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書を持たずして旅に出よう 5

「俺の知っている事は以上だ。何か質問はあるか?」

「カティを七将が狙っているそうですが、激おこでない残りの一人はアレクセイさんですか?」

「質問の意図が分からないが、俺も出来ればこの隙に鉄塊抱かせて北海へ沈めてやりたいぞ?」

 カティーっっっ、あんた何やらかしてんだよ。

「それにあいつに怒っていない奴などは居ないはずだが。」

「そうなんですか?勇者と決着した時から七将は怒っていると聞いたんですが。」

「ああ。もう一人はその前からカティを狙っていたからな。」

 七足す一は八。何のことはない、カティ、結局部下全員から総スカンじゃないか。

「今、カティが狙われたらシグも巻き添えになる。他の六将には極力隠密にする様に。」

「はあ。隠密も何もオレには他の方々を知りませんし。アレクセイさんこそ、ヒルデガルドさんに情報流しているじゃないですか。」

「流した訳ではないのだが…。あいつは鑑定スキル持ちで他人のステイタスが分かるんだ。先日、使役を代わって欲しいとコンタクトしたので俺を思い出し、たかりに来たらカティに出くわしたんだろう。引きの強さというか間の悪さというか、まあ、ある意味強運持ちだ。どうせ暇にしているから、ダンジョン探査に連れて行くといい。」

 あらゆるトラップ全部に引っかかってしまいそうだな。

「ルキさんが無加護なんで、代わりに回復要員になって貰えますかね?」

「へっぽこだな。」

「じゃあ、バッタバッタとモンスターなぎ倒し、」

「スライムくらいは倒せるんじゃないか?あれでも。」

 想像以上にぽんこつだ。

「えー?氷帝なんですよねえ?」

「くそ寒いんだ。まあ、それは冗談、というほどでもないが、鑑定スキルはそう馬鹿にした物でもないぞ?」

「知ってます。シグたんの記録水晶、今度見せて下さいね。」

「何?…まさか。」

「はい、そのまさかです。オレも先日、鑑定スキル持ちになりました。」

 えっへん。



 ここに置いていかれても困ると軍資金という名の賄賂を渡されて、ぽんこつヒルダさんもパーティメンバーになりました。


『トールと愉快な仲間たち』

 俺様はアレクサンデルシグムンド、通称シグたん。お昼寝とお散歩の名人。

 俺様のような金狼獣人でなければリーダーは務まらん。わっふ。

 ボクは天人ルキウス。通称光の天人。自慢のルックスに、女神はみんなイチコロさ。困ったしゅん顔で皆んな何でもそろえてくれるんだ。

 ヒルデガルド、通称ヒルダ。氷帝だ。魔王でも勇者でも容赦はせぬ!でも、貧乏だけは勘弁して下さい。

 待ちくたびれたわ!あたしこそ魔王エカテリーナ。通称カティちゃん五ちゃいよっ。魔法と剣の腕は天下一品!嫌われ者?変わり者?だから何?なんか文句ある?

 飼い主のトールです。以上。


 こんな感じか。

 …先行き暗雲しか立ち込めていないんだが大丈夫なんだろうか。



「貴様ら、ダンジョン攻略に必要な物は何だ!言ってみろーっ!」

「うーん?絆創膏?」

「オヤツよオヤツっ。」

「はっ。そんなモノ、気力と根性に決まっておろう!」

「ふっふーん。違う、違うぞ!俺様が教えてやろう!それは美味い飯だ!」

 ごめん、シグたん。多分本当は違うと思う。

「はい、シグちゃん!お酒はご飯に入りますか?」

 ルキさん、いける口なんだな。

 流石は売れっ子ホスト。

「オヤツもご飯の別腹よっ。」

 女子は皆そう言うな。

「ご、ご飯!三食食べられるんですかあああ!」

 ヒルダさんのスレンダーボディーは見納めになりそうだ。

「ツーマンセルで行動するぞ!俺様とヒルダは右側の店を、ルキとカティは左側の店を制覇せよ!」

 シグたん、ノリノリだなあ。可愛ええ。

「リーダー、オレは何処を攻めればよいでありますか?」

「決まっている!トールは屋台に売ってないご飯を作るんだっ。」

「あいあいさー。」

 よおし、ぱぱ、特盛牛丼作っちゃうぞー。

 はっ。シグたん、玉ねぎ食べさせていいんだろうか!


「何の質問かと思いきや、一体なんなんだ?」

「っだから玉ねぎですよ、玉ねぎ!シグは玉ねぎ食べさせて大丈夫ですか?」

 伯爵城に駆け戻り、息を切らせて大切な質問をしたオレにアレクセイさんはやれやれジェスチャーでため息をついた。

 おっさんにされたら確実に腹立たしいが、今のアレクセイさんは高嶺華美人。

 もうこの豚めとか罵って下さい。げふん。

「シグは野菜嫌いだが食べさせてくれ。」

「食べさせていいんですね?オレの元の世界では、犬にねぎやブドウを食べさせると死ぬんです。チョコもダメです。」

 うっわ。

 し、知らなかったんですね、アレクセイさん。

 ムンクの叫びのようなお顔になっております。

「あー、でもほら、随分健康そうなマッチョ巨漢に育っていたし。大丈夫ですよね、きっと。」

「大丈夫か?大丈夫だと思うか?前に腹を壊したのは、オレがネギを残すなと言ったせいじゃないのか?」

 一人で二キロほど焼肉ばかり食べたので野菜も食べろと叱ったそうな。

 それはただの食い過ぎだと思う。

「鉄タグ取得の祝いのケーキはチョコ味だった!シグは死ぬのか!」

「何年前の話ですか。その様子なら大丈夫そうですね。お騒がせしました。」

「そうだ、腹を壊すと言えば、これを持たせるのを忘れていた。」

 腹巻とかかい巻きとか、えり巻きとかを渡されました。

 一つ一つにシグたん犬モードのアップリケ付き。

 情景が目に浮かぶよ。

 シグたんを寝かしつけてから夜なべ仕事で作るアレクセイさん。

 大きくなってからも捨てられずメモリアルに残しておいたようだ。

「お預かりします。」

「ああ。頼んだぞ。」

 任せて下さい!シグたんの寝冷えはオレが守ります。


 さあ、準備は万全だ。冒険に出かけよう!

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