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プリンセスは殺し屋  作者: じゃがマヨ
殺し屋稼業
79/100

第79話



 ギュルッ



 ゲッコーは、すでに元の「形」を持っていなかった。


 ツノも翼も、もうどこにもない。


 ピンポン球みたいに小さくなったかと思えば、渦のように激しくうねり、——破裂した。


 シャボン玉が弾けたんだ。


 目の前で起こった現象は、まさしくそれに近かった。


 球体はある一点に向かって縮んでいた。


 それに違いはなかった。


 軋んだ音が耳元に掠めた。


 ——あるいは、それは「音」じゃなかった。


 何かが“擦れた“んだ。


 「確か」だったのは。


 


 その“変化量”は凄まじかった。


 まるで、ガスコンロに油を注いだような勢いだった。


 油によって立ち上がる火が、天井にまで及ぶ様を見ているようだった。


 勢いのままに飛び出した「焔」は、瞬く間にブーニベルゼの腕を覆った。


 腕が見えなくなるほどのぶ厚い質量が、空間の中に泳ぎながら。

 



 シュウウウウウ




 炎が暴れる。


 乱れる。


 その「波」が、——軌道が、急速に掌の中へと吸い込まれていく。


 腕の周囲を取り囲み、「焔」は尚も回転していた。


 次第に伸びやかな輪郭を象っていった。


 しなやかな弾力を伴っていた。


 柔らかく、それでいて堅い。


 烈しい伸縮の後、波打つうねりが掌の上で暴発した。


 ボンッという音が周囲に響いた。


 ブーニベルゼの腕は燃えていた。


 燃え、揺らめいていた。


 黒い陽炎が立ち上っている。


 グッと握り締めた手と、風になびく髪。



 ——その先には、一本の「刀」が。



 「渦巻け、黒炎刀」



 その刀身は黒く、長かった。


 柄は紅い縞模様が、螺旋状に巻き付いていた。


 腕を覆っていた「焔」はみるみるうちに小さくなった。


 伸びた刀身に向かって、蛇のように渦巻き。


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