少女だった主人公。

 桃色の髪に、愛らしい顔立ちと小柄な体躯。作中でも屈指の、小柄な愛され系美少女である。


 そして私がコスプレしている相手は、クール系美少女キャラ。

 主人公と店内で百合のコンビを組んでいる相方さんで、最初の方は主人公の事を敵視しながら仕事として接していたのだが、一緒に仕事をしているうちに仕事以外でも好きになったというキャラだ。

 ちなみに、作中で一番背が高くて、スタイルも良いキャラである。


「いや、これ胸とか出すぎじゃないか?」


 私が今着ている服装は、クール系美少女が作中で着ていた制服である。

 制服のはずなのに、胸の谷間が大きく露出された服装となっている。いや、確かにお客様を喜ばせるために着ている服装としては、これが正しいのかもしれないんだけど。


「マスター、綺麗です。お似合いです。めちゃすこです」

「うぅ……」


 ちなみに、対するベータちゃんの方は、正統派の、白を基調としたエプロンドレス。私のように無防備な肌見せとかもない、本当に正式な衣装だ。


「ほら、マスター。そろそろ映像が止まりますよ? 準備しておきませんと。ほら、抱きしめて」


 「んっ!」と、ベータちゃんは私に向かって手を大きく広げて待ちの体勢(ポーズ)

 

「うぅ……しなきゃ、ダメ、だよなぁ……」


 今からするポーズは、抱き着いて来る主人公をクール系美少女が嫌々ながら抱きしめるという、作品を代表するシーンである。

 私が嫌なのは、その主人公が、嬉しそうにクール系美少女の胸に頬をすりすりとしてくる事だ。


 そしてそれを今から、主人公役をベータちゃん、クール系美少女役を私が演じなくちゃいけないという事だ。


「ベータちゃん、今から頬をすりすりしてくる気満々でしょう?」

「えぇ、そういう役なのですから仕方ないじゃないですか」


 そう言われて「はい、そうですか」で納得なんて出来る訳がないでしょう。

 ----うぅ、しかも作中では、この2人の絡みはかなり多いから、この他にも『恋人繋ぎして互いの頬を合わせる』とか、『肩を組み合って二人三脚する』とか、色々とシーンがあるんだよね。

 そして、ご丁寧な事に、ガンマちゃんが映像編集し、ただいま流している映像には、そういうシーンがたくさん映っていた。


(※)ガンマ『そろそろ映像が戻りま~す』『おぉっ、つまり配信の本番だ!』『楽しみぃ!』『というか、どっちがどっちやるんだろう?』『他の作品! 他の作品はないんですか!』『落ち着け、落ち着け』『まずはこの企画を楽しもう』


「ほら、マスター? 皆さんお待ちかねですよ?」

「うぅ……こうなりゃ、ヤケクソだぁ!」


 こうして私は、ベータちゃんとのコスプレ配信をスタートさせる。

 正直、自分がどういう恰好をしていたとかは、あまり覚えていない。早く終われと思っていただけだから。


 ----ちなみに配信中、ベータちゃんがめちゃくちゃ良い顔でいたので、この企画は定期的にやる事になったのであった。

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