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買い物をしよう 3

 ヒルダさんが招き猫のような顔になっている。

 称号:金満家

 ははあ、成る程。

 所持金は、と。

 国家予算がまるっと入金されている。

 金目の物を漁りまくったようだ。

 一方、ルキさんは光り輝いている。

「加護が戻ったんですか?」

「ううん。お風呂を頂きました!」

「上級ポーションを入浴剤にして浸かってたわ、全く。」

「見てください、翼もすっかり元どおり!」

 ルキさんに衛生概念が生まれたことを喜んでおこう…。

「はい、コレ。炎帝の武器。シグちゃんも、剣を返しておくわね。」

「おー。オレからはコレな。」

「…何この三角。」

 ふっふっふっ。

「手塩をつけて、熱々のうちに握った、その名も鬼斬だ!」

 手を氷水で冷やしてから握ると火傷をしないとばあちゃんの知恵が教えてくれたぞ。

「武器?投げるの?」

「投げちゃダメええ!お握りは食べ物だからっ。うっかり転がすことはあっても投げてはいけません!」

「美味いぞ!俺様も手伝ったんだっ。」

 おかかを削ってくれました。

「ご飯っ?!」

 ヒルダさん、握り飯似合うなあ。

 泣きながら貪り食べてるよ。

 ルキさんも、どうやったらそこまでお握りを零せるんだ?

「カティも、腹減ってるだろ?」

「はー。あんた達、本気で食料だけを確保してきたのね。」

「飲み物やおやつも確保したぞ!」

 珍しい調味料も手に入れたし、抜かりはないと思うんだが?

「ま、いいわ。シグ、ルキとヒルダと先に脱出経路確保頼むわよ。トールはちょっとあたしと来なさい。」

 ???


「おい、カティ。これ、城の奥に進んでないか?」

「奥というか、地下ね。あのデブ猫、いい趣味してるわ。」

 鉄格子をあっさり斬り捨て、何事と抜剣する兵にマタタビを浴びせてずんどこ進んで行く。

「なんだか嫌なとこだな。」

「長居したい所では無いわね。」

 ざむっ、と扉の鍵をぶっ壊し、ばんっと開く。

「ひっ!」

 中を覗くとブルドッグ、みたいな犬人がのそりと立ち上がった。

「おう、にいちゃん。出してくれんのかい?」

「ど、ど、どうする?カティ。」

「ふん。あんた何して捕まったの?」

 にっ、と男は歯茎を剥き出しにして笑った。

「なに、ちょいといけ好かないブタ猫に吼えてやっただけさ。」

「しょうもないわねっ。次は噛み付いてやりなさいよ。」

 にたありと笑い返して、カティが男の枷をぶった斬る。

 おーおー、猫王様、完全に魔王を敵に回したな。

「いいのか、逃して。ここ、地下牢だろ?ああは言ってたけど、本当は何かやばい犯罪者だったかもしれないぞ?」

「そうかもしれないし、ただ迷って城の裏庭に出て来ただけの人かもよ?」

「まー、そうかもしれないけど。」

 次の牢も、その次の牢も、背中に仁王を背負っちゃっているような面構えの獣人さん達が中にいらっしゃって、実に心臓に悪い。

「あ、こいつはナシ。」

 カティが開けた扉をまた閉めた。

 好奇心に駆られてちらと覗き、うかつにも鑑定して腰が抜けました。

「ほら、次行くわよっ。」

「あいつ、あいつ、あれ、あの、」

「アレは逃したらまずいわね。」

「なんであんな人がここに居るんですかっ!」

「そりゃ、牢屋だからじゃない?」

 …ごもっともです。

 ルンルン異世界転生話が別ジャンルになってしまうので詳細は省くが、まあ、サイコなお方でした。封印。

 とまあ、ダメ猫城でも一応城の地下牢だけあって、一癖も二癖もある面々が収監されておりました。

 で。

「おっかしーわねえ?もう、処刑されちゃったかな。」

 カティさんは一体どなたをお探しなのでしょうか。

 残る扉は二つ。

 ばんっ。

「あー、ハズレた。」


 ぎ、ぎ、ぎ。

 最後の扉を開ける。

「あっは!いたいた。まさかと思ったけどやっぱりいたわねっ。久しぶりっ、元気にしてた?まー、面白い事になってるじゃない。ねえ、助けて欲しい?ここから出して欲しい?えー?きーこえなーい。」

 カティ、テンション高いな。

 対して相手の声は全く聞こえてこない。

 恐る恐る扉を盾にしたまま盗み見る。

「ちょ、高笑いしてる場合ですか!」

 ステイタスチェック。

 体調:死に損ない

 だああ!見たまんまじゃないか!

「大丈夫よー。こいつ竜人だからちょっとやそっとでは死なないわっ。」

「とにかく。お知り合いなんですね?」

 称号にサイコパスとか快楽殺人鬼とか付いてないから大丈夫だとは思うが、ポーションを与えたとたんにガォーっと襲われても困るので確認しておく。

「だーめー。只ではやっちゃ駄目よー。さ、幾ら出す?」

 これは酷い。

 魔王らしいと言えばらしいが、幼女姿でやってはいかんだろう。

 と、瀕死の虜囚が指を三本挙げた。

「はあ?あんたの命、やっすいわねー。」

 応じるこの人もこの人だ。

「ぽーんと、十ぐらい示しなさいよ。」

 竜人さん、三本と点を打ってから四を出した。

 刻むなー。そこは3.5でいいんじゃないか?

「はあ?話にならないわねっ。トール、行くわよっ。」

 はい、3.7が挙がりました。

 体調:断腸の思い

 そこまで?

「行こ行こ。じゃあねー。」

 3.9いや、四が挙がったよ!これ以上はこの人死んじゃうよっ。

 体調:胸が張り裂けそう

「駄目よっ。」

 オレが取り出したポーションはカティにあっさり奪われる。

 体調:喉から手が出る

 怖いよ!

 4.9が出ました。

 もうさ、諦めて五、出そうよ?

「ほーっほっほっ。片手で済まそうったってそうはいかな痛っ!あにすんのよ?」

「わざわざ無駄な恨みを買うこともないだろ。ほら、あんた飲めるか?」

 ポーションとお握りを渡すと竜人さんはぺこりと頭を下げてから貪り食べた。

 なんで投獄されていたかは知らないがそんなに悪い人じゃなさそうだ。

「カティもあんたを助けたくてここまで来たんだ。腹が立っただろうけど、大目に見てくれよ?」

「大目に見てもええですが、なんぼ出せますか?」

 ……はい?


 オレ、耳がおかしくなったかな?


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