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書を持たずして旅に出よう 2

「だいたい、ここから先は団長もみていたじゃないですか。」

「ブタカツ食うか?」

「何でも聞いてください。あ、渋茶もお願いします。」

「あたしはジュースねっ。」

 団長は頭をがりがり掻きむしってからオーダーを通してくれました。

 うん、禿げる前に洗いざらい報告してあげよう。

「えーと。<生命の書>って、天界の秘宝なんですよ。それを、三女神がルキさんの気を引きたくて他の神々の了承も得ず勝手に授けてしまったんです。で、ラウラ神に謹慎を言い渡された女神達は慌てて加護がわりに神官達へルキさんを守るよう神託を下したという訳です。」

「どこ情報だ、まったく。」

「ニュースソースはダナス神です。」

「そーか。で、それから?」

 勿体ぶって話しても、ざっくばらんに話しても団長の頭髪は危機にあるようだ。

「<生命の書>を回収したかったラウラ神はコネクト済みのオレに本の使い方を教えこんで、ルキさん治癒に使わせたんです。」

「何であたしを治さなかったの!あたしが治っちゃえばルキの解呪なんて簡単だったのに。」

「はいはい、オレが阿呆でした。目の前でのたうち回っているルキさん見て冷静な判断が出来ませんでした、すみません。」

「むう。こう見えてシグちゃんの状態だってかなり不味いんだからねっ。次は気をつけてよ!」

 なんていうツンデレなんだ。

 えぐいほど殴られたけど思わず惚れてしまいそうだ。

「何よ、気持ち悪い顔で。」

「いや、ロリも鬼婆も守備範囲外なので惜しいなと。」

「誰が鬼婆だ!」

 だって魔王エカテリーナさんのステイタスが見えるんですもん。

<生命の書>をオレに使わせる為に、ラウラ神は無理矢理父さんのギフトを使ってしまった。

 おかげでまともな鑑定スキルが発動しました。

 ルキさんに施したようなステイタス操作となると<生命の書>の類が必要になるのだが、見るだけならなんと只!

 あらー、団長に状態異常が付いています。

 寝不足、食欲不振、ストレス性胃炎。

 なるほど、揚げ物をかっこむオレ達を浮かない顔で見るわけだ。

 もちろん、スキルに気づいた時に真っ先に自分も確認したぜ!

 鏡に自分を映してですね。

 …鏡像、鏡に映った姿。

 見れば分かるわっ!

 腕を見れば、腕。

 足を見れば、足、短め。

 つ、使えねえ。

 まあ、自分のステイタスが見れたとしても見れるだけっちゃだけなんだが。

「大体そんなところです。何か、ご質問ありますか?」

「お前は一体、いや、何も聞きたくない。語るな、むしろ。」

 事情聴取すると言ってきたのは団長なのに、失礼な。ぷんぷん。

「それでこれからどうするんだ?」

「聞きたくないんじゃな、あ、トンカッツーっ!」

「どうするんだ?」

 くう!食べかけの皿を奪うなんて酷い仕打ちをしやがるぜ。

「仕方ないので、他の秘宝を探しに行きます。」

 それしかないよな、やっぱり。

「えーと、この国の宝物庫に<無効の指輪>か<宇宙の欠片>なんて無いですよね?」

「それが秘宝か?ん、待て。<無効の指輪>、聞いたことがあるぞ。なんだったかな……。」

 ぽくぽくぽく、ちーんっ。

 謎は全て解けたっていうお顔をなさった後に、団長のステイタス異常が増えました。

 目眩、動悸、息切れ。

 うそ、やだ、オレに恋?…んなわけないか。

「魔王が難攻不落のガルド城の結界を破壊したのに使った秘宝が確か…。」

「そんな事もあったかしらー。」

「あったんだな?あったなら、さっさと出してください!」

「確かに昔、アレクに取って来させて使ったけどね。その後、壊れて捨てたわ。」

「ははあ。流石はガルドの鉄壁結界というわけですな。」

「そそ。アレは攻略大変だったわー。」

 うわあ、凄え嘘くさい。

「本当に結界のせいで壊れたんですか?」

「ええ。結界のせいで、壊れたのよ。」

「…まあ、いいです。詳細は今度アレクセイさんに聞いておきます。」

「あ、あたしは悪くないわよっ?」

 何があったか知らないが完全にカティが悪かったに違いない。

「無いものは仕方ないですね。アレクセイさんが一度手に入れたとなると、攻略法を教えて貰えそうだな。やっぱり、無限ダンジョンを攻めるべきか。」

「何にせよ、例の天人は連れて行くなよ?下手に怪我でもされて女神の怒りを買ったら堪らんならな。」

「加護の無いルキさんはただの色男ですからねー。金も力も無い上に鈍足だと、ご自分でも言ってましたし付いてこないでしょう。」



「何を言っているんですか!同行するに決まってるでしょ?」

 ルキさんがオレンジ色の服で現れた。

 もう一度言っておく。

 オレンジ色の服に真っ赤なリュックで現れた。

「見てください!好きな服で出歩けますし、誰も拝んだり抱きついたりしてこないんですよ?翼を出しても輝かないから、全く目立ちません。」

 いやあ、十二分に目立っていらっしゃいますが。

「お願いです、トールさん。ボクも連れて行って下さい!こんな自由、初めてなんです!」

 そうは言ってもなあ。

「勿論いいわよっ!小煩いトールより旅仲間には断然いいわ。愛でてよし眺めてよし抱かれてよしよっ。」

 抱かれてって。

 なるほど、そう言えばカティの抱っこ要員が必要だったな。

「おーい、シグも構わないか?」

「構わないぞ。俺様は強いから、ルキを守ってやる!でも、その服は変だ。似合ってないぞっ。」

「そ、そっか。」

 …子どもは正直なのだよ、ルキさん。

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