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箱の中の悪意4

 

 それは斜陽が鋭く入り込む時刻のことだった。

 正確な時間は……なんせ五十年も前の話なんだ、そこは不問にしてほしい。

 とにかく、あれは夕暮れ時だった。


 教室には四人の生徒が残っていた。

 男子生徒三人、そして女子生徒一人の仲良しグループで、放課後の教室に残ってよくお喋りをしていたらしい。


 ……五十年前だと、どんな話をしていたんだろうね。

 この頃はプロレスブーム真っただ中だったけど、女子は興味なさそうだよね。

 音楽とか芸能とか、そんなところだろうか。


 まぁそんな話はどうでもいいんだ。

 重要なのは教室内に四人の生徒がいた。

 それだけ覚えていてほしい。


 その日もいつも通り、放課後の談笑を楽しんでた。

 だけど、そんな楽しい一時は突然終わりを迎えた。


 刃物を持った人物が、いきなり教室にやってきたんだ。

 そして四人は殺された。


 教室内はひどい有様だったらしい。

 彼らは必死に抵抗したのだろう、机や椅子が散乱していて、さらに彼らが絶命していることが一目でわかるほど、教室内は血で染まっていた。


 なぜ犯人は学校にやってきたのか、

 なぜ彼らの教室を選んだのか、

 なぜ、凶行に及んだのか、

 そして、犯人は誰なのか。


 警察の必死の捜査も虚しく、結局何一つ判明しないまま、この殺人事件は迷宮入りになってしまったんだ。

 警察が無能なのもあるかもしれない。

 ただ、この事件はとても不可思議で、難解な事件だったんだ。


 まず犯人の痕跡が全くと言っていいほどなかった。

 指紋なんてものは一つも検出されなかったし、血のついた足跡すら現場には残されていなかった。

 さらに、ほぼ間違いなく返り血を浴びているだろう犯人の目撃情報がないというのも、警察の頭を悩ませていた。

 まだ学校内には、部活動に励む生徒や仕事中の教師が多数いたにも関わらずだよ?

 そういうこともあって、捜査は全く進展せず、ついに迷宮入りというわけさ。


 これが僕の知っている事件の内容なんだけど、君はどう感じた?

 ちなみに警察は集団自殺って結論付けたらしい。

 不謹慎だけど、笑っちゃうよね。

 彼らに自殺する動機なんか、なにもなかったっていうのに。


 信じるか信じないかは君に任せるけど、これは断じて集団自殺じゃない。

 なんでそんなこと断言できるかって?

 それはまぁ……企業秘密ということで。


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