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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第102話 兵士達はゴーレムと戦闘訓練配信

 ----【シュンカトウ共和国製イスウッド訓練施設】。

 シュンカトウ共和国の騎士団長であるネゴシィ、かの騎士団長様の自費によって作られた訓練施設である。


 この訓練施設に居る兵士達は、商いの国シュンカトウ共和国で戦いの道を選んだ者達。

 そんな彼ら兵士達は、自分達の出身国が商いの国である事から、他の国に舐められているということを理解していた。


「どうせ、商人の道楽だろう?」

「商いの国生まれなら、そのまま商人になればよかったのに」

「俺達が戦いで命を張って戦う中、お前たちはいざとなったら商家に逃げれば良いって楽だよなぁ」


 誰が言われたとかはない。

 誰もが、そう言われてきた。


 商いの国シュンカトウ共和国出身だからという理由だけで、戦いの道を諦めるように言われてきた。


 ----だからこそ、彼ら兵士達には、他の国出身の兵士達にはない"根性(ガッツ)"がある。

 ----絶対に見返してやりたいという、そういう信念が彼らにはあった。


 それは、一流の商人が誰もが持つ、必須スキル。

 またの名を、"執念"----。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「それじゃあ、行くぞ。お前ら」


 この場において一番地位が高い彼----部隊長【ダンパン】が声をかけると、30近い兵士達が身構えていた。


「「「よろしくお願いしますっ!!」」」


 兵士達がそれぞれの武器を構えるのを見て、部隊長は受け取っていたリモコンのボタンを押す。



『----命令実行。モード0.2にて、戦闘処理----』



 道場の真ん中に置いてあったゴーレム、簡易式ゴーレムとなったデルタちゃんが動き始めていた。

 6本あった腕を2本にすると、剣も構えず、兵士達の方に顔を向ける。


「「「いくぞっ!」」」

『----戦闘開始----』


 兵士達は剣を構え、そのまま簡易式ゴーレムに向かって特攻する。

 一方で、特攻されたデルタちゃんの方はというと、屈んだり、跳躍(ジャンプ)したりしつつ、2本の腕を用いて1人ずつ叩きのめしていった。


「「ウグワーッ!」」

「くっ……!」


 多くの兵士達は、簡易式ゴーレムに殴られ、蹴とばされ、数を減らしていく。

 何名かはその蹴りや殴るなどを弾いたり、避けたりしたりと対応しているのを見て、ダンパン部隊長は"見所があるな"と顔を覚えていく。


 うんうんっと、戦いを見ていたダンパン部隊長であったが、そんな彼にフランシアが声をかけてきた。


「----ダンパン部隊長」

「おぉっ! フランシア姫様! この度は、素晴らしきゴーレムを提供いただき、感謝いたします」


 ペコリッと、感謝の意を示すダンパン部隊長。

 それに対してフランシアは「私は持って来ただけなので」と、謙遜(けんそん)していた。


 実際、フランシアは、師匠であるススリアに頼まれてデルタの身体であったあの身体----簡易式ゴーレムを持って来ただけ。

 あのリモコンは、その際に一緒に渡されたモノであり、リモコンのボタンを押すことで、簡易式ゴーレムの強さを決めることが出来る。


 現在のモードは、『0.2』。

 小数点より上の『0』という数字は剣を持つ手、小数点以下の『2』という数字は剣を持たない手での模擬戦闘を行う事になっている。


 たとえば、『2.4』ならば剣を持つ手が2本、素手での戦闘が4本。

 たとえば、『0.0』ならば剣を持つ手も、素手でも、0本。

 たとえば、『3.0』ならば剣を持つ手が3本。


 剣を持てば簡易式ゴーレムの戦闘力は圧倒的に上がるのであり、リモコンのボタンによってその調整をしているという訳である。


「あの簡易式ゴーレムは、素晴らしいゴーレムであります。新兵から、私のような部隊長まで、レベルに合わせた戦いが出来ます。そして、破壊したとしても----」



『----軽微損傷。これより修復に当たります。10分お待ちください----』



 そこには、1人の兵士が、簡易式ゴーレムの頭をぶち抜き、見事勝利を収めている光景があった。


「あのように、すぐさま修復されますので、下手に魔物や隊員同士で戦うよりも、よっぽど実戦経験が積めます」

「実戦経験が積まれれば、その分、強くなるスピードも速くなりますからね」

「姫様の仰る通りかと」


 実戦も、訓練も、どちらも大切である事は事実。

 しかしながら、訓練とは違って、実戦はなかなか得る機会が少ない。


 あの簡易式ゴーレムは、その実戦という機会を得るのに、最適な魔道具と言えよう。


「私どもの計画ですと、この調子で簡易式ゴーレムと戦えば、今年の冬には全員が部隊長クラスになるかと」


 今は6月。まだ夏が始まるか否かという時期。

 それから僅か半年ほどで、部隊長----多くの兵士を率いる兵士が大量に育成できるとなれば、シュンカトウ共和国の未来は安泰と言える。


「……もしも、あの簡易式ゴーレムのレベルを最大にしたら?」

「それはもしや、モード6.0----あの簡易式ゴーレムの最大値という意味でしょうか? いえ、私ですらモード3でギリギリですので、全員呆気なくやられるかと」


 商いの国出身の確かな目利きでそう助言する部隊長に、フランシアは「試したいの」と応える。


「いま、我が師匠はゴーレムの改良を行っている。私達には強くて歯が立たない、あの簡易式ゴーレムよりも遥かに強いモノを。

 ----ここでのんびりと、ただちょっとずつ強くなるだけでは師匠の高みへは追いつけない。せめてお古として下賜された、あの簡易式ゴーレムを倒せるだけの力を、いち早く得たい。それが今の私の目標よ」


 力強く宣言するフランシアに、部隊長は「ご立派なお考えです……」と涙を流していた。



『----修復完了。模擬戦闘、準備完了。モード選択----』



 そうこうしているうちに、簡易式ゴーレムは修復済みになったようで、フランシアは部隊長に指示を出す。


「さぁ、簡易式ゴーレム! 今度は私が相手です!」

『----命令実行。モード6.0にて、戦闘処理----』


 こうして、フランシアと簡易式ゴーレムの戦いが始まるのであった。




(※)簡易式ゴーレム・武闘訓練カスタム

 元々はデルタちゃんの身体であったモノを、ススリアが戦闘訓練用に改造したモノ。付属のリモコン型魔道具を使う事で使用する手の数、そして剣を持つ手の数を指定して訓練することが出来る

 素材回収機能を省き、その代わりに自己修復機能を多めに入れる事で、戦いが過激化して損傷を負っても、ゴーレムの格であるコアさえ無事ならば最大1日以内に完全なる修復が可能となった

 モードは『0.0』~『6.0』まで。1の位の数字が剣を持つ手の数、小数点以下の数字が剣を持たない素手での手の数を指定することが出来る。また、剣を持つ本数が増えるほど、戦闘能力が格段にアップする。元々が6本腕である性質上、1の位の数と小数点以下の数は、合計で6以下にならなければ機能しない

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