66 検証の続きと占領戦
さて、スキルレベル上げを行って早一時間。
スキル経験値増加スクも一時間。 これで終わりですかね、と思った時、中つ月さんが二枚目を取りだしました。
「さあ! ドンドン行きましょう!」
紅蓮から聞いた所では、スキル経験値増加スクは10枚1セットで3000円だそうで、一枚300円になるんですかね?
MP回復ポーションも中つ月さんの持ち出しなので、いいのかなぁと思いつつ断ってもなんか言いくるめられそうなので受け取る事にします。
検証に一喜一憂している彼を止めるのは可哀想な気もします。
因みに、レベル上げをしている間、ナインは正座中でした。
「……ミリオ、しんゆうを早く助ける」
正座中で涙目のナインの側で、ニコニコ笑顔の紅蓮からソッと目を逸らしつつ、わたしはスキル上げにまい進します。
「……ああ、しんゆう、しんゆうぅぅ!?」
「ほーれ、そんな事はいいからさっさと”私はもう魔法を考え無しに撃ちません”って100回言え!」
「……あうう、わ、私は魔法を、うぅぅっ」
そんなちょっとした事件を挟みつつも、何とか《神楽舞》のレベルが9になりました。
レベル9になって覚えたスキルは【吸精の舞】という物でした。
効果は、物理攻撃時に敵に与えたダメージの一部で自分のHPを回復する。 ただし、スキルや遠距離攻撃を除く。
という物でした。
「【エレメンタルキッス 】と同じ効果だな」
「ますます巫女の有用性が高まりますね」
これで5つの舞を覚えました。
では5つ同時に使ってみましょうか……
あれ? 4つまでしか表示されませんね。 最初に掛けたバフが消えました。
「まあ、5つとか壊れすぎか。 でも……」
紅蓮はそこまで言って、後を中つ月さんが引き取り話します。
「後は歌、踊りが乗るかどうか…… ですね」
「ふむぅ、シンガーかダンサーを連れてくるべきじゃったか」
そう言ってレーヴェさんはウィンドゥを操作していましたが、やがて首を横に振り。
「だめじゃな、うちの歌、ミルラもINしとらん」
「うちもINしてないんですよね」
中つ月さんもそう言って首を振ります。
ならこれで終わりですかね?
「落ちる時間までちとあるな。 もうちょっとだけ狩りしとくか? 中つ月さんはどうする?」
「私はそうですね。 この検証結果を帰って纏めたいと思います」
「そっか、ミリオどうする?」
うーんそうですね。 もうちょっと狩りしましょうか。
「狩りしていきましょうか」 「……参加する」
ナインがよろよろしながら立ち上がり、狩りに参加すると言ってきました。
「では、これをどうぞ」
そう言って中つ月さんが手渡してきたのは、もう見なれてしまったスキル経験値増加スクでした。
さすがに悪いと断ったのですが。
「いえいえ、実に有意義な時間を過ごさせていただいたお礼です。 いやーこんなに心躍ったのは久しぶりですよ。 ではまた」
そう言うや、中つ月さんは帰還スクを取りだし帰っていきました。
「まあ有り難く使わせてもらおうぜ」
まあ使わずに取っておくのもなんですし、そうしましょうか。
その後、正座のうっ憤を晴らすべく、ナインの魔法が炸裂しまくりました。
敵が可哀想な位に……
そして、それぞれが落ちる時間まで狩りをしました。
明けて次の日、占領戦まであと4日となりました。
それで、わたしはINしてすぐエリザベータに呼ばれて彼女の部屋に来ました。
「ごめんね、INしてすぐ」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
部屋に入ってすぐにエリザベータに謝られました。
それで話と言うのは、わたしに占領戦に出てみないか?と言う物でした。
「もちろん強制じゃないわよ? でもこれもこのゲームのコンテンツの一つだし、経験しておくのもいいと思うのよね」
ふむ、確かにそうかもしれませんね。 ただ……
「でもわたしのレベルだと厳しくないですか?」
わたしがそう尋ねると。
「まあね、でも今回は占領戦の空気を感じてみるって事と、あとは確定じゃないんだけど多分ミリオは陣地でバフ掛ける事が多くなると思うわ」
エリザベータによると、これは《神楽舞》の実戦での有効性の確認だと言う事でした。
「陣地には、しいなさんと紅蓮を付けるわ」
「大丈夫なんですかね? それって戦力的な意味で無駄になりませんかね?」
わたしの心配にエリザベータは問題ないと答えます。
「元々ヴァニティは陣地の防衛を依頼されてたのよ。 しいなさんは突入に向いてないしね」
うーんそう言う事なら……
「分かりました参加してみます」
わたしがそういうと、エリザベータは嬉しそうに微笑みます。
「ありがとう! ぜひ楽しんで欲しいわ」
後、ナインも参加のようです。




