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サブ☆ルパンと。
「それ以上は許さねぇぞ!!」
ただ動くなと、銃口を真っ直ぐに。
引鉄をひくーー、そのまえに。
まるで天使が微笑むように、血塗れの少女が嘲る。
「だったら、撃ち抜いてよ」
自ら殺されたがっているような、儚い表情が印象的だった。
辺りには彼女による仕業が転がっている。
ごうごうと燃え盛る、様式美の玉座でーーー
「…………楽しかったよ」
自ら飛び込む炎に、その笑みが脳裏にこびりついていた。
「うわぁぁぁ!?」
全身びっしょり。
悪夢を見た気分だった。
筋骨隆々で勇ましい、今すぐにでも自衛隊にスカウトされるような。
屈強な戦士としても通じるだろう。
「何だ……夢かよ……」
目覚まし時計にも勝ち取る男は飛び上がり、すぐさま洗面所に向かった。
毎日のローテーションだ。
歯磨きしながら髭を剃る、徹底した日常。
「ぐろぐろぐろ…………ぺっ!!」
朝食はいつも食パン、時に和食。
みためはまるできにしない、荒ぶれた刑事ーー鷲見・琥太郎。
彼による物語がやがて始まる。
ハードボイルドというよりは切ない、純情なラストシーンが待ち受けていた。




