九話
「この辺りでいいだろう。おい!捨てていけ!」
どうやら俺はここで捨てられるみたいだな。
今俺は拘束された状態で木箱の中に閉じ込められている。
このまま俺は生まれてもいなかった事にされるのだろう。
何故かステータスプレートは没収されなかったけど、これで俺の名前を確認したらラグーン家の人間だってモロバレルだと思うんだが、そこまでは考えついていなかったのだろうか?
あれ!?ちょっと待ってお兄さん達!?
ここで捨てるって、崖っぽいんですけど!?
これ、絶対死んじゃうよね?
死んじゃったら、ステータスプレートも意味ないじゃん!
……だからか。
そして俺はアッサリと
本当に躊躇いもなくアッサリと崖下に木箱ごと放り投げられた。
空き缶のポイ捨てのように。家電ゴミの不法投棄のように。
俺を運んでいたラグーン家の兵達は放り投げた後、こちらを見ることもなくそのまま立ち去ってしまった。
せめて、確認してからじゃないと生き残りフラグ立っちゃうと思うんですけど(名推理)
いや、そんな事ないか。
◆
「いやあああああ!!!!死ぬうううううう!!!!」
崖下に放り投げられた後、落下しながら崖にぶち当たり、木箱は砕けてしまったが、俺は拘束も解かれて空中に放り出された。
木箱が無いので、クッションになる的な事も無いです。
いや待て!!どうする!?!?
なんかないか!?
ッ!
もう衝突してしまう、時間がない…!
何かで減速させて…
なんでも試してみるしかないか
そして土魔法を使って
俺は落下していく先に次々と薄い砂の壁を作り続けた。
(痛ってええええ!!!何これ!?死ぬほど痛いんだけど!?)
高速で落下しているので、いくら砂であろうとも傷みは避けられない。
だが、これ以外の方法も思いつかないので
10枚、20枚と砂の膜に衝突しながら少しずつ減速をして行った。
(かなり速度は落ちたけどこれ以上はいくら当てても変わらんか…。後はもう地面に落ちる瞬間に下を砂に変えるしかないか…)
俺はありったけの魔力で体全体をコーティングして
衝突と同時に地面を砂に変えて地に落ちた。
ズドオオオオオオン!!!!!
◆
「………はぁ……はぁ…はぁ、はぁ、はぁ…」
何とか耐え抜いたらしい。
痛過ぎて体が動かない、それに砂に埋まっているのか
景色が見えない、明日も見えない、圧迫感も凄い。
「ッ!ぬあああああ!!!!」
無い魔力を捻り出して
土魔法を使い、砂を移動させて自分の体を地中から引きずり出す。
(何とか生き残れたか……。しかし相当落下したな。)
魔力も殆ど残ってないし、俺の体はボロボロだ。
不味いな、完全に森の中じゃ無いか。
一応スキルで周辺の確認だけ…
視野拡大のスキルを使い周囲を確認する。
そこには見たこともない魔力量の魔物が10数頭。
(不味いな、今の音でこっちに気づいたのか、近づいてきてる…)
こうして家を追い出され
見知らぬ森に不法投棄された俺。
やっぱり人生詰んでるじゃないか…
底辺作家なので
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