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どなたにも出来る簡単なお仕事です 2

 食堂の魔術師とはオレの事だ!


「おい、嘘だろ?!」

「何でこんなに美味いんだ??」


 この世界の成人は十五歳である。

 脳筋、もとい、腕に覚えのある意欲的な少年(たまに少女も)達はローティーンでまず出身地方の地方騎士団に志願する。

 そこで採用されたら成年まで見習いの訓練を受け、その後本採用で騎士団へ配属となる。

 大抵はそのまま地方騎士団所属となり、定年は特に無く本人の体力次第だとか。ただし、実際にはアラフォーあたりで退役する者が多いそうだ。

 退役した者は貴族や商家の護衛私兵に再就職したり、家業を継いだり、商売を始めたり、まあ様々らしい。

 そして我らが王都騎士団。

 こちらはエリート集団である。

 王城内及び王族警護の近衛騎士団、通称白騎士団。

 王都守備隊の緑騎士団。

 魔導師隊の赤騎士団。

 災厄討伐隊の黄騎士団。

 そして王直属、有事には総ての騎士団の指揮を司る黒騎士団。


 早々たる騎士団の中で、何故緑騎士団が花形なのか。

 それは、ぽっと出の平民でも入団出来るからである。

 もちろん、入団基準は地方騎士団の比でなく厳しい。

 見習いでも、王都騎士団の子弟である事は必須で文武の試験がある。

 一般兵は地方騎士団で団長からの推薦を受けるか、冒険者ギルドのシルバータグ以上を有している事。

 もしくは王都大学府を修了した者。

 これらも地獄の入団試験は別途受ける必要がある。

 他に特別枠で、王都騎士団団長、もしくは公爵以上の推薦を受けた者も入団出来る。

 オレの入団枠はこれな。

 まあ、それでもなかなか厳しい入団資格ではあるのだが。

 他の王都騎士団はというと。


 緑騎士団の資格に加えて、上位貴族であり顔面偏差値も高い事が要件の白騎士団。

 オレのフレアバーストがマッチ棒サイズとすれば、火炎放射器並みに高出力な魔法をばかすか撃てる事必須の赤騎士団。

 東に暴れるドラゴンあれば行って討伐してやり、西に闇堕ち妖魔がでれば魔界に叩き返し、みんなに人間辞めてるよねといわれ褒められるけどめっさ怖がられる、そういう集団の黄騎士団。

 時々カティと遊んでやるのが主な仕事っていうから、まあ、うん、はい。

 最後の黒騎士団は将軍様が団長をなさっていて、各騎士団長、副団長経験者で構成されているらしい。

 つまり管理職のセカンドライフの場なのだが、まあ枯れたおっちゃんなんているわけもなく一番むさ苦し、ごほん、暑苦しい団だという噂だ。


 と、まあ斯様に他の騎士団への入団は無理げなので王都騎士団といえば、やっぱり緑だよねー、となるのである。

 そんな花形集団の営舎には凡そ二百名の若者が暮らしている。

 親元から通う見習い少年達やリア充爆発している妻帯者、中には成年しても王都の実家から通ったり従者がついてあれこれ世話を焼いている文字通りの独身貴族を除く彼らの生活全般を面倒見るのがマダム・ロッソとその子分であるオレ達だ。

 采配がロッソさんで実働はクリーニング班と給食班とに分かれてそれぞれ専任の班長さんとパートさん達で行われている。

 オレの立ち位置?

 だからロッソさんの助手ですって。

 朝は洗濯班のパートさんの子どもが麻疹で休みますって抜けた穴を埋め、昼は安かったからと大量納品されたピーマンを前に頭を抱えている料理長の為に腕を振るってみた。

「………………いくら安いからって兎じゃあるまいし、こんなに野菜を食えるか!」

 ご本人も騎士団上がりの料理長は艶々立派なピーマンを前に長い絶句の後叫んだ。

 この人の献立は基本肉料理だ。

 ハーブソルトをまぶしたぶ厚いステーキとほんの気持ち添えたグリル野菜が基本で、一応ピクルスなんかも卓上に出ているが手を出す者は稀だ。

 騎士団ったって、身体が資本のガテン系だもんな。

 作る方も食う方も肉一択。

 とはいえ税金で賄われている騎士団運営は食費にも時々監査が入り、教育的指導なのかなんなのかたまに有無をいわさず特価食材が納品されてくる。

 前回は大量のほうれん草で、クタクタに塩茹でしたソレを団長以下みんなで泣きながら飲み込んだらしい。

 料理しようぜ?美味いんだから。


 さて。

 今回のお題はピーマン。

 苦手な野菜によくあげられるが油と合わせて調理すれば苦味もなく美味いんだよ?

 ケチャップで煮込む肉詰めピーマン、細切り肉と炒める青椒肉絲、それから無限って名前のつく奴。

 もう一品、完成した味噌で甘辛く炒めた唐辛子味噌風。

 多少調味料が異なるのと米が無いのでオレ的には星三つ。

 肉詰めは兎も角、他をパンに合わせるのも忍びなかったのでふわふわの中華蒸しパンを添えてみました。


 そしてランチタイム。

 事前に野菜デーが周知されていたのか、敗残兵のごとく悲壮な顔で昼食にやって来た騎士団の皆様の前へどんどんサーブしてゆく。

 結果は冒頭の通り。

 よっしゃ!

「トール、あんたは食べないのか?美味いぞ!」

「どうも。それ、オレが作ったんだ。」

「凄えな!これならいくらでも食える。」

 山のようにあったピーマンは無事に完食して頂きました。

 やれやれ。当分ピーマン見たくないヨ……。

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