十一話
「……げほっ!げほっ!げほっ!」
意識が戻ってきた。
どうやら旅立ちは失敗したらしい。
「……はぁ…はぁ…はぁ……。生き残ってしまったか…。」
思わず声に出してしまう。
あれほど生にしがみ付いていたのに
どこか残念な気持ちもある。
崖から落ちている時の俺なら、そんな事思わなかっただろうな。
所詮は苦しみから汚れようと死を選んだ男。
また苦しくなれば、再びーーー
これが最後の人生だとしてもそんなもんである。
ーーだが生き残った。
じゃあやらねばなるまい。
(とりあえず超寒いんですけど濡れてるから当たり前か)
気づけば川岸に流れ着いていたらしい。
周囲は相変わらず森だが
魔力の気配も、最初にいた所に比べれば随分と可愛らしい。
痛む体をとりあえず無視して川から出る。
(一旦、体を乾かさないとなぁ…。うわっ、めっちゃふやけてるし)
服を脱ぎ、可能な限り絞って水気を取る。
干して全裸というのも考えたが、どこか先に身を隠せる場所を探した方が良いだろう。
(こんな時火魔法か風魔法が使えたらな…。土魔法じゃあ防壁は作れるけどその間ジッとしてなきゃいかんし、その間に対応出来ない魔物にでも遭遇したら終わりだしな)
仕方なく、湿った服を着る。
まだまだ寒いが、太陽光と体温で乾かす事にした。
スキルを使いながら森の散策へと向かう。
◆
(森はこのあたりで終わりか。随分と開けた草原チックな場所があったもんだ。ん?あれは……村、か?。しかしかなり荒廃してるな)
あれから1時間
基本的には森しかなかったが、その先に村を発見した。
そこは森が終わった先にある草原にあった。
(完全に廃村じゃないか。そんなに時間は経って無いっぽいけど…。まぁでも家なんかはそのまま使えそうだな。畑もあるし農村、って所か)
そこは放棄されたであろう廃村だった。
いく宛も無いので、俺はそこで滞在する事に決めた。
家々を物色していく。
(しかし、井戸も無いとかどうやって生活してたのこの村?家の中も本気で家以外の物残ってないし、放棄する際、完全に持って行けるもん全部持ってっちゃったのね…)
結局全部調達しなきゃじゃん!
普通なんか残っててとかあるでしょ!
多少の感謝こそあるが
俺は残念感に苛まれた。
いや、まだなんかあるかもしれんし、敷地内は全部確認しとくか…
村の端から端まで確認して歩くと
村の入り口から最も遠い所
家屋からは少し離れた場所に
祭壇のような……いや、神棚か。
木で作られた神棚を発見する
その奥には石で出来た墓のような物が。
(この世界でも死者は一応埋葬するのな。でも、よくもまぁこんな文明でここまで精巧な石造りのお墓なんて作れたもんだ)
それは現代日本と比べても遜色のないような
綺麗な墓石だった。
恐らくスキルで造られたんだろう。知らんけど。
するとーーー
(ッ!?なんか…光って)
俺の体から光が出ていた。
いや、俺の服の中ーー
ステータスプレートを入れている所から光が出ている。
慌ててステータスプレートを取り出すとプレートに新たな表示がーー
《墓荒らし(初級)の効果によりスキル、植物理解(初級)を取得可能です。取得しますか?》
………墓荒らしってこういう事なの?
なんか、違くね??
《 YES 》
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名前 レイダー・ラグーン
種族 人間
魔法 土
スキル 墓荒らし(初級)、視野拡大(上級)、植物理解(初級)
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あ、視野拡大ランクアップしてたのね……
こうして俺は3つ目のスキルを手に入れた。
底辺作家なので
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