片想い特急
拝啓、あーちゃんへ
僕は今、桜が広がる田舎の風景を
電車の中から眺めています。
ガタンゴトンガタンゴトンと電車に揺られ、僕は東京に向かいます。
物書きとして東京で挑戦することが出来るなんてね。本当に嬉しいです。
君はいつも僕の書いた小説を見て、すごいすごいと言っていたね。まるで、新しいおもちゃを買ってもらった子どものような弾ける笑顔。
そんな君を見ていると僕も嬉しくなっちゃって。ついつい新作が出来ては、君に見せに行ってたね。
仕事はどうするんだ、それで食っていけるのか、お前に作家は向いていない、現実を見ろ、色々なことをたくさんの人に言われてたけど。君だけはいつも笑って、大丈夫と言ってくれたよね。
嬉しかった。本当に嬉しかった。僕だけしかいない世界。そんな世界を壊してくれたのは君だった。どんなに辛く、悔しい思いをしても、君がいてくれたから僕は頑張れた。
君の笑顔が見たくて。
君に褒めて欲しくて。
いつの間にか、僕は君のために書いていた。
覚えてるかな?ある日、僕は書いたものは君に見てもらえさえすればいい。そう言ったら、君は怒ったよね。
でも、今なら君が怒った理由がなんとなく分かる気がする。
君がガンでいなくなって、はや1年。
僕はなんのために物書きを目指していたのか。君を失ってから、そんなことばかり考えていたよ。
それでね。気づいたんだよ。
僕は書くのが好きなんだって。僕が書いたもので人に楽しんで貰いたいんだって。
馬鹿だよね。こんな簡単なことを僕は忘れていた。
僕は君に縋っていたんだ。書く理由を君に見てもらうことにすることで逃げてたんだ。
君がいたから、僕は物書きを続けていられた。君がいなくなり、僕は本当の気持ちに気づけた。
君がいなくなったからこそ見えたものもあったんだ。
でもね。僕はね。君にいなくなってなんか欲しくなかった。
僕が小説を書く姿を見てもらいたかった。
君の優しい声で褒めて欲しかった。
あの可愛らしい君の笑顔をもっと見たかった。
………
君と一緒に
生きていきたかったんだ。
もう遅いけど…
ずっと…
ずっと…
君に言えなかったことがあるんだ。
君のことが
大好きでした。
常に前進、日々精進!どうも幻想ショコラです。いやー、前々から書きたかった手紙風ショートショートストーリー。ついに書いてしまった。今回はもういなくなった人に向けての手紙ということで書いてみました。うん、泣けるね。これ。皆さんには大事な人がいるでしょうか?その大事な人に伝え忘れていること、伝え切れていない思い、ありませんか?私はそういう経験ありました。皆さんはそのようなことがないように!しっかりと言葉で伝えましょう!
他の作品もよろしくね!
以上、幻想ショコラでした!