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プリンセスは殺し屋  作者: じゃがマヨ
殺し屋稼業
80/100

第80話



 「さて、立ち遅れるなよ」



 ブーニベルゼは息を吐く。


 その挙動は穏やかだった。


 姿は変わっていなかった。


 さくらのまま。


 「制服姿」のままだ。


 スカートは揺らいでいた。


 その立ち振る舞いは凛としていた。


 艶のあるストレートの髪が、フワッと重力に逆らい。



 バッ



 怪物は翼を広げた。


 ビリビリと響く声量が、重い質感の中になびいていた。


 尻尾が地面を叩く。


 前傾姿勢になりながら、鋭い牙を剥き出しにする。


 太い二の腕の先で、スマートとは程遠い無骨な輪郭が、ボコボコと皮膚の表層を覆っていた。


 尖った爪。


 滴る粗い息遣い。



 ブーニベルゼは身構える素振りを見せない。


 怪物の巨躯が目の前にあって尚、落ち着いている。


 彼女の背中越しに見える景色は、この世のものとは思えなかった。


 ただただ、恐ろしかった。


 空は灰色に沈み、空気は青白く澱んでいた。


 耳の奥がキーンとした。


 それくらい、“濁って”いた。


 「何もかも」が、だ。


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