序章
正しいこととは何ですか?悪とは何ですか?
わからない。
法律を破ることは悪だよな。
犯罪は悪だよな。
人を殺しちゃいけないし金をだまし取ってもいけない。
細かいことを言えば未成年飲酒は犯罪だし未成年喫煙も犯罪。信号を無視することだって犯罪だよな。
だとしたら犯罪者が多すぎるよな。世の中。
何回信号無視するカスを眺めたことか。
何回未成年飲酒、または、それを教唆、推奨、黙認する行為を胸糞悪い顔で眺めたことか。
何回高校生らしき奴らの喫煙を眺めたことか。
全部全部胸糞悪いよ。
気持ちが悪いよ。
俺が真面目すぎるって?
お前らが人として終わってるだけとのことだろ?
なんでこっちが悪いみたいにして自分を正当化するんだよ。
20歳も19歳も変わらんよ。飲め飲め。
何言ってんだよ。
だったら19歳と18歳も変わらんし、18歳も17歳と、、、ってそのままいったら20歳と0歳は同じだな。
飲んでいい、吸っていいラインはどこだよ。
わざわざ決めてくれてんだからラインくらい守れよ。
周りに流されて犯罪者に成り下がんのがそんなに楽しいのかよ。
まぁいいや。そんなこと考えてもしょうがないんだよな。
結局は何も変わらないんだよな。俺も、お前らも。
そうやってブツブツ考えてるうちに俺は目的地である古本屋についた。そこは行きつけでもなんでもない。そもそも俺は本屋なんて滅多に行かない。本も読まない。ただ、俺にもそろそろ教養が必要なんじゃないか。ふとそう思ってはるばる本屋までやってきた。クソみたいな理由だけど大体の学生なんてそんな物事に理由をつけて行動してないだろ。理由づけしてるだけましってもんだ。
本屋の前には2つのワゴンがあってそこには50円セールと書かれていた。本はついにこんな値段で買えるようになったのかと感心していると目の前になんだか胡散臭い雰囲気を醸し出すブランド物にまとわりつかれた20代くらいの男が通りかかった。そいつはワゴンから本を一冊取り、そのまま立ち去ろうとしていた。
ブランド物には金が払えるのに50円の本は買えないのか?いや逆にブランド物を買ったから50円の本すら買えなくなったのか?そもそもブランド物も盗んだものなのか?
そんなことを考えているうちに男の背中はだいぶ小さくなっていた。
ここで動くべきなのか、俺は。
俺は歩き出した。
お読みいただきありがとうございます。ご感想お待ちしております。