十九話 鉄がないなら生み出せば良いじゃない
とりあえずそこそこ野菜が手に入ったな。
肉とか魚とかも有れば良いんだけど、まぁ多少はね?一旦、野菜は置いていって、また探しに行くか……。この村井戸も無いから水も組んでこなきゃ行けないし、結構住みにくいんですけど。
昔の住人はどうやって過ごしてたんだ?そう言えば、この世界には水魔法と言うものがあるみたいだけどそう言うことかな?
はぁ……。水魔法の適性があれば良かったのに……。火魔法でも良かったかもな、現状俺は火を起こす手段がないから、原始的摩擦熱理論に基づいて発火させなきゃいかんし……。問題だらけじゃないか(呆れ)
野菜おきに来ただけだけど、ついでに畑作って植えてから行くか。土魔法で簡単に作れそうだし。
俺は畑を作ることにした。場所は村のすぐ隣、目星をつけて聖魔法で浄化をしながら『土壌理解』で汚染状況を確認していく。
順調に浄化作業……、除染の方が近いかな?が、終わり土魔法で地面を耕していく。
イメージして魔力を流すだけだから本当に簡単だよな。なんか魔力量もビックリするくらい増えてるけど気にしたら負けかな。
《 それは『墓荒らし』で死体から魔力量を回収したからです 》
え?魔力量回収出来たの??でも回収した時には何も感じなかったけど?
《 正確には総魔力量の上限が加算されました。上限が上がっただけでその場では魔力が増えた訳ではないので、恩恵を受けられるのは回復しきってからになります 》
あ、そうですか。マジ?魔力チート系??超嬉しいんだけど土魔法と聖魔法だけガンガン使えてもライフラインに影響が無いから、なんとも言えん。
《 それから『墓荒らし』には魔法適性を回収する力があります。今回、回収した死体は全て土魔法でしたので、ステータスに何も反映されませんでした 》
魔法適性も回収出来んの!?マジかよ、やった!賢者になれるね! 早く死体探さなきゃ(使命感)
そうこうしながら、畑をガンガン作っていく。前世は農家の息子だったが、畑仕事は手伝わずずっと引き篭もって不登校ボーイしてたんだがやっておけば良かったと来世で後悔するなんてな……。
よく分かんないから、とりあえず畑っぽく、良い感じに一定感覚で盛り上がった土のラインも作りながら、根っこごと引き抜いてきた野菜たちをひたすら突っ込んでいく。
トマト、胡瓜も見つけたんだけど何故か丸ナスと同じで木に実ってたんだよな。この世界の進化の仕方なんだろうけど訳がわからないよ。
野菜の木はそのエリアだけを作って平行に一列に間隔を開けながら植えていく。いずれ果樹園みたいな感じを目指そう! 全部野菜だけど。
菜の花なんかの葉っぱ系、芋類を地面に埋めて最後に野菜園?ゾーンを仕上げて再び森へ出向いていった。
◆
やっぱり水を引いて来る方が良いよな。土魔法使って水路の確保は問題なさそうだし、その方向で考えておくか。
以前、俺が目覚めた場所へと向かっていく。一応怖いから『視野拡大』で広範囲を確認しながら進んで行くが、いくつか魔物の魔力を感知出来たのだが重大な事に気づく。
そう言えば俺って完全に丸腰じゃない?武器とか無いじゃん! まぁ、土魔法で石の槍とか飛ばせば良いのかな?砂を操って、砂で魔物を拘束して圧縮して潰すとか?砂の里の長っぽいな、ワザマエ。
《 魔物は魔力を持った動物です。食用になります。原形を留めたまま仕留める事を推奨しますので、武器を作った方が宜しいかと 》
どんどん、喋るようになってくれたね。最早、教習所の教官って感じ?
でも、石か木しか加工出来ないし、それは如何なもんだろうか。 そう言えば土魔法ってそもそも石を生み出せるもんなのか?
試しに土魔法で棒状の石をイメージする。
簡単に出来てしまった……
これ、石材加工通さなくても良いんじゃね?
今度は土魔法で小さな石像をイメージする。
……細かい造形は無理なのね。魔法はイメージにも限界があるのか。犬の石像を事細かに、ツルッツルの表面を想像して作ったんだが……。大まかな形しか再現出来てないし表面も滑らかではあるけどトゥルットゥルにはならなかった。
土魔法で材料を生み出して、石材加工で仕上げるのが理想的か。
そう言えば石を生み出せたんだから、鉱石系もいけんのかな? 石って土魔法と同義なのも正直微妙なんだけど石が作れるなら、鉱石もいけるんじゃね?
…………出来ちゃったね。
簡単に鉄鉱石、と言うか鉄インゴットをイメージしたら鉄を生成出来ました。
リヤカーの車輪、作り直すか。