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プリンセスは殺し屋  作者: じゃがマヨ
殺し屋稼業
73/100

第73話



 一瞬、重力がなくなってしまったのかと思った。


 それほどまでに、“何もなかった”。


 「何もない」というと、誤解を招くかもしれない。


 ただ、そう感じるだけの「奥行き」があった。


 自分が今どこにいるのかもわからなくなるほどの高低差。


 「広さ」が、空間の隅々まで浸透していた。



 「うおッ!」



 びっくりして視界が泳ぐ。



 (…俺、今、浮いてるのか?


 それとも、沈んでる…?!)



 重力の慣性さえも見失う認識の“ズレ”。


 飛んでいる飛行機から急に投げ出されたような『浮力』。


 ——それが、瞬く間に意識の内側へとかけ走っていった。


 すれ違う暗闇の断片から。



 「大丈夫ですよ。じきに到着します」



 音ははっきりしていた。


 その質感も。


 振動も。


 水の中に呑み込まれたような空間のうねりが、視界の前方から流れてくる。


 渦の中心へと真っ逆さまに落ちていくような「穴」が、その先端にあった。



 “亀裂”



 空間そのものが歪んだ“裂け目”が、漂流する波の内側にある。


 光が泡状に膨れ上がり、破裂する。


 圧縮された空間と時間。


 その凝集された密度の向こうに、——顕れた。


 広大な「世界」が。


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