76 占領戦終了
短いですが、きりのいい所で閉めます。
「これで最後かな?」
しいなさんのシールドブーメランで吹き飛んだ人が、こっそりと近づいてきた最後の人だったようでした。
しかし、ナイトテールさんは首を横に振ります。
「いいえ、これは陽動」
”ナイトテール:右手側の魔法AT班は20mを目標に範囲魔法の準備を! 範囲はばらけさせなさい! カウント0で攻撃、カウント5、4、3、2、1、0!”
0の声と共にそれぞれの範囲魔法が炸裂します。
「【ゲイルシュトローム】!」「【フレイムサイクロン】」「【ブレイドストーム】!」
などなど様々な魔法が飛び交い、その魔法が消えた場所には。
「うがっ!? なんで場所が?」
そこには消えゆく20名弱のすたーらいとの人達がいました。
「陽動なのに少なすぎたんですよ。 おばかさん」
そうナイトテールさんが冷めた表情で言います。
「よくわかったな」
紅蓮がナイトテールさんいにそう言うとナイトテールさんは首を振りながら。
「事前情報に【マス・ハイド】持ちが入団したと報告がありましたので」
そう言いながらも続けて。
「それに、私はまだまだです。 これがエリザベータなら、これすらおとりにして、なにかやらかすでしょう?」
と言うと、しいなさんは笑いながら。
「違いない。 なにかとんでもない事しそう」
ふむ、ナイトテールさんはエリザベータに何かしらの思いがあるような感じを受けますが、特に悪い感情ではないようです。
前線では、伏兵がバレたことでやけになったのか無謀な突撃が増えてきました。
こちらの一部の班が崩れる場面も見受けられます。
「んー、さにゃとミルラは行って来てくれ。 いいよな? 女史」
「そうですね。 そろそろ終了の時間ですし。 でも決して気は抜かない様に頼みますよ。 ……もう少し鍛えておくべきでしたか」
紅蓮の提案にナイトテールさんが頷き、さにゃさんとミルラさんは前線に向かう事に。
「じゃあ行ってくる。 【キャット・オブ・マーチ】」
そう言うとさにゃさんの前に総勢百体の黒猫が現れました。 そしてさにゃさんの号令と共に二本足で立ち、槍を構えて前進を始めます。
「では僕も、アディオス!」
ミルラさんは凄い速度で走り前線に。
前線では、「ぎゃああああ猫が猫が……」や、「エルフがギターでおそってくるよぉおおおおお」などといった叫び声がしたそうですが、わたしには聞こえてきませんでした。
その後何人かは前線を潜り抜けてきたのですが、しいなさんや紅蓮、そしてなんとか復帰したナインによって倒されていきます。
もちろん、トウカ達も活躍しましたよ。
そして、終了5分前のアナウンスが掛かり。
わたしの背後より、【デットリースローイン】のスキル発動ワードと、わたしとナインの前に何時の間にか現れたしいなさんの盾が飛んできた短剣を弾くのと、その投げた相手に飛び掛り斬り捨てる紅蓮の姿を見るのは殆ど同時に感じました。
「エリちゃんの予想通りだね~」
と、しいなさんがわたし達に飛ばした盾を回収しながら言うと、紅蓮も続けて。
「ああ、四超星のメンバーが傭兵の中にいたって言ってたからな。 しかし、さにゃが側を離れたタイミングで動くのはよかったが、エリにはお見通しだったぜ?」
紅蓮はそう消えゆく短剣職の男性に言うと、男は悔しそうに顔を歪めながら消えていきました。
「はぁ、全く、最後に気を抜いたのは私の方でしたか…… まだまだ姉様にはかないませんね」
ナイトテールさんはそう言うと苦い表情を浮べました。
姉様? わたしの疑問に答えたのは、紅蓮でした。
「ああ、エリはナイトテールの姉だよ。 後、ナイトハルトの姉でもある」
という衝撃の事実と、占領戦終了のアナウンスが掛かるのは同時でした……
”宋江:うおおおおおおお! 勝ったぞー! 協力してくれたみんなありがとう!!!”
” 林冲:やったぞーーーーー! みんなーーーー!!”
という水滸伝の皆の叫びで、この戦いは幕を閉じました。
四超星の考え、最後にヴァニティのメンバーをPKして名を上げてやるぜ!
長女エリザベータ、長男ナイトハルト、次女ナイトテール。 の三姉弟です。




