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四話

 ……目を開けると光が差し込んで来た。

 苦節10ヶ月、ようやく俺が誕生する瞬間がやって来たのだ。


 母体の中での10ヶ月で俺は外の様子を謎のスキルを使いながら観察し、この世界の情報収集に努めた。


 まず、俺が生まれたこの家

 家名がラグーン家と言うらしい。


 結構大きな家らしく、この辺り一帯を牛耳っている大きな貴族のようだ。


 この世界には王国や王族などの概念はあるが、男爵や伯爵と言った爵位のようなものは無く、貴族のみ家名が与えられているらしい。


 そして俺はこのラグーン家の三男として誕生した。

 残念ながら母親は正妻では無く、妾のような存在で

 先に生まれている2人の兄は正妻の子供で、俺の立場はあまり期待出来そうにない。


 母親はその容姿だけを気に入って貰えていたらしく

 それ以上の価値は見出されていないようだった。


 まぁぶっちゃけ都合の良い愛人以下だな。



 そしてこの世界では6歳になると教会に連れて行かれて

 そこでステータスプレートなるものを授かるらしい。


 その時に生まれ持ったスキルや、魔法の適性なんかが判明して、今後の人生なんかが割と決まってくる。


 先に生まれた兄達

 長男は優秀な剣術系のスキル『剣鬼』を持って生まれ

 次男は魔法適性が多く、スキルは『魔力増加』を持っていた。


 正妻の子供で、更には優秀な能力を持って生まれた兄達は父親からも非常に期待をされ、とても喜ばれていた。


 そんな中に妾の子として俺が生まれる訳なんだが……

 どうやら父親は生まれる前から俺にあまり興味が無いっぽい。と言うか母親に対しての扱いも中々に悪い。


 俺を身篭ったおかげで夜の相手が出来なくなり

 そっちの利用価値が無くなったことにより、父は母に対して関心を持たなくなってしまった。


 もうなんか途中から母は部屋に軟禁状態で人権とか知らないの?ってレベルだった。

 提供される食事なんかも、明らかに差別されていた。


 そんか扱いを受けても、母は父を愛していたらしく

 何故、そのような扱いをされて愛しているのかは分からないが、父が興味を示さなくなってからは毎晩枕を濡らしていた。


 体内で静聴を強制される身にもなってくれ…まぁしょうがないけど。


 そんな中生まれる事になるのだが……。

 これ本当に俺大丈夫?生まれる前から不安しかないんだけど


 母、ちょっと人格壊れかけてるんだけど。


 ーーだがしかしーー


 俺には神様に約束されたランクの高い、良いっぽいスキルがあるから、6歳まで耐え抜いて、スキルが判明したら何とかなるよね?


 多分、剣鬼とか目じゃないスキル授かってて

 そこからは掌返しでチヤホヤされて母も回復するみたいな感じになるよね?


 そんな環境下で俺は

 誰からも祝福されず、1人の助産師に見守られながら

 誰からも喜ばれる事なく出産を無事に終えて誕生した。



 なんか前世より酷くない?耐えてるよね、これ

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