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プリンセスは殺し屋  作者: じゃがマヨ
殺し屋稼業
89/100

第89話



 ボッ



 沸騰する細胞。


 泡立つエネルギー。


 ブーニベルゼは次の動作に備えている。


 ——少なくとも、肘の位置は攻撃への角度を保っている。


 両者が触れているのは互いの「間」だった。


 斬撃が命中する距離。


 その表面上には、すでに足を踏み入れている。



 動こうとする動作と、斬撃が入った後の“現在”。



 …止まらない?



 思考が追いつけなかった。


 「時間」は確かにそこにあった。


 問題は、そこにあるべきはずの時間と、そこにあるはずのない【時間】が同居していたことだ。


 怪物は止まらなかった。


 それは“認識”できた。


 ただ、その動作の渦中に起きていたことが、常識じゃ考えられないようなことだった。



 止まりながら動いていた。


 その「一連」は、互いに別の時間軸にあるかのように、別々の“視点”によって動いていた。



 “細胞が再生する”



 そんなのは正直、頭ん中じゃ理解できなかった。


 「現象」として処理するには、あり得ないほど鮮明な“異常”だった。


 瞬きもできないほどの両者の攻防。


 剣道の戦いでもそうだが、相手の動きは目で捉えるものじゃ無い。


 目はあくまで補助的な役割にすぎない。


 大事なのは、「体の動き」がどこにあるか——


 前に言ったかもしれないが、剣が届く“間合い”は、「動き」の延長線上にある。


 静から動へと転化するには、一連の動作の中に重心を置かなければならない。


 間に合うか間に合わないかの一線。


 生と死の境界線。


 そこに「目」は追いつけない。


 追いつけるのは、剣が届く距離と“タイミング”だけ。


 だからこそ、俺の目には「違和感」が走った。


 「静」と「動」が同じ時間の中に“進んでいる”。



 ——そう


 

 それに違いなかった。


 「2つ」が1つの中にあった。

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