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お兄さんと一緒 4

「なー、ジャーキーやるからも少し歩こうな?」

 ぷい。

「あ、後ろに肉スラだ!」

 ちら、ぷんっ。

 流石にもう騙されないか。

「シグー、歩こうぜ?何の準備もしていないのに野宿とか勘弁してくれ。」

 べたー。

「はしゃいで無駄に走り回ったのは自分だろ?こいこーい、シグたーん、置いてくぞー?」

「きゅうん。」

「困りましたねー。この子本当に獣人なんですか?」

「よく言われますが獣人です、多分。なー、シグー。せめて人化しような?そうしたらおんぶしてやるから。」

 のた、と、モップもといシグが立ち上がった。

「だらしないわねー。」

 そういう貴女はルキさんに抱っこされていますが?

「ぎゃうぎゃう、きゅうー。」

「お、偉いぞ。流石金狼だな。」

「当たり前だ!俺様は金狼だからな。さあ、おんぶしろっ。ジャーキーもな!」

 口先は元のままの俺様口調だが、つむじが見える位置からのたまわれるとただただ可愛いお子ちゃまである。

 よしよし、犬耳の付け根を掻いてやろう。

「さて、もうすぐ日も暮れそうですがどうしましょうか。」

「馬車が通れば乗せてもらえるよう交渉しましょう。」


 とっぷり。

 おーのー。日が暮れてしまいました。

「流石に王都のすぐ側ですものね、魔獣なんて出ないですよね?」

 すぴすぴ眠りこけるシグとカティをおんぶして、オレとルキさんは粛々と歩いていくしかない。

「そうですね。魔獣は流石に出ないでしょう。最近は野盗も少ないと聞きますし、そもそも我々は金目の物も持っていませんから襲うメリットも無いですよ。」

「はあ。」

 一人、星月夜にも鮮やかな真っ白の格好をしている方がいらっしゃいますが。

 オレが下げている炎斬剣より見た目も服装も特級品のルキさんの方が狙われそうだ。

「えーと。ルキさんは、強いんですか?」

「それは戦力という意味ですか?いえ、全く。」

 こう見えて実は喧嘩に強いとか、古武術の達人とかそういう事は無いんだな。

「『色男、金と力は』って言うじゃないですか。あはは。」

「それイケメンだから笑えるんですよ。オレなんて色男つかないバージョンですからね。」

「しかも無職で二人の子持ち。更に人外生物。大変ですねえ。」

「…ボクアカチャンダカラワカラナイヨ、バブゥ。」

 くそ。ばぶみを足してやるわ。

「あはは、拗ねない拗ねない。ところで、疲れませんか?回復祈願しておきましょうか。」

「魔法じゃないんですね。」

「ええ。サーラ神の加護効果ですよ。」

「へえ。サーラ様の加護ならオレも貰っているな。回復出来るのかな?」

 サーラ様、どうか疲労回復お願いします。


<サーラの加護LV1

 チョコレート一粒分のスタミナを回復した>


「回復していただきました。ちょこっと。」

「…驚いたな。本当に加護持ちなんだ。」

「でもレベル1なんですよ。加護のレベル上げってどうやればいいんですか?やっぱりお布施でしょうか?」

 なけなしの千円寄進したヨルグ様も、ご縁を期待して一万円奮発したフローラ様も加護LVは同じ1なんだよな。

「レベル1って。」

「はいはい、所詮レベル1です。」

「いえ、そういう意味ではなくて。…本当にレベル1?もしかして鑑定スキル持ちですか?」

「はい?」

 おや?

 ルキさん、色々なところを突いてくるな。

「鑑定スキル、ですか。ふーむ?」

 とーさんの余りあてにならない奴の事かな。

 あ、クソ兄貴の蘊蓄が発動しちゃったよ。

 戦闘力が分かるとか、バストウエストヒップサイズが分かるとか。そのスキル必要か?

 うっかりステイタス鑑定してオレがレベル3一般人、ルキさんがレベル99イケメンとか出てきたらやだなあ。今更だけど。

 とりあえず、道に転がっている石を鑑定してみる。

「道に転がっているなんの変哲も無い石。」

 鑑定する意味、やっぱり無いよなー。

 しかもスキルが使われているかもわからん。

「時々勝手にぴこんってなるんですけどね。大体、まあそうだよねって事しか教えてくれないんでイマイチ役に立たないというか。」

「全体的にレベルが低いのかもしれないね。」

 それっ、それ言っちゃいますかっ?オレが敢えて封印した奴!

 悪い人では無いのだが、オレとルキさんの相性は正直良くないと思う。

 この人と寝食共に旅をしなければならないのは辛いな…。

 いっそ悪意のある発言ならこれでも先進世界のスレたリーマンこなしてきたオレですよ?それなりに対応させていただきますがね。

 でもこの人、素でザクザク人の弱みを刺してくるんだよな。

 オレの僻みと言えばそれまでな所が、全くもって非常に受け入れ難い。

「やあ、今夜は星が降るようだね。」

「ソウデスネー。」

「明日は宿でゆっくりしようか。」

「ソウデスネー。」

「とりあえず回復かけておくね。」

「ソウデスネー。」

 嗚呼、オレの心の狭さが洗い出されていくよ…。

 生まれてきてごめんちゃい。

 生きていてすんまそん。


 真っ白だ。

 ルキさんも、相変わらず真っ白なタラシ系イケメンなんですが、それ以上にオレが真っ白に燃え尽きてます。

「がんばれっ、トールっ、オレのボールを貸してやるぞっ。」

「トールっ、行き倒れるならクレープ作ってからにしてよねっ!」

「トールちゃんも幼児化してくれるとお兄さん楽なんだけどなー。」

 しくしくしく。

 ルキさんに負ぶさって隣町にたどり着きました。

 今のオレのステイタス。

 スタミナ:ほぼゼロ

 精神力:ゼロ

 威厳:ゼロ

 頼り甲斐:ゼロ

 うう、リセマラしたい……。

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