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プリンセスは殺し屋  作者: じゃがマヨ
殺し屋稼業
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第96話



 弧を描いた軌道。


 滑らかな半円。




 ——ブシュッ



 その「音」は、意識の背後からやって来た。


 刀を振る軌道が、微かに空気を濁したような感触がした。


 怪物の上半身はすでに“そこ”になかった。


 上半身、——彼女と怪物を結ぶ、「空間」が。



 セーラー服に返り血が飛ぶ。


 白いシャツには、赤く細やかな血の雫がぶつかる。


 ブーニベルゼは“最小”の動きの中にいた。


 怪物の拳が、彼女の前髪に触れる瀬戸際だった。




  ——ボッ



 炎が点火する音。


 チリッと灼けつくような匂い。


 壁の破片が散り散りになりながら、さざめく粒子が視界の中心に止まる。


 圧縮される間合いの内側にあった、物体間の“距離”。


 ブーニベルゼは、その【中間】に爪先を向けていた。

 

 赤い鮮血が、斬撃の後を縫うように「線」を引いた。


 確かな接点は、両者の中間にあった。


 明暗が分かれたのはほんの小さな“境界“だ。


 「境界」と呼ぶには、あまりにも密着した接平面。


 その、——奔流。


 


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