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小さな器で…。

作者: 設楽 夕

ある日、大勢の人がいる街の人ごみを綺麗に掻き分けてた時にふと思いついた話である。


少年の名前はA君。これから出会う少女の名前をCちゃんと名づけるとしよう。

じゃあBは何処にいってしまったのだろう??。なんの安心を求めるのか分からないけれど、きちんとBは出てくる。

それは少年A君の心の中に住んでいるから、表現が難しい。

なら、これを頭においてもらい話を進めるとしよう。


 これは、そのある日に思いついた話である為に、なにが目的とかそういうのはまったく無い。

最近暑い日が続いている。雨が降ったと思いきやそれは自然災害を起こすほどのものである。

A君はエアコンが効いている部屋で、アイスをかじりながらいつものネットサーフィンを始める。

ある一定のネットサーフィンを始めると、一つ・・・・・・また一つを思い出しゲームを起動する。

そこで出会ったCちゃんと仲良くやり取りをする。日常的に楽しい話だ。

「今日のそっちの天気は??」や「朝ご飯何を食べた??」等、会話はその日その日で違う。

けれど、それがとても楽しい事に気づいた。日常、引きこもりがちになっているA君にとってはとてもありがたいツールの一つである。

 だが、その日常は周囲には一つも理解してもらえない。それもそのはず、だって周囲は働いている人達だらけで日々忙しそうにしているからだ。

A君は決して外に出れないわけではない。出ようと思えば出れる。けれど人の視線が気になり目的があって外に出たとしても気が気ではないのだ。自意識過剰と言われてしまえばそれまでなのかもしれない。

 

 次の日、声が聞こえた。家には誰も居ないはずなのに声だけが聞こえた。

そこで登場したのは、体を持たない「B」という存在だ。己の頭をジャックしたかのように声が響く。


「貴様は、その生活のままでかまわないのか」


と、A君は思った。このままでいいわけがない。周りに働きにも出ず引きこもりがちになっている自分の存在が迷惑なのだと、気づいていたからである。

けれど、社会に出るという行動はとれないままでいる。じゃあそれは何で出れないのか「視線」があるからである。

人の視線に過剰反応をしてしまい、吐き気が頭痛が襲ってくる。身体中が暑くなるのを感じる。

ならどうしたらいいのだろう。そこで考えたのはCちゃんの存在だ。人は誰かの為になら頑張れると誰かが言っていたのを覚えている。Cちゃんに相談をした。


「どうしたら・・・・・・外に出れるかな」


そう問うと、Cちゃんからの返答は「頑張れ」と返ってくる。

なら自分に頑張れるのかと、本当に皆の言う通り頑張れるのかをA君は考えた。

使ってこなかった頭をフル活動しながら考えた。ただひたすらに・・・・・・。


 けれど答えは出なかった。するとBは言った


「お前は何故そこまで視線を気にするのだ。気にしなければいい。人は人だ。何故、そんな簡単なことが理解できない」


その通りだ。何故、そんな簡単なことが理解できないのか。また再び考える。


「A君なら、できるよ!!。だって天才だもん!!」


Cちゃんはそう言う。本当にそうなのだろうか、気づいたら視線に怯えていたのではない事に気づいたのだ。

ならA君は、何に怯えていたのだろう。

そう、それは周りからの「期待」「頑張れ」というものに怯えていた。

若かったA君は、とにかく周りから「若い」と理由だけで、求められる事が多かった。でも此処まで話していて気づくのは「言い訳」を並べてるに過ぎない。

完結的に述べるなら、A君は「人のせい」にして生きてきたのだ。こうなってしまったのは仕方ないと諦め気づいたら周りの聖にして自分を正当化したかっただけなのかもしれない。

A君は絶望してしまった。己がこんなに弱く・脆く・儚い者であったことに、そして最後に、醜い生き物であった事に

Bは言った。A君に向けて・・・・・・


「逃げるだけが、正しいとは限らない。人は誰しも適度に気を抜いて生活している。ならそうなれるように寄り添ってあげよう。痛いなら俺も背負うから、辛いなら一緒に居てやるから、悲しいなら一緒に泣いてやる、寂しいなら傍に居てやる。だから一緒に外への扉を開けないかい??」


この言葉を最後にA君は姿を消してしまった。もちろん一緒に居た筈のBも・・・・・・。


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― 新着の感想 ―
[一言] A君とB君がどこへ消えてしまったのでしょうか。彼らの行く先を読者の想像にゆだねている手法が良いと思いました。 周囲の目線が怖くて外に出られない経験、私もあるのでA君の気持ちがよくわかりました…
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