89 ボスアクセサリー
「まずはお疲れ様でした! レイド成功ほっとしています。 さて、これからドロップ品のオークションになる訳ですが…… 皆、喜べっ! ”空を穿つ槍 スカイランス” ドロップですっ!」
りりりさんが、そう叫ぶように言うと参加者達から歓声が上がりました。
「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」
「えっ!? マジで? うおお、すげぇ!」
「え? 何々?? すごいの?」
なにか凄そうな武器が出てきましたね?
タンクPTの皆の説明によると、あれはボスアクセと言うそうで、あ、武器じゃないんですね。
わたしの持っている”深緑のイヤリング”よりもレアな装備だそうです。
スカイランスはイヤリング装備で、見た目は小さな槍なんだそうです。 大体100M前後で取引されるのだとか……
ええ!? それってかなり凄いのでは?
でもこの中で買える人いるんですかね?。
「そういう時のために掲示板売買板があるのよ」
正確にはチャット掲示板で、これからオークションを告知してそこで大体1時間前後にオークションを始めるのだとか。
その間に、他のドロップ品のオークションを済ませておくらしいですね。
「では! まずは他のドロップ品からいきます! 最初は、”クリスタルダガー”3Mからです」
「3.1!」「3.2!」「3.3」…… 「4M!」
「では4Mで!」
さすが武器は高いですね。 クリスタルダガーは買うと6M近くするようなので、かなりお得ですね。
「さて次は、今日は運がいいですね! ”ランシア” 槍ですね」
その槍は全部真っ赤な槍でした。 あれ? これってスカイランサーが持ってた槍ですかね?
これは普通の武器ですが、一応名工の手による武器扱いで品もよく槍師に人気の武器なんだとか。
「では、8Mから!」
えええ!? そんなお金あるんですか? と思ったのですがドンドン値段は吊り上がり12Mで槍師の方が落札されました。
「彼はセカンドかな? 課金で職業切り替えれるのよ」
それでお金があるんですね。 その後もオークションは進み、そして。
「では次はスキルブック、《回復効果増加》が2冊、《MP増加》6冊、《アンチマジック》3冊、《クリアーマインド》4冊です。 ……今回出すぎのようなw では、《回復効果増加》から!」
《回復効果増加》が800kと850kで、《MP増加》がそれぞれ400k。
そして。
「《アンチマジック》200kから!」
「300!」「……300!」
わたしとナインが同時でした。
これは接戦になるやも? と思いましたが、なんとりりりさんがそれぞれ300kでわたし達にくれました。
「えっ? いいんですか?」
「いいよいいよ、実は私達はすでに持ってるからね。 近接さんは……」
「我ら近接! 魔法防御など捨てている!!」
「いやいや、捨ててはないけど数値の関係で持ってても意味ないだけだろw」
と言う皆の好意でいただくことになりました。
後一つは同じく新規のサブリチャの子が300kで貰いました。
本当は少しでも多く売れたほうがいいでしょうに。
と言ったら、ボスアクセの前では誤差だと言われました。 ふむ、そんなにですか。
その後も、《クリアーマインド》をそれぞれ600kで買取りました。
嬉しいんですけど、申し訳ないというか。
ただ皆さんどうも掲示板の方に注目してるというか、意識がそっちにいってるようなんですよね。
「あはははは。 だから気にしないでいいよ」
と、三つ葉さんも言ってくれてます。
それで諸々合わせて41M300kで、端数は《ハーヴェスタ》からのご祝儀と言って増やしてもらってきっちりとした数になってます。
全員でそれぞれ860k417になりました。
スキルブック買った分を考えると、レイドって儲かるんですかね。
「さあ1時間経ったのでチャットオークションが始まります! そっちはシグノさんにお任せしてます」
チャット掲示板を見るとすでに始まっていて凄い勢いで値段が上がって行ってます。
「うはw もう100Mいってら!」
「うひょーすでにさっきのドロップ合計より上とか」
あ、120Mいきました……
流石にもう上がらないかな? と思ったら最終的に122Mで落札されました。
取引が終わり皆に配られたのは、2M541Mk667ゴルドでした。
「それでは、これでレイドを終わりたいと思います。 皆さんお疲れ様でした! 次のレイドでもまたよろしくお願いします!」
「乙ー」「楽しかったまたよろ~」「ありがとうございましたー」「次もよろろ」
そう言いながら皆が立ち去っていきます。
りりりさんはやり遂げたような顔で笑っていて、ああ、こういうのが本当に好きなんだと思わせる表情でした。
「ミリオちゃん達もおつー。 参加してくれてありがとうね!」
「いえいえ、わたし達こそありがとうございます。 おかげでスキルブックも手に入りました」
「……感謝」
わたし達の言葉にニコリと笑うと、次参加することがあったらよろしくと言って別れました。
「……お金、凄かった」
「ですね。 あんなに持ってる人いるんですね」
どんな人が買っていったのか話合いながら、わたし達は王都を後にするのでした。




