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バナナはオヤツに入りますか? 5

 先生、バナナはオヤツに入りますか?

 いいえ、トールくん。バナナはオヤツに入りません。

 何故ならばバナナは、武器だからです。


 グシャっ。

 そんなオノマトペとともに巨大バナナに押し潰されるスライムさん。

 今、オレは確実にレベルアップしたと思う。

 流石非常食、良い仕事をしてくれるぜ。

「あーあ、勿体ねえな。せっかくの肉スラがぐちゃぐちゃになってんぞ?」

「それを言うならこのグレイトバナナもだ。勿体ねー!」

「え、これグレイトバナナなのか?凄え、初めて見た!」

 はあ、はあ、はあ。

 なんだか周りのギャラリーの感想が妙だな。

 もしかして、このバナナもレアアイテムだったか?

「信じらんねえな。世の中にはグレイトバナナでスライム退治する奴がいるのか!」

「魔族のやる事は。全く!」

 し、視線が痛い。

 このグレイトバナナくん、どうやら高級マスクメロン同等の価値らしい。

 昔、バナナも高級果物だったってじいちゃんが言ってたっけ。

「ちょっと汚れましたけど皮剥けば食べられると思うんで、良かったらどうぞ召し上がり下さい。」

 収納スキルからのバナナアタックを目撃されて魔族である事もバレているようだ。

 最近エールで髪を脱色するのもサボっていたしなあ。

「お、そうか?本当にいいのか?」

「ええ。ぶつけたので直ぐに傷むと思いますし。」

「肉スラはどうするよ?」

「…片付けないと、ダメですよね。やっぱり。」

 道を塞ぐようにデンと伸びたスライムさん。

 倒されたらアイテム落として消えたりしてくれないんだな。

 あー、でもこのうじゃうじゃしたの、触りたくねえ。

 引きつった顔でスライムを眺めていたら早速バナナを食い始めていた通行人の皆さまが手伝いを申し出てくれた。

「それにしても、でかい肉スラだったな。」

「ああ。潰れた所を避けても随分大きく塊肉が取れるぞ。」

 そこら辺に落ちていた枝でぽこんと叩くと、スライムがぱかんと分裂する。

 そのかけらから皮をべりんと剥いでプルンプルンのゼリーが暫く空気に晒されていると。

「と、鶏肉……。」

 それは村の最期の宴席にダニエルさんが土産に持って来てくれたあの骨なし肉塊であった。

 ひぃぃぃ!

 食ってしまった、消化してしまった、とっくにオレの血肉に変わっています…。

「ほれ、にいちゃん。」

「う、はい、あ、ありがとうございますぅ。」

 両手に余るサイズの生肉を渡されて、泣く泣く収納する。

 でもって自動車サイズの肉スライムからはまだまだぽこんぱかんべりんと肉塊が取れる取れる。

 もしかして肉スライムさん、木の枝で退治出来たのか?

「もお、オレは充分なので。肉も良かったらお持ちください。」

 むしろ是非!

「魔族は気前いいんだな。」

「それに弱そうだ。にいちゃん、気い付けてな!」

「そうそう。ギルドで護衛雇った方がいいぞ。」

 通行人の皆さん、ご忠告ありがとうございます。

 シグは全く当てにならないことが判明したので前向きに検討したいと思います。



 次の街の入り口手前で金の毛並みのイケメンマッチョ君がオロオロと徘徊していた。

 犬なのにすっかり猫背になってしまっている。

「待たせたな、シグ。」

「お、お、遅えよ。待ちくたびれた。」

 もしオレの方が背が高ければ間違いなく上目遣いにちろちろ様子を見てくるような不安気な声だ。

 まあ、こいつの方が遥かにでかいのでこっちが上目どころか首が痛くなるほど見上げるしかないのだが。

 てか、近いよシグたん。

 巨体をオレの身体で隠すように縮こまりちろちろ背後を見ている。

「肉スラなら退治したぞ。」

「あ、あんな奴、石ぶつけてやったら固まるだろ!」

 そ、そうなのか。

 やはりスライムは最弱だったのか。

「その割にはいい逃げっぷりだったよな?」

「む、逃げたわけじゃない!」

 退治したと聞いて俄然威勢良くなりましたね、君は。

「ほーお?」

「キモくて見るに耐えなかっただけだ!」

 気持ちはわからんでもないが。

「キモくて逃げた、と。」

「逃げてない!」

「怖くて逃げた。」

「怖くない!」

「あ、うしろに、」

「キャンっ!」

「ぐはっ!」


 本日の教訓。

 獣人の子をからかうのはやめましょう。


 びびったシグにしがみつかれて危うく絞め殺されるところだったよ。てへ。

 早速エリクサーの世話になりました。

 だって背骨折れちゃったんだもの。ばきんって。

 まだ隣街にも着いていないんだぜ?

「悪りぃ悪りぃ。」

 言葉は虚勢を張っていても、耳も尻尾も眉もへにょりとしていて反省はしているようだ。

「悪かった。」

 でも、どうするかなー。

 今回は逃げた先でなんともなかったけどさ。

 パニクって怪我でもさせちゃったらアレクセイさんきっと激おこになるよな。

「ごめん。」

 かと言ってオレが暴走シグを止められる訳もないし。そもそも追いつけない。

 リード付けても引き摺られるのが関の山だろうな。

「ごめんなさぃ。ひっく。」

「魔族が獣人を嬲ってるぞ。」

「可哀想に泣いているぞ。」

「あ、獣化する!」

「皆んな、逃げろ!」

 え、何?

 なんの騒ぎ?

「う、ヴァアアアっ!」

「は?シグっ、何獣化してんだ?!」


 シグの最終奥義が炸裂した。

 可愛いよ?可愛いですよ?

 腹見せてすりすり足元で転がってごめんなさいポーズ。

 めちゃくちゃ可愛いけどさっ。

「そこの魔族!おとなしく投降しろ!」

 あー御用提灯十重二十重ですな。

 本日の宿も手枷付き石牢のようです。

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