二十話 ぶきづくり
無から有を生み出すのも割と世界の法則ぶち破ってる気がするんだが、まさか鉄も生み出せちゃうとはね……。でも、乱発も厳しいか、今ので魔力を半分くらい持って行かれたから鉄なんて代物は、ここぞと言う時だけにしておこう。
さて、ここからが勝負だな。どんな武器にしてやろうか。無難に剣で良いか、いや!ここは刀にするか!鞘まで作るとしたら刀の方が見栄えもいいよね!
さて、刀を作るのは良いのだが刀身を作って柄の部分を木材で作ってはめ込む……で良いんだよな?
……大丈夫かな、抜けちゃいそうじゃ無い?ああもう!刀身でちゃう!なんて嫌だな。
スキルの同時発動とか出来ないのかな?
《 可能です 》
あ、可能なんですね教官。リヤカーの時に言って欲しかったです。いや本当に
さっさく守護霊の導きで『木材加工』と『金属加工』を同時に発動する。刀身を作り上げ、そこに柄をしっかりと創造する。その後、柄の内部で刀身が抜けないようにいくつもの突起を生み出しそれなら合わせて柄の内部も変形させる。
これで抜けないだろ(適当)
そして刀身にぴったりと張り付くように木材を変形させていくーー。
よし、完成だ!見た目は完全に斬鉄剣だな! 俺の身長(6歳児)に合わせてるからなんかオモチャみたいだけど、木材も鉄も圧縮に圧縮を重ねて、3倍の体積を詰め込んでやったから性能は期待できそうだ。勿論刀身は湾曲してるよ?
でも色がちょっとな。木の暖かな温もりを感じる匠の業が光ってるとも言えるんだが……黒くしたいな。
……土魔法で塗料作れないかな。
作れたね(呆れ)もうこの世界魔法だけで良いんじゃ無いかな。
勿論、土魔法で直接塗装したさ!!剥がれるか心配だけど、まぁしっかり圧縮したし、最悪塗りなおそう。
どうやら魔法は繊細過ぎるイメージでなければ物体に貼り付けたりするのは簡単みたいだな。
これはもう試し斬りですね。とりあえずどうしよう?木材でいいかな?いや、流石に切れないか。
まぁでも、欠けたらまた補強すればいいかな……。
余った木材を棒状にして地面に垂直に立てる。
確か、刀って手前に引きながら切るんだっけか? 先輩店長(44歳)に教えてもらった気がする。
何故そんな事を知っているかと言えば、包丁の使い方を教えてもらった時だ。
日本特有の『和包丁』とは洋包丁とは刃の作りが違う。片刃と呼ばれ、片方の面にしか刃が付いていない。この片刃の包丁は基本的に真っ直ぐ包丁を落としても本質的には『切れない』ある程度薄いなら包丁は入るのだが、それは『細胞を潰しながら切り離す』ような感じになる。
ここに前後どちらでも良いから動きを付けて切らないと『切れない』のだ。こうして動きを意識して切ると、切り口は別物のように美しくなるし、刻んだ野菜なんかは切り口の細胞が潰れずに『切れる』から、日持ちも食感も抜群に上昇する。
何故かこの説明の最中に、「だから片刃が主流の日本刀は引きながら切るんだよ。ドラマとかでも引いて切ったりしてるでしょ?」なんて事を言われていた。
なので、和食居酒屋歴六年。頑なに居酒屋のくせに使いにくい和包丁を強制されて培ってきた俺になら扱えるはずだ。
引きながら、刀の根本から先端に掛けて
刃、全体を使って切る事を意識して刀を振るう。
ヒュン………
ん?手応えが無いんだが。
……カランッ。
木材は音もなく、手応えも無く、斬り伏せられた。
……これはちょっとヤバイもん作っちゃったんじゃ無いかな?切れ味が良すぎるぞ、これ。
なんか、あんまり切り方意識しなくても戦えるんではなかろうか。
試しにもう一度、残った木材に今度は横一線。
真っ直ぐに刀を振った。
ヒュン……。
カランッ……。
切り方とかどうでも良かったわ。
底辺作家なので
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