87 スカイランサー戦 前半戦
一回で終わる予定が……
トライさんの【ヘイトオーラ】によって、スカイランサーが引き寄せられます。
「GAAAAAAAAAAAA!!!!」
かつて人であった者が獣の叫びを上げ襲い掛かってきます。
「そのままタンクさんは後ろに回ってくださいっ! 各員は攻撃を! サブタンクさんは雑魚沸きに注意して!」
スカイランサーは現在、取り巻きと呼ばれる部下がいませんが、時間経過で沸いてくるらしいので、沸いたらサブタンクさんが取り巻きを纏めて物理ATが仕留めるのがこういったレイドの戦い方なのだそうです。
後、レウゲメトンの時は違いましたが、タンクさんがレイドの後ろに回り込むのはAT達に後ろから攻撃させるためです。 レウゲメトンは尻尾のせいで後ろを向けなかったから出来ない作戦でしたが。
攻撃を続けていると、スカイランサーの周りに魔法陣が5つ浮かび上がります。
「雑魚沸きます! サブタンクさんお願いします。 物理ATさん達は処理を!」
「りょーかい!」
魔法陣から現れたのは幼い子供…… のアンデットでした。 あれ? チャイルズアンデッド になってますね? 紅蓮からこのゲームはアンデッドがアンデットになっているって聞いたのですが。
「あー、それねー。 なんかそこら辺このゲームバラバラらしいよ。 モンスター考えてる人が沢山いるんじゃないかって言われてる」
わたしの考えてる事に気付いたのか、シャラランさんが【マナリチャージ】の傍ら答えてくれました。
後ですね、多分これ殺されたスカイランサーの子供って設定だと思うんですよ。
なんで5体いるんですかね? それとも5つ子だった?
「それは分からん! なんか魔術による複製説もあるが、まあゲームだしっ!」
りっくんさんがそう言って笑います。
うーむ、まあいいですけども。
しかし、今はサブタンクPTが引っ張って行ってくれてますけど。
チャイルズ達、かなりホラーな見た目してて震えが止まりません!?
わたしホラーダメなんですよ。
ここに来るときもアンデット達を視界に入れない様にしてきましたからね!
そうこうしている内に、物理ATさん達がチャイルズ達を倒し終えスカイランサーの攻撃に混ざってきます。
物理耐性があっても少しはダメージを与えれるので、暇にならないように攻撃するんだとか。
トウカ達には魔法主体で戦って貰ってます。
スパルナは今回は、賑やかしですね。
「あのペンギン可愛いー!」
三つ葉さんはスパルナが気に入った様ですが、その子はガルーダです。
とは言え、【突進】は魔法扱いなのか普通にダメージが出てるので邪魔にはなってません。
そうしていると、二回目の雑魚沸きです。
「サブPTお願いします! 事故だけ気を付けて!」
りりりさんの指示が飛びます。 こういう細かい指示を出してもらえると分かりやすいですね。
一応言っておきますと、雑魚は魔法耐性の物理弱点になっています。
なので、魔法範囲ではなく物理範囲攻撃によって纏めて処理するんだそうです。
このゲームだと槍がそれに当たります。
「ひゃはーーーー! 槍範囲たーのしーなー!」
「うははっ! 纏めてこいやぁ!」
あっちのPTも楽しそうですね。
ただヒーラーさんは大変そうでしたが。
「そろそろHPも半分! ここからさらに雑魚沸きが増えます! 注意を!!」
りりりさんがそう言ったと同時に、スカイランサーのHPが半分を下回り、彼の周りに5つの魔法陣が浮かびました。
まださっきの雑魚処理が終わってないんですが!?
「そこで俺の出番」
そう言うとかたいぞーさんがスカイランサーから離れ、新たに現れたチャイルズアンデッドに【アンガーヘイト】を掛け、物理ATの方に引っ張って行きます。
「追加入りまーす」
「らっしゃいませー!」
チャイルズ達のタゲが離れた頃合いでこっちに戻ってきました。
HPが減っていたのでヒールを掛けます。
「ヒールあり! どうレイド楽しい?」
「そうですね。 楽しいですよ」
いろんな闘い方があるんですね。 そういえば、かたいぞーさんは《ハーヴェスタ》の人なんですね。
雑魚も処理し終えたATPTは再びスカイランサー攻撃に参加します。
「そろそろタゲが跳ねるから注意! 魔法PTは攻撃の手を緩めて! タゲがきたら私達の周りをグルグル回って逃げてね!」
そうりりりさんが言うとかたいぞーさんが追加で。
「タゲはしっかり取り戻すから、変な所に逃げないでね! ヒーラーさんも困るんで」
なるほど、ヒールはある程度距離が離れると使用出来ませんからね。
そう言った指示を聞きながら、スカイランサー戦は続いていきます。
タンクが後ろを取るのは、同じゲームでも鯖が違うとやらなかったりしますね。
いわんや、別のゲームだとそもそもそんな考え自体ないゲームもあります。
ネトゲはゲームごとにマナーや常識が違って面白いですね。




