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王様とオレ達 1

 四天王かっこ笑の城下街だと舐めていた。

 奥に座す城は遠目にも堅牢で、街を取り囲む壁もまた忍者か巨人でなければ突破出来そうに無い。

「ここは…っ!これを外せ!」

 その王都が丘の向こうに見えた途端、いきなりヒルダさんが隷属の首輪を外せと団長に詰め寄った。

「よせ、あっ…。」

「きゃうっ!」

 振りと言っても首輪自体は本物な訳で、団長に触れた途端にヒルダさんが自滅する。

「あーあ、気の毒に。避けてやれよ、緑騎士団の団長さんよう。」

 目を回したヒルダさんを担ぎ上げて黄騎士団の団長さんが一言物申す。

「そう言われてもだな…。」

 ぽふ、と尻を叩かれた。

 え?何ですか?齢十歳の少年が出来ることを天下の騎士団長様が出来ませぬと?

 オレは雷ポケ獣スタイルで団長の肩に載っております。

 見晴らし最高!

「これはまた、絶世の悪女の如し。」

 黄騎士団団長が軽々ヒルダさんを肩に担いだまま、城下を眺めそう一言。

「その心は?」

「攻め辛く堕とし難く懐に入りては逃げ難い。」

「いや、普通だろ。」

 確かに。

 バリアフリーなお城って本来的には欠陥品だよね。

「それもそうか。帰国したら堀でも掘るかな。」

「城郭も作りましょう!」

「あの壁はどの程度の強度があると思う?おーい炎帝、ちょっと火弾の二、三発当ててみてくれないか?」

「私は翔べるから壁も堀も意味がないぞ。」

「きゅ。」

 色々突っ込みどころ満載だが、オレは働きませんよ?

 黄騎士団一同と炎帝様の総ボケに団長が頭を抱えた。

 比喩的にな。

 だって団長の頭にはオレの頭が乗っかっているんだもん。

 さあ、カモンもふもふ!

「なんや、あんたら。あの城をぶっ壊してくればいいんやな?」

 三眼開いてもオレがちょっと寒がるだけな事に気付いたシャイロックさんは、もう見るからに蜥蜴人な鱗バキバキお目目ぱっちりのブラックモードのままである。

「落ち着け。港から船に乗り帰国する為に王から渡航許可を得る。それが目的であって、城攻めする気は無いからな?」

「許可が下りなければひと暴れ出来る訳だな?」

「じゃあ先に城郭を壊しておくか。」

「ほな、行ってきますわ。」

「違う!行くな!」

 団長、大変そうだなー。オレはレッサーパンダで良かったよ、ほんと。

「……はあああ。」

 あれ?何故にオレの毛を毟るのですかい?



 丘をのんびり降る一行に対し、街門はざわざわと慌ただしさを見せていた。

 壁の上には弓兵と魔術師らしき一群。

 これから戦争でも始まるのかな?

 このまま進むんですか?と、団長の頭をグリグリする。

「なんだ?催したか。待て待て、今下ろすから。」

 違うから。

 意思疎通が図れないのがもどかしい。

 前はもっと話が通じていたはずなのに、団長、察しが悪くなりましたか?

「きゅうー。」

「違うのか?」

 そうそう、違います。

「腹が減ったか?ほら、パンで我慢しろ。涎垂らすなよ?」

 違うから!食うけどさ。

 全く人を何だと思っているんだ。動物扱いもいい加減にして下さい。

 ん?………あ、れ?

「きゅ?」

 うーん?………………ま、いいか。

 パンを喰い終わる前に街門に着いた。



 それからの事はまるでジェットコースターに乗っているかの如く目まぐるしく物事が進み、今に至る。

「服ぐらい着たらどうなんだ…。」

 玉座に座るその人がげんなりと言った。

 気持ちは分かる。

 裸の王様って話があったけど、裸で謁見する奴は居ないよな。

 だがしかし。

 一応言っておく。

「裸ではありませんよ?」

「どう見てもシルバートレイだろうが。いや見たくもないが。」

「トラディショナルコメディスタイルです。」

 とは言え、服を着ることには異論はございませんとも。

 服を着る間も無く連行して来たのはそっちじゃないか。

 つつ、と巨大な柱の影で服などを着ようと移動したら、不審な動きだと兵達がピリピリとした面持ちで付いてくる。

 そんなにオレの生着替え見たいですかー?

 ヌルい目つきで玉座を睨んだらしっしと追い払ってくれた。

 パンツを穿いたらようやく人心地がついた。

 あー、そうだったよ。

 オレはヒトだったんだよなー。

 獣化、怖い!

「で、だ。暴れる奴と、暴れる奴と、暴れている奴らと、ああ、黙秘の奴もいるか。一体何事で、どういうつもりだ?素っ裸のあんたが一番まともに話せそう、いや、話せるんだろうな?大丈夫なのか?」

「さあ?」

「おい、こいつを地下牢へ連れて行」

「なんでもお聞き下さい。ちなみに王様は裸です。」

「てめえ、」

「地が出ていますよ、リヒャルトさん。」

 そう。

 玉座にどかりと座るお方は。

 魔王軍八将が黒帝、その人だった。

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