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いつあショッピングタイム 4

メリクリ

「ぷっはー、」

 シャイロックさん、片手は腰に当て、瓶を持つ手は小指を立てて、非常に良い飲みっぷりです。

 おー。モザイク処理が必要だった脚が見事に治りました。

 祝、脱二人三脚。

 文字通り、肩の荷が下りてオレとしても嬉しい限りです。やはり、エリクサーはもう少し仕入れておきたいな。

「文左衛門さん、このエリクサーはどちらで入手されたのですか?」

 尋ねながら、金貨を一掴みそっと握らす。

 もうね、竜人は攻略済みなのだよ、わはは。

「あんさんなあ。」

「えー、足りないですって?仕方ないなあ。」

 もう一掴み、袖の下を渡す。

「そやない。こんなん、要らんわ。」

「そう仰らずに、受け取って下さいよ。で、サクッと教えて下さい。」

 文左衛門さんとシャイロックさんが顔を見合わせている。

 流石に厚顔過ぎただろうか。

「仕方ない。ヒルダさんも一肌脱いで下さい。」

「え、お金、ありません……。土下座でも、いいですか?」

「ここは肌色の多い感じで悩殺しましょう、氷帝様。滅殺です!イチコロでお願いします!」

「無理無理無理!」

「大丈夫です。オレも一緒にパンイチで土下座しますから。さあ!」

「見とうないわ、そんなん。」

「じゃ、止めるんで教えて下さい。」

「「………………はあ。」」

 お二人から溜めのやたらながい溜息が漏れ聴こえました。

 ヒルダさんを巻き込んでのノリ押しでも駄目だったか。

 うーむ、手強い。

 文左衛門さんががしがしと頭を掻きはじめた。

 懐かしの団長と同じ癖かな。

「エリクサー言うたらお宝や。材料も希少やけど、作っているエルフ族がまた気難しい輩でな。そうそう、譲ってはくれへん。」

「そうなんですか?」

 アレクセイさんが大量に持っていたからエルフの里とかでは格安で販売しているのかと思っていたよ。

「知らんかったんか?」

「人間の国では国宝扱いなのは知っています。」

「知っていて、シャイロックに渡したんか?」

「はあ。オレの持っているポーションでは治りませんでしたから。エリクサーもひと瓶持ってはいたんですけど、これはルキさん用の預かり物なので差し上げられなかったんですよ。」

 何かいけなかったのだろうか?

「あ!もしかして偽物でオレを騙したんですか?あれ?でも、怪我治ったよな…。」

 念のために残りの四本を鑑定する。

『上等な回復薬、何にでも効く』

「失礼しました、本物ですね。」

 シャイロックさんをダシにして四本も余計にせしめたのがあくど過ぎたか。

「分かりました、残りはお返しします。だから入手先を教えて下さい。」

「………せっかく手に入れたお宝をぽんと他人にくれてやったり、返してきよったり。お人好しにも程がありますやろ?」

「はい?」

 お人好し。…またか。

 よく言われるのだが、決して褒め言葉じゃないんだよな。

「もとはタダで文左衛門さんからせしめた物じゃないですか。それを渡しただけでどうしてお人好しなんですか?それを言うなら文左衛門さんの方がよほど人柄が優しいじゃないですか。」

「ごほっ、」

 シャイロックさんが腹を抱えて肩を震わせ始めた。

「ちょ、大丈夫ですか?」

「ぶ、ブンザが優しい?は、は。笑い殺す気か?」

「知りませんよ。兎に角、エリクサーの出所を教えて下さい。」

「わかったわかった。竜人を優しいだの助けるだの言うお人は中々おらんさかい勘繰って悪かったな。」

 えー?

「痛くない腹を探らないで下さい!」

「うん?医者ではないからそんな事はせんけど。」

 あー、通じないか。

 何だっけなあ。

「片腹痛いです。」

「痛いのか痛くないんかどっちやねん!」

「オレもよく分かりません。何にせよ、誤解が解けて何よりです。」

 一体何だったんだ?

「ヒルダさんまで何を笑い死にかけているんですか。」

「だって、だって、トールのステイタス、ぶはは。底抜けのお人好し、天然って、ふふふ。」

「そういうヒルダさんは、」


 は?何だ、このやばそうなステイタスは。


「ヒルダさん、貴女のステイタスは歩くポンコツです。わはは。」

 オレは上手く笑えているだろうか。

 ヒルダさんとその向こう側に居たシャイロックさんのステイタスをまともに読み取ってしまい、小市民のオレにはちょっとどうしていいか分からない。

 ヒルダさんの二つ名が<災厄の預言者>、シャイロックさんときたら直接過ぎる<冥府の使者>となっているんですが。

 こっわー。

「ヒルダさん、今日はこれから雨降りますかね?」

「雲一つない晴天で?降るなら隕石ぐらいじゃないかし、わきゃ?!」

「ば、爆発か?」

 いいえ、隕石が降って来たんだと思います。

 市場の向こうに閃光と爆音。

 これ、オレの所為でしょうか?

「あのっ、あっちは市街地が広がっていたりしますか?」

「あの辺は沼だったかな。」

「沼、ですか。じゃあ、住んでる人は、」

「カエル族ぐらいやな。」

「ひっ。な、な、何人ぐらいの集落でしょうか?」

 やばいやばい。

「落ち着け、ブンザの冗談や。あの辺りは本当に沼地で誰も居らへん。」

「本当に?」

 信じていいのかな?冥府の使者の言う事だけど。

「たまにあるんや。底から湧いてきたガスが爆発しよる。危のうて誰も近寄らへんよ。」

「隕石じゃない?」

「そんなもん、そうそう降ってくるかいな。」

「凄い。ステイタスに詐欺師も謝るお人好しって。」

「な、何故それを!」

 昔ばあちゃん宛にかかってきたオレオレ詐偽電話に引っかかって、親身になりすぎ最終的に相手が改心した経歴があります。

 やだ、恥ずかしい。

「隕石じゃないならいいんです。何で三人で笑ってるんですか!文左衛門さんはさっさと入手方法教えて下さい!シャイロックさんは掘り出し物ちゃんと探して稼いで下さいよ!ヒルダさんはとりあえず土下座!」

 笑っていられるのも今のうちだ!

 見ていろ、オレは泣く子も黙る悪者になってやるからな。

 魔王の下僕の底力に慄くがよいっ。ふはははは。

はるか昔、欲しい物は大体くれなかったサンタさん。

最近は百パー欲しいものが届きます。

大人のサンタは密林在住。

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