48 紅蓮の必殺技
フォースリアから東にある湿地帯を抜けた所に、幻惑の廃棄場はあります。
廃棄場に行くためには、沼地にいるレドークゴブリン族長というエリアボスを倒す必要があります。
……はい、倒しました。
ここら辺はまああれですね、30~35前後の狩場と言う事であまり強くなかったというか紅蓮とレーヴェさんの無双状態だったというか。
それでレベルが31になったのですが。
「能力値が上がってませんね?」
「おん? あれ、言ってなかったか。 二次転するとステータスポイントってのが入って自分で上げるんだよ」
どうやら1レベルに付き1ポイント貰えそれで好きな能力値に振り分けられるらしいです。
しばらくは貯めて置いて、やりたいプレイにあった能力値に振り分けるのがこのゲームの基本らしいです。
という事で、幻惑の廃棄場に到着です。
ここは、昔滅びた王国が神獣を人工的に作れないか実験する施設だったらしいのですが、度重なる失敗に腹を立てた王様が失敗した生き物、このゲームでは魔獣と言います、をここに押し込んだそうです。 研究員ごと。
この王様は、後に神獣の怒りを買って国ごと亡ぶのだとか。
それらに関係した狩場が王都近郊にあるそうなので、いつか行ってみたいですね。
目的のナイトメアスパイダーは二階層にいると言う事で、まずはそこまでいきます。
一層目は地上の建物部分で、そこから地下に向かっていくのだそうです。
ボロボロになって開いている壁の穴を潜り抜け中へ。
一層目に出没するモンスターはリサーチャーゴースト、にスライムです。
リサーチャー、研究者ですかね? 一緒に閉じ込められて死んでしまった的なヤツでしょうか。
ゴーストもスライムも魔法に弱く、そしてトウカの聖炎魔術が弱点らしく簡単に倒せます。
さほど苦労もなく二層目に。
出てくるモンスターは先ほどのリサーチャーゴーストにナイトメアスパイダー、そしてそれよりも大きいブラックウィドウと言う蜘蛛のモンスターです。
……というかですね、ダメです。 あれはいけません。 蜘蛛はわりかし平気だと思ってたんですが、人間の腰くらいの大きさの蜘蛛はダメです。
という訳で今、わたしは逃げ回っている訳ですが。
「ミリオは蜘蛛平気だと思ってたんだがなあ」
紅蓮が頭を掻きながらそう言います。
ええ、わたしもそう思ってた時期がありましたよ!
「きゅん!」 「にゃうう!」
トウカ達が必死にわたしに蜘蛛を近づけないようにしてくれています。
ありがとうっ! 後でいっぱいモフモフしてあげますからねっ!
しかしそれが油断に繋がったのか、今まで一応リンクには気を付けていたのですが、ナイトメアスパイダーの集団を引っかけてしまいました。
「うひゃううううううぅ!?」
ダメです。 ワシャワシャした足がこっちに向かってきます!?
「あー、しょうがないな。 ミリオ! 今助けるから動くなよっ!」
紅蓮はそう言って高く跳躍しました。
そして高らかに叫びます。
「喰らえっ必殺っ! オレはミリオが大好きだ斬っ!!」
紅蓮はその炎を噴き上げる剣を着地ざまに床に突き立てると、その剣を中心に炎が波紋のように広がり蜘蛛達を巻き込み消し炭にしていきます。
……ジーーーーッ
「いやあ危なかったな!」
……ジーーーーーッ
「ちょっとは感謝してくれよ?」
……ジジーーーーーーーッ
「あ、いやその」
「……さっきなんですって?」
我ながら、地の底から響くような声で尋ねます。
「さっきの? ああ! 必殺技な、かっこいいだろ?」
「だ・れ・が・大好きだ、ですって?」
「ミ・リ・オ!」
ふう……
「そんな必殺技ある訳ないでしょう! どうせ今思い付いたんでしょう!?」
思わず叫ぶと紅蓮は慌てたように。
「いや、そんな事はないぞっ! 他にも社会の田辺はヅラ竹割って技もある」
そんなわたし達を見ていたレーヴェさんが呆れたように言います。
「何言っとるのじゃ、あれはただの戦士系の攻撃スキル【ソードクエイク】じゃろが」
そのレーヴェさんのツッコミに紅蓮はなおも言い募ります。
「いや違うぞ! オレのは炎の追加効果があったろ! クエイクにはないっ!」
「そりゃお主の剣、爆炎剣の効果じゃろが」
レーヴェさんはヤレヤレといったように首を振ります。
まあなんにせよ。
「紅蓮ごめんなさいは?」
底冷えするような声が廃棄場の部屋に響きます。
「はいすいません。 嘘つきました」
「よろしい」
全く、取りあえず今のでアイテムはそろったので帰還しますよ。
そして、お城でまするに頼んでおいたオリハルコンを受け取り、王都へ飛びます。
これでクエスト終わるんですかね?
あれー? 今回でクエ終わるはずだったのにな。




