表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

119/430

第119話 はちゃめちゃ魔女の予想配信

「魔女スタダムが、犯行声明を出して来た」


 怪盗めしどろぼう対策班----もとい、魔女スタダム捕縛班。

 その陣頭指揮を執っている、冒険者組合のスピリッツ組合長が、1通の手紙を持ってきた。



『むきぃーっ! 良くも私の完璧なるスター計画が台無しになってしまったではないですか!

 こうなれば、私は人々を喜びに導くスター計画から、偉大なる犯罪者(ギャングスター)になろうと思いました!

 私はこれより、この王都を災いの渦で満たして見せましょう! 私をただの有名人にしなかったことを後悔するが良い! 怪盗めしどろぼう&魔女スタダム』



 それは、魔女スタダムからの脅迫状であった。

 その脅迫状を読み、対策班の面々は一様に顔を見合わせていた。


「「「「逆恨みも、(はなは)だしいな」」」」


 要するに、承認欲求をこじらせ過ぎた結果、犯罪に手を出したという事だ。

 自分を有名にするための事件を自らが生み出し、それを自らの手で解決して有名になろうというのが、魔女スタダムの計画だったようである。

 自作自演(マッチポンプ)すぎて、対策班の面々は頭を悩ませていた。


「まったく……この魔女は承認欲求が強すぎますね」


 私が頭を悩ませていると、アレイスターは「どういう事ッスか?」と疑問符を浮かべていた。


「そうか。アレイスターはあの魔女の事を知らなかったか……」


 アレイスターは、あの『錬金術師大会』の優勝賞品であったドラゴンの卵を使った魔物ゴーレムだ。

 一方、魔女スタダムと出会ったのは、『錬金術師大会』の決勝戦の一度きり。確かに会う機会がないから、アレイスターは会った事がないか。


「簡単に言えば、スローライフで静かに暮らしている癖に、有名になりたいとほざいている女だ」

「なるほどッス! つまり、マスター・ススリアのようなモノだと!」

「いや、全然違うから。私とは全然違うし」


 千切れんばかりに手を振って、私は必死に否定を貫いた。


 静かにひっそり暮らしている魔女の癖に、承認欲求が強すぎて、このような事件を引き起こす魔女スタダム。

 そんな女に、どうして私が似ているというのだろうか? 全然違うでしょうに……。


「マスター・ススリアは、田舎でスローライフしているのに、都会のやり手商人とばかりに手広くやっておられるッスよね?

 魔女スタダムは話を聞くに、静かにひっそり暮らしたいのに、貴族か王族かと言わんばかりに有名になりたいんッスよね?」

「…………」


 ……正論であった。確かにそう言うと、似ている感じもするなぁ。


「つまり、こういう事ッスよね? マスター・ススリアなら、怪盗めしどろぼうが次に(・・)どう動くか(・・・・・)()予想(・・)できる(・・・)と!」

「……はい?」


 アレイスターの言葉に、皆が大きな声をあげていた。


「おおっ!」「凄いな、そりゃ凄すぎる!」「相手の行動が予測できれば、対策も簡単だ!」

「魔女と錬金術師、確かに錬金術を使うに似ているぞ」「良し、考えてくれ! ヤツの行動予測を!」


 対策班に攻められるも、私は魔女スタダムの行動予測なんて出来ないんだけど。


「(う~ん? もし私が、承認欲求が強い魔女スタダムだとしたら……か)」


 ヤツは、特殊な錬金術を持っている魔女である。


 『食欲を無くす食べ物』も、『宝石を牛に変える魔道具』も、魔女としての特殊な錬金術を使って作ったのだろう。

 他にも色々と、私の想像も出来ないような錬金術を持っているに違いない。



 ----けれども、魔女スタダムの目的は有名になる事だ。

 ----国を転覆する事はあくまでも有名になるための"手段(・・)"であって、有名人になる事こそが、魔女スタダムの"目的(・・)"である。



「そうだとすれば、自分だと知らしめることが重要であって----だとすれば……」


 私の頭の中には、ひどく恐ろしい妄想が浮かんでいた。

 もし私の考えた通りだとすると----。


「----ッ!?」


 バンっと、私が立ち上がると共に、周囲に居た冒険者、そして兵士達の目が私に集まる。


「どうした、ススリア? なにか、分かった事があるのか?」

「えぇ、とびっきり悪い、出来たら叶って欲しくはない想像が」




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 ススリアが嫌な想像を、脳内で思い描いていた頃。

 その当人である魔女スタダムは、王都の外れ----資材置き場に居た。


 そこは、大工などの建築業に携わる者達が一時的に資材を置く場所。

 屋根瓦、木材、砂利、それらを運ぶ運搬用の魔道具など、建築に関わる資材が使いやすいように、一カ所にまとめられていた。


 そして、そこには----"石材(・・)"も置かれていた。


「----それじゃあ、やるぞ! 【マージ・マンジ】!」

「うひゃあああ! やるンゴ! やるンゴ!」


 魔女スタダムの隣にて、特徴的な語尾で話すのは、銀髪の美少女ゴーレムであった。

 胸の真ん中には『卍』という特徴的な(マーク)が刻み込まれており、両腕はうねうねと紅白のコードで出来ていた。


 マージ・マンジと呼ばれたその美少女ゴーレムは、「ウヒヒッ」と不気味な笑い声をあげていた。


「やっていいンゴ? やっていいンゴ?」

「えぇ、今までは抑えてもらっていましたが、もう良いです。----"この石(・・・)全部を(・・・)牛に(・・)変えなさい(・・・・・)"」

「りょーかい、ンゴ!」


 マージ・マンジは、ペトッと紅白コードの両腕を、資材置き場に置いてあった石材に触れた。

 触れると共に、石はうねうねと揺れ動き、大きな牛へと変わる。


 あっという間に、資材置き場に置かれていた石材は、大量の牛の群れとなっていた。


「----さぁ、マージ・マンジよ! 牛の群れを用いて、王都をぶっつぶせ!」

「了解ンゴ! 世界を、ぜーんぶ、まんじ色に染めてやるぞぉぉぉ~~~!」


 そして、マージ・マンジは牛の群れを率い、王都襲撃を開始するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓途中でも『ご感想』『こうなったら面白そう』『こんなキャラどう?』という発想、また『フォロー&☆評価』お待ちしております!

カクヨム版(最新話更新中)!! 是非、ご覧ください!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ