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冒険の始まらない 2

「と、こういう事情で無限ダンジョンの<無効の指輪>、死霊の氷原の<老化の泉>、神界の<生命の書>、暗黒星雲の<宇宙の欠片>のどれかを取ってこなくちゃならないんですが、ルキさん?」

 ルキさんがめっさ輝いてます。

 いつものキラキラオーラではなく、ギラギラです。

 道行く人々が慄いてひれ伏してます。

「貰ったよ。」

「はいっ?」

「生命の書、だっけ?頂きました。」

 わあい、ピンドンオーダー頂きましたっ、てちょおっと女神様?そこ正座して?

 いつの間にかルキさんの手にはずっしりとした装丁の本がありました、めでたしめでたし。

「主人公が努力と根性でレベル上げして、」

「疲れるのはいいかなー。」

「仲間と愛や友情を育み、」

「友情はともかく愛はちょっとー。」

「苦境難局乗り越えて、」

「安全安心が一番だと思うよ?生命の書、要る?」


 ただ今のオレのクエスト進行度

 レベル上げ:メガネ萌えスキルを習得した

 仲間との絆:芽生えた愛を無事抹消した

 途中タスク:魔王の街破壊を阻止した


 充分だな。よし、クエスト達成だ。

「数多の困難を乗り越えてきたと思います。有難く頂戴します。へへえ。」

 くれちゅう。

「はあ?何それ。ずるくない?貸しなさいそれ!」

「ダメダメ、駄目ですよ!」

 慌てて収納する。

 カティとシグが元に戻るということは、カティが魔法使い放題という事で。

 街殲滅?アレクセイさんイボイノシシ?

 先にアレクセイさんを戻さなければ。

 本当の戦いはこれからだ!

 って、そういう事かー。


 ようやく本当のクエストを理解した。

 ルキウスさんから生命の書を貰ってアレクセイさんに無事届けるお使いクエストだ。

 もー。

 暗黒星雲とかびびらせないで下さいよ。

 緑騎士団、退職しちゃったじゃないですか。

 復職できっかなー?

 隊長、いつでも戻って来いって言ってくれてたしな。うん、お願いしてみよう。

 このクエストが終わったら、オレ、王都に戻って働こうと思うんだ。



 バカか?オレ。


 世の中には立てていいフラグと折っていいフラグがある。

 違った。

 立てちゃいけないフラグがあるんだよ!判ってる兄貴、蘊蓄で駄目押ししないでー。

「くっ、」

 カティの魔力を貰うとか、ルキさんに回復頼むとか、そんな余裕は無い。

 すぱすぱ切れる炎斬剣を必死に振るう。

 頼む、ルキさん!今のうちに二人を連れて逃げてくれっ。

 市場で金貨を見せびらかしながら買い物をしていたちびっ子達。

 屋台のおっちゃん達や憲兵の皆さんが危惧した通り、悪漢にしっかりと目を付けられていたようです。

 未だ王都側のそれなりに交通量の多い街道で完全に油断していた。

「アホトールっ!生命の書を渡しなさいっ。」

「トールっ、俺様も戦うぜっ!」

「ボクは逃げとくねーっ!」


 瞬殺です。

 誰がって?

 勿論、オレ達がです。


「アレ、偽物だったのよきっと。」

「本当はっ、本当は強いんだからなーっ。」

「ごめんねー。力も金も無いし足も遅いんだ。あはは。」

 魔王復活を信じて剣を下げたオレが阿呆だった。

 生命の書を渡せと叫ぶからてっきり使えるものだと普通は思うだろう?

 なんとこのちびっ子魔王様ったらオレの捨て身のパスを受け取ってから、次はどうすんの?とのたまった。

 オレに聞かれても知らんて。

 当然、隙だらけのオレはあっさりぼこられましたよ。

 鈍足のルキさんも捕まってさ。

 俊足のシグたんも逃げればいいのに木の枝拾って参戦してきて、あっさり捕まりましたよ。

 あともう一人。

 本持って地団駄踏んでいた間抜けな魔王様?

「神界の秘宝の癖に使えないじゃないっ!」

 手中の本が金目の物だと叫んだ魔王様?

 当然、速攻でゲットされましたよ。

 もうね、どうしようもないでしょう?

 有り金叩いて勘弁してもらおうと思いました。

 そうしたらね?この魔王様。

「ルキ!今こそ女神降臨よっ。その真の姿を見せるがいいわっ!」

 そんなことを言われたら金だけじゃ済まさんでしょう?

「トールっ、他にすんごい武器とか出して構わないわよっ!」

 やめれ!

 オレが隠し持っているのは醤油と味噌だ!

「シグちゃんは、炎帝から奥義とか習ってない?…ならいいわっ。アレクが泣くから怪我しちゃ駄目よ?」

 身代金の価格が釣り上りましたよ。やれやれ。

「ちっ。虫けらの分際で!魔王に刃向かった事を悔やむがいい!」

 えーと、これは。

 凄いぞ流石は魔王!盗賊から見事取り返したぜ。…笑いだけどな。


 ただ今盗賊のアジトへ拉致られ中。

 そりゃあね、武器を構えて応戦したのはオレだけですよ?

 だからと言ってね?

 女神チートのルキさんと魔王のカティとシグたんはまあいいとして、三人がごく普通にというのも変な話だが、ごくごく普通に馬車に乗せられていてですな。

 一方のオレは、毎度おなじみ吸魔石で拘束されて麻袋に入れられた挙句、馬の背にくくられています。

 まるでじゃがいも扱いです。

 オレが一番無害なんだけどなー。

 出来る事もないのでとりあえず昼寝します。

 すぴー、、、。

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