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『それで。』

 寒い。

『君は。』

 怖い。

『何を。』

 助けて。

『願うんだ?』

 ふうわりと暖かな気配がオレを包む。

 恐れていた苦しみも痛みもここでは無縁だ。

『もう、ここへ来るか?』

『早すぎる。』

『いいじゃないか。そもそも生まれて真っ先に声をかけたのは、』

『………。』


 不意に世界が暗転した。


 一条の光がオレを描いたらしき、異物を生やす男の絵を照らす。

 先程見た時には右手を掲げていたが、その手は未だ地面の上にある。

 そのスポットライトの端の薄闇にある他の絵も。

 神界に呼ばれる直前、見た通りの姿絵だった。

 少女は魔獣の顎門の下でにっこり破顔し。

 獣人の男は仰け反りながら宙を舞い。

 視界には入っていなかったルキさんも、きっとこの絵の通りに毒液に侵されていたのだろうか。

 美しくも半身が既に爛れ、片翼が落ちた天人と、その傍を舞う女神達の絵。

 光は道しるべのように、ただただオレ達の散り際を照らす。

 もう、助けては下さらないのですか?

『我らに頼りすぎるな。』

 あそこへ、戻れと言われるのですか?

『そうだ。』

 このまま、ここへ来ては駄目なのですか?

『まだ早い。』

 ラウラ神の声が響く。

 でも、この状況じゃあ。

 抑揚の無い、だけれどもなんだか宥めるような含みのあるラウラ神の言葉に少しだけ気が落ち着く。

 この状況じゃあ、すぐ死に戻ってきちゃうんじゃないかなあ。

 それとも。

 地獄の方へ行くのかな?

 そんなに悪事は働いていないと思うんだけど。

『ふふ。面白い事を言う。私からも加護を授けよう。』

『ウチのも世話になっているようだしな。』

 ぴこん。

<『神との対話』

 時神イェルと龍神サリウとのコンタクト達成

 イェルの加護LV1を取得

 サリウの加護LV1を取得>

『あとは月神でコンプリートだなー。』

『絶対やらね。』

『まーそう言わずに。あれ、お前喋れるの?』

 ぴこん。

<『神との対話』

 月神***とのコンタクト達成

 ***の加護LV5を取得>

 びくっ、と存在が揺れた。

『あははは。いきなり随分な加護を与えたねー。気になって仕方ないんだろう?魔王もお前の加護なら素直に受け取るんじゃないか?』

 あのツンデレが素直になるかなあ。

『まじ、それ』

 ぴこん。

<***の加護LV7を取得>

 再び存在が震えて、気配が消えた。

『あははは。元勇者の癖にチキンな奴だろ。さてと。ちゃんと正座して聞いていたな。よしよし、褒美をやろう。』

 身体の感覚は無いが、精神的には背筋を伸ばして拝聴しておりましたとも。

 色々衝撃で硬直していたとも言うけど。

『改めて。願いはなんだ?』

 贅沢は申しません。ちょっとパーティ全滅の危機を助けて下さい!

『っと、君って奴は。』

 呆れ声のダナス神だが、ここぞとばかり精神的に額を床になすりつけてどうかお願いします!

『では界を繋いでやろう。』

 イェル神が仰った。

『では我が眷属を向かわせよう。』

 サリウ神が仰った。

『おやつを土産にやろう。』

 ヨルグ神が、骨をくれた。シグたん用ですね。

 ありがとうございます!

『さあ、戻すぞ。』

 ごくりと唾を飲みこむ。

 あの魔獣がぶっ刺さった身体に戻るのはぞっとするが。

 ふう、と息を吐き。

 お願いしますと告げる。



 鼻先にころりと魔石が転がってくる。

 戻って、きたのか。

 脱力している場合ではない。

 視線をあげれば。

 一本目の触手がカティの足に絡みつく。

 二本目の触手はカティが切り落とす。

 壊滅までもはや猶予は無い。

 オレは魔石と共に剣を握りしめて雷撃を魔獣に打ち込む。

 けれども。

 虚しく一撃必殺の剣は躱されて。

 魔獣の意識が全てオレに向かう。

 カティが噛み砕かれる事はもう無い。

 シグが尾で叩きつけられる事も無い。

 ルキさんが毒液に侵される事も無いだろう。

 にまと笑みがこぼれた。

「「トール!!!」」

 カティとシグがオレを助けようと翻る、その隙をつく余裕を魔獣に与えてなるものか。

 もう一つ、身体の下にあるはずの魔石を拾おうと地面に手をつく。

 今一度、雷撃を。

 だのに。

 どんと衝撃が走り、身体が地面に縫い付けられた。

 また、背を貫かれたのか。

 腹を破る激痛を覚悟して歯を食いしばる。

「なんや?は?え?うおっ?ちょ、待ってえな!」


 背中で触手が喋った。

チート転生かつチートハレムの只中にいながら苦労しかしていないモブ系主人公。

タイトル通りの“おいしい”日はいつ来るのか。

ほんと、すまん。

次話から再び軽量化予定です。重々しくて失礼しました。

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