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一話

……何故、こうなってしまったんだろう。


 俺、佐々木真一の人生は24年で幕を下ろした。


 幼稚園に通っていた頃は、明るく活発だったらしいが、小学校に上がると虐められ中学生まで不登校を貫いた。

 父親は脳梗塞で障害者となり、母親はうつ病で完全に精神崩壊を起こしていた。


 中学では友達に恵まれ、不登校を克服し

 父親はそのまま障害を負ったままだったが

 母親はうつ病もなんとかなり、働けるまでに回復した。


 高校に行った時は田舎の高校ながら生徒会長も務めた。

 校内のIQテストでは全校で1番だったし、ここからよくある成り上がり人生なんだって期待してたけど辛い人生を経験したからと言って、テレビでやってるような逆転人生は訪れないもんだと良く理解させられた。


 生徒会は何故か崩壊し、内部で四つのグループに分裂した。

 結局、まともな生徒会活動になる訳もなく、生徒会長の1年間は、ほぼ1人で仕事をこなしていた。


 高校を卒業して、親に負担をかけまいと居酒屋に就職。

 3年目には店長も任せてもらえるようになって、遂にここから明るい人生が始まると思っていたが

 客単価の良い居酒屋の店長となり、相手をする客は50代が平均値。


 しかし従業員は最年長が当時21歳の俺で、後は年下の社員が2人と大学生のアルバイトのみ。


 先代店長(44歳)から引き継いだ客が、クセの強いクレーマー気質が多く、俺が若すぎることもあり舐められ、トラブルも頻発した。


 後輩社員もヤンキー上がりみたいな厄介な奴で

 仕事も不真面目、複数のバイトに手を出し、揉め事を起こしてバイトリーダーは辞めるしそいつも辞めるしで散々だった。

 

 社内の幹部連中からは遠回しに気づかなかった俺が悪いと責められる始末。


次第に現実逃避から酒、風俗に逃げるようになり

 安月給では足りず、競馬で増やそうと一発狙うもなかなかうまくいかず、気づけば借金を抱えて、店の売り上げにも手をつけていた。


 会社ばれした瞬間に店を飛び出し

 逃亡生活を続けた果てに資金も尽きて、最後は聞いたこともない山へと逃げ込み、崖から飛び降りて命を絶った。



 これで、もう全て終わってしまったんだと思っていたが

 どうやら違うらしい。


 目を覚ますとそこは真っ白な空間が広がっており

 そこには光の球体が浮かんでいるだけだった。


 「ここは…?」


 「死後の世界、と言えばそうなのだが厳密には魂になると到達する次元。人間の世界が3次元なら、ここは5次元の世界だな!」


 光が喋っている……。


 と言うか死後の世界って5次元だったのか?


 「自殺した記憶しか無いんで、俺は死んでここに来たっぽいのはわかるんですが、アナタは誰なんですか?」


 「もっと混乱するかと思っていたが、全く動じていないのう…我、悲しいぞ」


 「混乱し過ぎて逆に冷静って事になりませんかね?で、結局誰なんですか?」


 「申し忘れたな!我は神だ!神と言っても沢山いるのだが、我は7次元に片足突っ込んだくらいのやや高次元の神だな!」


 まぁそうだろうと思ってたけど。

 神様の世界って7次元なのかよ。あと2次元ランクアップしたら到達するって意外と現実的?


 「やや高次元って言われてもピンと来ないんですけどね。俺ごときの魂になんの用があるんですか?せっかくクソみたいな人生から解放されたってのに、何があるんですかね」


 「うむ。簡単に言えばおぬしの魂が消滅しそうだったのでな、それは勿体ないと思いお主の魂を回収してきたのだ!」


 勿体ないから回収?と言うか俺の魂消滅しそうだったの?


 「なんで俺の魂消滅しかけたんですかね?それから勿体ないってどう言う事ですか?」


 「まぁなんだ、簡単な話よ。あまりにも罪深い魂と言うのは輪廻転生の軸から外されて消滅する事があってな。お主は自殺したであろう?自殺をすると言うのは最も罪深い行為なのだよ。」


 「そうなんですね。じゃあアレですか生きていた頃の罪とか死に方で消滅されるくらいまでポイント下げちゃったんですね。」


 「まぁそうなるな。そしてお主の魂は何度も転生を繰り返しておる。これまでの人生の罪も相まって遂に消滅と言うところまで来てしまっていたのだが、お主の魂は本質的には優秀な魂でな。消滅させるには勿体無いと思って引き戻したのだよ。」


 「優秀って言われても本当なんですかね?確かに頭だけは良かったような気がしますけど、人生失敗と転落ばかりでとてもそんな気はしないんですが…」


 「それはお主に恨みのある霊達に邪魔をされまくっていたのであろう。いくら能力が高くてもうまくいかない様に霊達に妨害の嵐を受けていたのだよ!」


 え?

 どういうことなの…

 霊達に妨害されていた?

 今まで何をやっても何故か上手くいかなかったのはそういう事だったのかよ……


 「ちょっと待ってください!じゃあ本来なら俺はもっと人生うまく行っていたって事ですか!?」


 「そうだな、だがお主の1番初めの人生が悪過ぎたのだ…。分かりやすく言えば、相当な悪徳領主でな…お主のせいで何万という人間が苦しみながら死ぬ事になったのだよ。そこで成仏出来ずにお主への恨みを果たそうとするものが4次元界に留まってお主が転生するたびに人生の邪魔をして足を引っ張っておったのだ。上手くいくはずもあるまい。」



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