四十六話 新たな事実
バチバチバチバチバチバチ
「ッ! ぐおっ!?」
ズドドドドドド!!
黒翼馬が紅い雷を放電したかと思ったら
そのまま口から紅白いブレスを吐き出して来た。
辛うじて避けるとその背後の木々を一直線になぎ倒し、半円状にエグれた地面がどこまでも続いていた。
おいおい……冗談だろ。
あんなもん食らったら塵も残らんぞ……。
息つく間も無く、次の雷撃が放たれる。
今度は、さっきほどの威力は無いか。
連発は出来ないと見て良いだろう。
クソッ! 電撃は溜め無しで打てるのかよッ!
バチバチバチ!!!
幾度も幾度もレイダーを撃ち抜こうと
紅い電撃が彼を襲う。
それを何度も躱し、時には鉄の壁を生み出して電撃を防ぎながら距離を詰めていくーー。
「っおらあああぁぁぁああ!!!」
時間をかける訳には行かない。
今の俺が出来る最大値まで、拳に聖魔法を込め
そして『魔力使用量増加』を使う。
限界を超えた一撃
ズドオオオオオオン!!!!!
黒馬を襲う剛撃
そして込められた聖魔法によって一定数の霊が浄化されていく。
しかし、求めていた程の結果は生み出せなかった。
「マジかよ……。これでも俺の限界超えてる筈なんだけどな……」
想定以上。
「ヒュオオオオオオ!!」
黒馬に向かって目を疑う程の強風が流れていき
そして、彼を中心に字を巻き始めた。
ーーマズイ!
俺も巻き込まれるッ!
その場から全力で離れていく。
何とか抜け出し黒馬を見やるとーー
彼を中心に大きな竜巻が天を貫く。
そして、そのまま竜巻の中を飛翔した黒馬は
竜巻を圧縮し、その身に纏い
レイダーに向かって真っ直ぐにーー。
バゴォォォンンンン!!!
「ゴハァッ!?」
避けきれない。
そう悟った彼は、『身体強化』、『硬質化』で最大限に肉体を強化。
そして数十枚、鉄の壁を生み出し、その間に水の壁を何層も重ねて衝撃を受け止めた。
だが、威力を殺すことが出来ず
黒馬の角が彼の脇腹を僅かに削り取り、大地に大穴を開けてしまった。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
パァァァァ……
傷は聖魔法で治すことが出来るけど
流石に何発も食らうわけには行かない。
痛みまで消してくれないのは、贅沢を言い過ぎか。
「そらぁぁぁっ!!!」
再び、限界まで加速して黒馬との距離を詰め
今度は刀を抜き放ち、聖魔法を込めた剣撃をお見舞いする。
ギィン!ギィン!ギィン!
黒馬は即座に反応し、角を使って刀身をいなす
だが、流石の巨体
ブシュウウウ! ブシュウウウウウ!
少しずつ、黒馬に刀身が切り込む。
その度に黒馬の体から霊体が抜けて行き
彼は少しずつ縮小していった。
行けるーー。このまま行けば、何とか残りの魔力で足りそーーー
バチチッ!!
ーーッ! マズイ!
バリバリバリバリバリバリ!!!!!
黒馬に密着していた俺は
一瞬の出来事にそれを避けられなかった。
黒馬を中心に雷を伴った暴風がーー。
一瞬、瞬く間に形成され、モロにくらって吹き飛ばされる。
「ーーーーッ!」
身体中に走る激痛、痛みに耐え身体を回復させるが
それで残りの魔力をほとんど使ってしまった。
流石にマズい。これは勝てない。
《 霊力を譲渡する条件を満たしました。使用可能になります 》
反撃開始だ。
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