八話
「きゃあああああああッ!」
翌日俺は誰かの悲鳴で目を覚ました。
案外知っている人間の声でも悲鳴なんて聞いた事もないから意外と分からないものだ。
悲鳴は使用人の声だったんだが
一体何を叫んでいるのだろう………
ベットから這いずり、部屋を見渡すと人が1人
宙に浮いていた。
母上ったら飛行魔法なんて使えたんですね。
いや、浮いてると言うかぶら下がってるね。
はええええええええ!?
なんてこったい。これもう完全に逝っちゃってるじゃないの。
過去一の気の落ち方だったから、ちょっと心配にはなっていたけど、こんな簡単に逝ってしまうもんかよ……。
前世より人生破綻してないか……これ。
◆
「面倒な死に方をしてくれおった…。母子共々、忌々しい限りだな。アレには体以外の価値なんぞ、有りはしないと言うのに、私に愛されるとでも思っておったのか…。」
「仕方ありません。あの女は元々親に売られた身、元よりまともな育ち方などしておらぬでしょう。人間は自らの育ち方を選べません、哀れな女です。せめて愚かな人生の証も残らぬように処理をして差し上げましょう」
「しかし、アレの子はどうするのだ? 屋敷の使用人は良いとして、教会には存在が割れておるぞ。」
「教会には少々、寄付をさせて頂きました。最近は激務なようで、名付けをした子の戸籍登録を一部漏らしてしまう事もあるそうでしたから、慰安旅行でも、と」
「ならば問題あるまい。ラグーン家の者の口は封じておけ、後はアレの子だが、其方のことだ。もう廃棄場は選んであるのだろう?」
「ラグーンより北の地。奥州の更に奥の山にでも捨てて参りましょう。丁度その奥地フォレスト領への遠征もございます。あの地は元々人が納めていた村々があったと聞きますが、その地に住む魔物の凶暴さ故、既に放棄された土地にございます。我らが兵達を持ってしても、道中幾らかの積み荷を捨てて侵攻せねばならぬ時が来るやもしれません。」
「よい、ならば其方に一任しよう。これでようやく、綺麗に掃除が終わりそうだ。
◆
母が亡くなったその日
遺体を使用人達が運んだ後に俺は
部屋に入ってきた兵達に連れて行かれ、手足を拘束されて耳栓、目隠しまでされた上で何処かを運ばれていた。
抵抗はしなかった。
した所で逃げ切れるとは思えなかったからな。
正直、スキルを使えば外の状況も
誰が何をしているかも分かるのだが
連れて行かれてる最中に気絶させられたしね。
いやもうビビっちゃったよ。
無抵抗のまま気絶させられて
気がついたら何か馬車に積まれてるっぽいし
森の中を進んでいるっぽいし。
しかしどうしたもんか。
俺が連行されたのは昼過ぎくらいだった筈だが
どうやら今は太陽が登りかけてるのよね…。
ほぼ1日気絶していたのか
うっ…。丸一日の気絶のせいかな、これ絶対俺漏らしてるね。
穴という穴からいろいろ出ちゃってる…ヴォエッ!
これからどうなっちまうんだ。
絶対捨てられる感じじゃん。
まぁ、あの家にずっと置いておかれるよりはマシなのかもしれないな…
こんな森の奥で捨てられたりなんかしたら、絶対魔物に襲われちゃうよね? この世界の魔物って存在がどれくらいの強さかはわからんが、戦闘経験はゼロ
魔法も土魔法は使えるが、攻撃手段の確立はまだ出来ていない…
だって、ステータス授かったら
農地開拓とか防衛拠点土魔法で作るとか
そんな事ばかり考えてたからね。
墓荒らしも何のスキルかわかんないし
それにこんな森の奥深くって絶対墓とか無いじゃん!
底辺作家なので
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