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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第121話 人造人形マージ・マンジ討伐配信(1)

 体力自慢の者達により、大量の牛の群れを防いでいる中で----。

 (ススリア)、アレイスター、タラタ、メキス、そして数名の精鋭冒険者達と共に、資材置き場へと向かっていた。


「師匠! 私は冒険者さん達と先に資材置き場に向かうでありますね!」

「私の名はメキス。エルフと共に先に向かう、ただの錬金術師」


 タラタちゃんとメキスさん、そして数名の冒険者達はそう言って、先に資材置き場へと向かって行った。

 彼女達の役割は、結界----すなわち、分断である。


 いくら力自慢の冒険者と言えども、倒すことも出来ず、ただ止め続けるなんて無謀に決まっている。

 そのため、これ以上、牛という戦力が増えないようにする必要があり、彼女達はその役目をする事になっている。


 まず冒険者を2つのチームに分け、タラタちゃんの組と、メキスさんの組に分ける。

 2つのチームによって、牛の被害をどんどん減らしておこうという考えだ。


 タラタちゃんの組がするのは、障壁。結界型魔道具を用いて資材置き場をグルっと回らせ、これ以上牛が増えないようにする役目。

 障壁には柔軟性を与えており、牛がぶつかろうともまるで風船のように優しく包み込んで怪我をさせない設計になっている。

 弱点は王都を覆うほどの効果範囲が出せなかったので資材置き場で発動するしかなかった事と、常にタラタちゃんが魔力を注ぎ込む必要がある事。

 タラタちゃんに付いて行った冒険者達は、牛がタラタちゃんに迫った時に別の場所へと跳ね返す役割をお願いしてある。


 メキスさんの組がするのは、誘導。こちらは牛を呼び寄せる魔道具を作り、結界前まで誘導するという役目である。

 前世の記憶によると牛は赤い色に興奮して迫ってくるという印象があるのだが、実際には色ではなく実はマントのひらひらに興奮していることが分かっている。

 メキスさんが発動している牛を呼び寄せる魔道具は、そのひらひらをフェロモンのように周囲に分泌する事で、牛を呼び寄せるのだが、残念ながら王都に迫る牛だけではなく、ミノタウロスなどの牛系統の魔物も呼び寄せるという欠点がある。

 メキスさんと一緒に付いて行った冒険者は、そういった牛以外の魔物を討伐する役目だ。



 タラタちゃんとメキスさんの2人のおかげで、私とアレイスターの2人は、作業に集中できる。


「あんたを倒すのに集中できるって訳ッスよ! 魔女スタダム!」


 そう、魔女退治という作業に。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「むきーっ! やっぱりあんたか! 錬金術師ススリア! 大会で私の華麗なる優勝を持って行った錬金術師!」


 私の顔を見るなり、顔を真っ赤にして、怒りを露わにする魔女スタダム。

 予想通り、魔女スタダムの頭には、承認欲求----褒められたいという欲望しかないようだ。


「魔女スタダム! 今すぐ牛を突撃させるのをやめるんだ! さもなければ、取っ捕まって監獄行きだぞ!」

「へっ! 監獄行きが怖くて、犯罪が出来る訳がないじゃないですか!」


 ----まぁ、確かにその通りである。犯罪者というのは、たいてい後先考えない。


「(しかし----)」


 私は、魔女スタダムのちぐはぐさを疑問視していた。


 有名になりたいというだけなら、他にも方法はいくらでもある。

 どこか大手の商店に就職して、成果をあげて、有名になれば良い。

 時間はかかるかもしれないが、犯罪者として有名になるよりかは、遥かに良いはずだ。



 何故、そこまでして有名になりたいと生き急ぐんでしょう----?



「マージ・マンジ! 私はあの目障りな錬金術師をやっつけます! あなたは、もう1人の方をやっつけなさい!」

「了解ンゴ! 我におまかせンゴ!」


 魔女スタダムの隣で、行儀よく待っていた銀髪ゴーレムはそう言うと、口を大きく開ける。

 すると、その口の中で一瞬にして眩い光が凝縮していき、次の瞬間、アレイスターに向かって極細の、光線(レーザー)が放たれていた。


「【おっさんじゃない光線(ンダヨォォォォ)】!!」


 光の光線、まず見てからでは避けられない。何故なら、文字通り、光の速さなのだから。

 しかし、アレイスターはそれをドラゴンとしての本能で危険だと直感的に判断し、発射口から光線が出る向きを計算していたようで、それを普通に避けきっていた。


「へぇ、やるンゴね~。しかし、我の攻撃はまだ始まったばかりンゴよ?」


 そう言って、マージ・マンジと呼ばれていたゴーレムは、自らの胸に手を添える。

 

 そして、マージ・マンジは"分裂した"。


 自らの胸に手を添えたマージ・マンジは、そのまま身体を自らの手で引きちぎり、一気に3人に分裂したのだ。そう、まるで分裂して増える魔物、スライムのように。

 そして、そのままマージ・マンジは、うねうねと液体のように溶けると、そのままそそくさと逃げていく。


 いや、逃げているのではなく、ただ単に場所を移動しようというだけなのだろう。

 アレイスターも「へぇ、決戦はあちらッスか……」と言って、付いて行ったし。


「(まさか、あのマージ・マンジは、私が作ったアレイスターと同じ魔物の性質を持つゴーレム?)」


 スライムと言えば、最弱の代名詞として有名だが、分裂、身体を液状化など、多種多様な便利な特性を持つ。

 先程の光線(レーザー)のような攻撃も他にも持っているだろうし、侮れない……。




「どこを見てるのよ!」


 ----カンッ!!


 私の鼻先を、魔女スタダムが振りかぶった大鎌が通り過ぎた。


 ……私は私で、戦いに集中しなければやられるな、と私はそう決意し、スタダムと向き合うのであった。

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