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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第117話 ん? 止めに入ったあなたはもしかして? 配信

 アレイスターとメキスは、怪盗めしどろぼうを探す事にした。


「宝石を牛に変えた犯人、絶対見つけ出して見せます!」

「えぇっ、絶対に見つけるッス!」


 2人は、激怒していた。

 アレイスターとメキス、この2人はその身にドラゴンの血を宿している。


 そしてそのドラゴンの血が、本能が、告げていた。

 ----必ず、犯人を見つけ出せと。


 必ず、2人が楽しみにしていた宝石たちを、牛へと変えた怪盗めしどろぼうを捕まえると、彼女達は心に決めるのであった。


「私の名はメキス! 必ず犯人を見つけ出す、憤怒の錬金術師!」

「私も怒ってるッス! という訳で、早速魔法を使わせてもらおうッスよ!」


 そう言って、アレイスターは杖を【アイテムボックス】から取り出す。


「マスター・ススリアからは、『杖を出すな』と言われてるッス。杖を出して、人々を怖がらせるのは、あまりやるなと言われてたッスが、犯人を見つけ出すためならしょうがないッスよね!」

「えぇ! 私も手伝いましょう!」


 メキスもそう言って、懐から手のひらサイズの小道具を取り出す。

 その小道具は瞬時に大きくなり、メキスの身長の倍以上の大斧となり、ガシッと掴んで構えていた。


「私もこの魔道具武器【ヨールの大戦斧】で、犯人確保に尽力しましょう!」

「私は魔法、そしてメキスさんが物理で、犯人を見つけ出してみせましょうッス!」


 そう言って、2人が大量破壊をして、人々の中から犯人である怪盗めしどろぼうを見つけ出そうとしたその時である。



「まっ、待って待って待って! そんな事をされたら、私のスターダムロードが壊されちゃうじゃないですか!」



 ----バッと、大量破壊しようとする2人を、勢いよく止めに入る少女。

 その少女を見て、アレイスターとメキスは武器を放り投げて、その少女に跳びかかる。


「「確保ぉぉぉぉぉぉ!!」」

「えっ?! しっ、しまったああああああ!」






「無事、(おび)き出せましたね! アレイスターさん!」

「えぇ、そうッスね! 作戦成功ッスよ、メキスさん!」


 イェーイと、2人してハイタッチして喜び合う2人。


「……本気で壊す感じでしたけどね。私の眼から見たら」


 確保されてしまったその少女は、溜め息を吐きながらそう呟く。

 

「----というか、あなたが犯人だったんですね。"スタダム"さん?」


 メキスはそうやって確保された少女の事を、知っていた。


 フード越しからでも分かるくらい、メラメラと承認欲求をこじらせている魔女。

 『錬金術師大会』の決勝戦にて、秋ブロック優勝者としてメキスやススリアと戦った、魔女スタダム。


 犯人を誘き出すという目的でやった2人の攻撃に反応して現れたスタダムは、「むきーっ!」と悔しそうな声をあげる。


「あのまま隠れている訳にはいかないじゃないですか! だって、私の承認欲求を満たしてくれる、大事な人達がいなくなるんですよ! そんな事、見過ごせる訳ないじゃないですか!」


 ぷんぷんと怒るスタダム。

 そして、「さっきの攻撃は私を見つけ出すにしては、やりすぎと思います」と2人に告げる。


「もし仮に、私が人々を見捨てるタイプの犯人だったら、どうするつもりだったんですか? 本当に、あんな強力な破壊を起こそうとしてたとか?」

「いいえ、私にはあなたが出てくる事は予想できたッス」


 アレイスターはそう言って、スタダムに指を突きつける。


「マスター・ススリアとの話を聞くに、怪盗めしどろぼうとやらは、人に迷惑をかけているッスけど、悪事をしている訳ではないッス。宝石を牛に変えたのは許せないッスけど、何も食べずに元気よく働けるようにする食べ物を作っている犯人が、人々を犠牲にしてまで生き残りたいとは思えなかったッス」

「うぅ……読み解かれてる……」


 ガックシと、頭を下げるスタダム。


「私の名はメキス。実は本気で撃とうとしていたけどその意見に賛同して置く、ただの錬金術師」

「……出て良かったぁ~」


 ホッと、胸を撫でおろすスタダム。


「それで魔女さん? あなたはなんで、こんな事件を起こしたッスか? というか、なんで宝石を牛に変えたッス?」

「そうだ、そうだ! それについては、ちゃんと犯行動機を教えて貰いますよ!」


 ずずいっと、早く教えろと迫る2人。

 魔女スタダムは「うぐぐっ……」と歯ぎしりをして。



「ええい! プラン変更です! 今すぐ助けなさい!」



 大きな声で、そう宣言した。



 ----次の瞬間、スタダムの姿は消えていた。


「「なっ……!?」」


 2人は慌てて周囲を見渡したが、先程まで捕まえていたはずの魔女スタダムの姿はどこにもなかった。

 そして、メキス以上に、アレイスターは困惑しながら周囲を見渡していた。


「(おかしいッス!? 私が、相手を見逃すはずがないッスのに!)」


 アレイスターは生物ではない、魔物の力をその身に宿したゴーレムである。

 普段は人々を怖がらせないために、時折瞼を閉じたりしてヒトの真似をしているが、魔女スタダムを見張るためにその機能はオフにして、じっとスタダムを見張っていた。

 大声をあげて気を逸らしている間に逃げるかも知れないと思い、魔女スタダムから目を離さなかったし、魔法によって助け出されるかもと、魔力探知も欠かさなかった。


 ----それなのに、逃げられた(・・・・・)


 見逃すはずがないように、じっと見張っていたはずなのに。

 魔力の痕跡を見逃さないよう、探知もしっかり使っていたのに。


 魔女スタダムは、まるで煙のように、2人の前から姿を消してしまったのであった。

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