表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/137

どなたにも出来る簡単なお仕事です 5

 王城お膝元で団長抜刀の獣人騒ぎを起こして炎帝まで出張らせてしまいました。

 クビだ、完全にクビだよ。


 そんな風にリストラを怯えていたオレだが、下手な藪をつついてへんな生き物が出て来かねないという判断なのか、それとも突くに値しない低級魔族だからほっとけという判断なのか、とりたてて沙汰もなく平穏な。

 おっと、フラグを立てるとこだった。危ない危ない。

 ここは無心で、心頭滅却すればフラグも回避!

 うん、これで行こう。

 オレとて若い盛りなのだが、じいちゃん達のスキルと周りが肉食系マッチョだらけな事もありすっかり枯れた草食系になってしまっている。

 最近の趣味は寺社、じゃなくて神殿めぐり。

「神さま、贅沢は言いません。わー遅刻遅刻と叫びながらパンをくわえて走る女の子とぶつからせて下さい。」

 隣に控える神官が思いっきり咳き込んだが、風邪だろう。気にしたら負けだ。

 祈祷料一万円を包んで、本神殿に上がらせていただいております。

 今日礼拝しているのは豊穣神フローラ様。

 地球の神様同様に豊穣といえば何も農作物に限らず子宝、つまり恋愛関連もつかさどる神様で、農村部ならいざ知らずこと王都のフローラ神殿は恋愛に特化しております。

 ぴこん。

 うっほ、きたきた。


<『神との対話』

 豊穣神フローラとのコンタクト達成

 フローラの加護LV1を取得>


『おぬし、しょうもない事を考えるわね。ふうん、そういう出会いも斬新、かしら。』

 いや結構古典なのですが。

 何とぞ、よしなに願います。笑顔の素敵な魔法が使えて変身出来て華奢で可愛い女の子なら最高です。



 一時間前のオレ、ここに来て正座しなさい。

「もほひっ!」

 お口にパンを詰め込んだ幼女がパン屑を吹き出しながらアタックしてきた。

 これじゃない!

 これじゃ、ないですフローラ様!

「お帰りください!出口はあちらですっ。」

「うりゅさい。パンおかわり!」

「それ、トマトパンですよ?そっちはほうれん草でこっちは人参。野菜食べたくないんでしょう?帰ってください。」

「お、おいしい、よ?」

 ぐ、ぐはあ!

 何、何この破壊力っ。

 オレは断じてロリータ趣味ではない。ないのだが可愛い者は可愛いぞっ。

「くっ、ころせ!」

 夕飯用にしこんだベジパンの山を殲滅戦に送り出す。

 片手にトウモロコシパン、片手にカボチャパンを持ってもふもふ食べるちびっ子。

「オレは幼女に遅いと詰られながらパン屑アタックかまされたい訳ではなくて、クリーミーで包帯モンスターみたいな名前のアイドル風の魔法美少女に偶然ぶつかってお付き合いのきっかけを作りたかっただけで。彼女が欲しいとか以前のささやかなお願いなのに何故こんな目に、」

「おかわり。」

「あーもう、こんなにパン屑零して。シグを見習って下さい、って、シグ?!」

 ショタシグが目をしろくろさせている。

「馬鹿!丸呑みしたなっ。お前身体が小さくなっているのを忘れただろっ。」

 えーと、ラマーズ法、違う、何だっけ。

 ぴこん。

<ハイムリック法>

 おー。それそれ。兄貴助かるわ。

「ごほっ。」

「加護ジュエルはどうしたんだ?全く。というか、あんた達、なんでちびっ子なんですか?」

 う、ショタシグたん、めっさ可愛い。これはアレクセイさんめろめろになるの分かるわ。

 オレ、犬猫両刀だけどチビは仔猫に限ると思っていました。ごめん、仔犬もすごく可愛い。

 くんくん、うん、陽だまりの匂いがする。

「トール、キモいっ。キモ過ぎるぞ!はーなーせーっ。」

「あ、後ろに肉スラ♪」

「キャンっ!」

 よじっ←シグがオレによじのぼる。

 なでなで←オレがシグの尻尾をなでる。

 かぷっ←シグがオレに噛み付く。

 か、可愛い。

 中身は子ども、外見も子ども。

 うん。シグ、お前はずっとそのままでいい。

「何故、お子ちゃま姿なんですか?カティ様。」

「もぐもぐ、うぐん。トール、目がキモい。」

「失敬な。中身が鬼畜魔女だとわかっていてもそんな姿だと可愛いに決まっているじゃないですか!子どもを愛でて何がキモいんです。」

「匂いを嗅いだり撫で回したり、きもっ!」

「普通です!全く人を良からぬ輩のように言わないで下さい、腹立つなっ。」

 でもって何時ぞやは失礼をいたしました、アレクセイさん。

 子ども可愛いがって犯罪者呼ばわりされたらこんなに腹立たしいものなんですね。

「オレは兄弟親戚一同年長者しかいなかったから子ども犬猫好きなんですよ!」

「犬ゆうな!金狼だっ。」

「うんうん、そうだねー。金狼も好きだよ。」

 撫で撫で。

「もー、なんでもいいです。お兄たんが面倒見てあげるから、な。」

「ま、待って!」

「なんです?」

「それでいいの?納得なの?あんたに面倒見られるの凄い不安なんだけどっ?!」

「いやいや、カティ様まで面倒見る気は無いですよ?そもそも何で居るんです?」

 収拾がつかないのう。

 ぐりぐりぐり。

「は、いかん。左手の魔獣が勝手に!」

「ま、魔獣っ?!」

「鎮まれオレの左手!あと十、二十回頭を撫でさせ、うぐあ!」

「トールっ、だ、大丈夫かっ?」

「ま、そういう訳で世話になるからね。」

「え、あ、ちょっと?」

 シグで遊んでいたオレもオレなんですけども。

 一体何?何故?どーしてこうなった?


 今のオレのステイタス

 顔面:カティの足

 腹:シグの足

 称号:魔王と獣人の足枕


 夕飯をたらふく食べたらお子様達はあっという間にオレの布団を占拠して就寝してしまいました。

 オレですか?

 仕方なく布団の端に潜り込んだのですがね。交互に顔面と腹を蹴られてます。

 って寝れるかっ!

 はあ。

 どなたにも出来る簡単なお仕事です。

 魔王獣人シッター、誰か始めませんか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ