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いつあショッピングタイム 2

「わてら竜人雇おうおもたらこんな端金では足りひんのやけど。」

 肩の後ろで愚痴愚痴とした声が、聞こえんなー。

「もう一つの取り引きも忘れないで下さいよ。鑑定スキルの使い方。オレ、ろくなもんしか鑑定していませんもの。」

「教える事なんて今更あるんかいな?全く。」

「あ、今のキツネちゃん、上げ乳です。」

「あかんよ、あかんて、その鑑定は。」

「今のキツネちゃんは、偽乳でした…はい、やめときます。」

 物凄く可愛いかったのに。世の中には知らない方が幸せな事もある、とほほ。

 やっぱり、シャイロックさんには色々教わらないとな。

「いい加減、この二人三脚を終わらせたいんですが、回復系アイテム見つかりそうですか?」

「うーん、はぐれの神官も今日は居らへんな。小遣い稼ぎに野良祈祷しとる奴が大体おるんだが。」

 きょろきょろと辺りを見回すシャイロックさんを見習って、オレも鑑定スキルで品定めをしてみる。

「っ!」

「やめなさい。一度に鑑定したら脳が茹るわよ。」

「そ、そういう事は先に教えて下さい…。」

 一度に情報が押し寄せてきてまだ目眩がするよ。

 個別に鑑定しなくちゃならないのは面倒だな。

「なんか効率的な方法はないんですか?」

「教えてやっても良いが少々頭が高いな。」

 ここぞとばかりにヒルダさんが胸を張る。

 …うざい。

「あのー、すみません。このあたりに奴隷商いませんかね。この魔族を売り払いたいんですが?」

「ごめんなさい、ごめんなさい、少し調子に乗ってしまいましたっ。」

 判ればよろしい。よろしいから往来での土下座はやめ、やあ、少し快感になってくるな。

「で、秘訣はあるんですか?」

「あ、はい。えーと、ですね。品物をそれぞれ鑑定するのではなくて、店や店主を鑑定したらどうでしょう。」

 なるほど。良店か目利きかを鑑定していけば自ずと良品に巡り会えるわけか。

「えーと、」

「そんなんされたら商売上がったりですわ。」

「あ、あの店。」

 一つ売り捌いている物が桁違いの店がある。

「おや、ブンザやないか。」

「お知り合いですか?」

「古馴染みや。おおい、ブンザエモン!」

「ぶは。い、いえ、すみません。」

 文左衛門さんですか。オレの耳がなんか、すみません。

 相変わらず一度そう聴き取ると何度きいても文左衛門さんにしか聞こえないんですよ。

「おや、シャイロックやないか。お前さん、下手うって猫王に首刎ねられたんちゃいますのん?」

「せや。すぱーんと刎ねられて仕方ないから新しい身体を買うたったんや。けどなあ、セール品のせいかどうも片脚がよろしないんですわ。なんぞ、いい回復アイテムありまへんか?」

「ほう。失敗したのは本当か。」

「いややわ、そこ、素で追及するなや。」

「まあ、そこに正座しい。」

「…足、痛いんだけど。」

「、」

「あー、はい。えっこらしょと。」


 えーと?何が始まったのでしょうか。

 文左衛門さんが逆鱗露わにシャイロックさんを正座させて説教を始めてしまいました。

 あの、という程付き合いのある人ではないものの、その、シャイロックさんが大人しく冷や汗垂らして話を聞いています。

 時折恨めしげにオレを睨むのはやめてください。

 長くなりそうなら他の店を冷やかしていようかな。

「あら、これ。」

「可愛くても、似合っていても、もう買いませんよ。」

「これが似合うと思うか!」

「そこそこお似合いです。モード系ですか?」

 見た目のいい奴がファッションといえばどんな奇抜な格好でも許される世界から転生してきました。

 それにしても骨はないよな、骨は。

「トールさん、とおるさああん。放置しないで。」

「何ですか、ヒルダさん。って、その骨は!」

 あれ?文左衛門さんのお店に並んだ品物を全部言えちゃうぞ。

「壊れたゴーレム、肉を食べた後の竜骨、謎のモノリス、不気味に光る岩、へしゃげた宇宙船ぽい何か、その他諸々、ルームランナーにエアロバイク、ぶら下がり健康器具だかハンガー掛けだか。」

「このガラクタの山を見てよく判るわね。」

「判るも何も、これはカティの。」

 っと、そうか。ヒルダさんは海獣と闘って見事に崖を跳んで行ったんだったな。

「この骨、古代竜の骨じゃない。それに、これは…アビスメイズのラストガーディアン?こ、これは!アウターズの秘宝まで!!!」

 一番驚いているのが健康器具なのは解せぬが、そんなに凄い物なのか?

「海辺を脱出する時にカティが捨てたガラクタの山だろ?」

「捨てた?捨てたの?これを?鑑定持ちの貴方が付いていながら?すーてーたー?」

 怖いよ、ヒルダさん。

 目が血走ってます。

「鑑定ったって。」

 骨を鑑定。

『肉を食べた後の竜骨』

 …これ、お宝か?

 あ、そうか。勇者と魔王の晩餐の残飯で歴史的価値って奴かな?

 もう一度鑑定。

『人間と魔族に狩られて食べられた竜の骨』

 惜しい!

 美味いダシが取れるとか?

 再鑑定。

『獣人には好んで齧る者もいる、骨』

 シグたんは喜んでいたよな。

「レア度とか価格で鑑定してみなさいよ。」

「そんな鑑定方法があるんですか。」

 鑑定。

 ヒルダさんがセブンスターで思っていたよりレア度が高い。

「わ、われでは無い!」

 じゃ、正座しているシャイロックさん。

 は?星ひのふの、十四?

 文左衛門さんも十四、ってことは竜人のレア度なのかな。

 じゃあオレもレア度七か。

 鑑定。

『トールの右手』

 うん、使えない!

「骨を見なさい、骨を!」

「へえ。鑑定っと。」

 …あ、れ?

「鑑定スキルが壊れました。」

「合ってるわよ。」

「だってレア度が三十超えてますよ?」

「他も見てみたら?」


 ゴミカス呼ばわりして御免なさい。

 何に使えるかさっぱりだが、レア度はどれも軒並み三十超え、総額は億どころか兆の桁を叩き出している。

 うそーん。

「嘘だろ?なんでこんなガラクタが…。」

「竜骨はエリクサーの原材料。」

「ただのカルシウムじゃないのか。」

「この岩はオリハルコンの原石。」

「ガイガーカウンターは必要ないのかな。」

「このモノリスはどこでもの扉。」

「開けると風呂場に行くやつか!」

 ツインテの小学生女子が入浴しているから絶対開けてはダメなやつ。バンされる事必須です。

 何でこんなお宝持っているくせに、無効の指輪は無いんだよ……。

「この扉でダンジョンに行けなかったのかな?」

「鑑定して。」

「えーと?何なに?こちらからは開かない。…つまりあちらからは開くんだよな?え?誰か出てきちゃうのか?」

 どこでもな扉の裏側かー。全く使えないな。なんでこれがこんなに高いんだよ?

「何か気に入りはりましたか?」

「あ、説教終わりましたか?」

「見苦しいとこお見せしましたなあ。できの悪い義弟ですがこれからもよろし頼んますわ

 。」

「弟?お兄さんなんですか?」

 シャイロックさんが口元をへの字に曲げたまま頷く。

「姉貴の婿さんですわ。昔から兄貴風吹かしよってかなんわ。」

 なる程。シャイロックさんのいまいち三枚目な言動は弟キャラだったからか。

「お姉さん、三人くらいいませんか?」

「な、何故それを!!!」

「ふははは!貴様の攻撃は見切ったぞ、シャイロック!もはやオレの敵では無い!」

「な、何っ?!」

「あんまり阿漕な事を言ってると、『お姉さんに言いつけるぞ』攻撃っ!」

「が、がはっ!!!そ、それだけは堪忍やー!」

 まあ、敵対はしたくない御仁ですので仲良くしたいと思います。

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