表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プリンセスは殺し屋  作者: じゃがマヨ
殺し屋稼業
92/100

第92話


 ブーニベルゼの間合いは、直線的に動く怪物の対角線上に“常に”あった。


 壁の中へと侵入してくる拳が目の前にあっても、それを迎撃できるだけの「距離」は、刀の先端に触れられるだけの体積を持っていた。


 時間は常に動いている。


 両者の距離は絶えず変化しながら、空間を押し合えるだけの“近さ”を持っている。


 互いの距離は拮抗していた。


 お互いに、攻撃の出所を認知していた。


 少なくとも刀の位置は、さっきよりもずっと近いところにあった。


 両者が交錯する“()“、その「中間」に於いて。



 「静」から「動」へ。


 攻撃への手順は、必ずこの道筋を通らなければならない。


 動から静へと転ずることはあっても、「静」を無くして、「動」を得ることはできない。


 ブーニベルゼの構え。


 それは敵を斬るために準備された、最小の“動作”であったことは言うまでもない事実だろう。


 剣士に於いて、剣の振れる間合いは、命を繋ぐための「血管」である。


 生きるか死ぬかの一線において、二つの境界を分けるのは時間の「繋がり」である言っても過言ではない。


 怪物の左腕から再び噴き上がる血。


 それはほとんど攻撃の動作と同時に起こっていた。


 再生したばかりの腕の表面から赤い鮮血が飛び散る。


 壁を壊したことに対する反動。


 ——あるいは、そう捉えることもできたかもしれない。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ