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37 街でお買い物

「ほれっ! 余ってた【上級料理】のスキルブックだよ!」


そう言って渡されたのは、クリスタさんの言う通り【上級料理】のスキルブックで……

わたしが戸惑っていると、クリスタさんは。


「これなら最初からバフ付き料理が作れるからね! これ…… あいたっ!? 誰だいっ! って、あ……」


話の途中で悲鳴を上げ、後ろを振り向いたクリスタさんの後ろにはエリザベータが立っていました。

その手に金色のハリセンを持って。 ん? ハリセン?


「まったくっ! 新人に過剰な装備やアイテムを渡さないって決めてたでしょ! 上級スキルブックなんて今のミリオに買えっこないのにそれを渡そうとするなんて……」


エリザベータは手に持ったハリセンを軽く素振りしつつ説教を始めます。


「い、いやー悪い悪い、つい同じ料理好きとして、こう、ねっ! 大体、ウチのクランに料理が好きなヤツが少ないのが悪いっ! そもそも材料を入れてハイデキマシターとかいう自動調理器がそもそも…… しまいには冷蔵庫と一体型なんぞが出だしてからは余計に……」


いきなりヒートアップするクリスタさんに、エリザベータはしまったという顔をした。


「いけない、コイツの地雷ふんじゃったわ」


そしてクリスタさんを見て手にあるハリセンを見て……


「そいやっ!!」


容赦なくそのハリセンをクリスタさんの頭に叩き付けました。


「あいたっ!?」


クリスタさんはエリザベータには恨めしそうにしながらも、わたしには謝りその上級スキルブックを仕舞いました。


「全く、そもそもそのスキルブック余ってたじゃなくて布教用に持ってた…… でしょう?」


「あははー」


クリスタさんは、また叩かれたくないのか笑ってごまかす事にしたようです。

というか。


「あれ? エリザベータは最初からいたんですか?」


クリスタさんの余ってた発言を知っていたという事はそうなりますよね?


「んー、コイツが食堂に向かって走っていくから何事かと思ってね」


と、エリザベータは呆れ顔でクリスタさんを見やります。

クリスタさんはそんなエリザベータから距離を取りつつ。


「でもさ、料理をしたいってミリオの気持ちはくんでやりたいじゃない?」


「まあそうだけど。 やりようって物が…… まあいいわ。 ミリオ今お金ゴルド幾らくらい持ってる?」


むむ、お金ですか。


「えーと、20万ちょっとくらいですかね?」


それを聞いたエリザベータは思案します。


「200kか。 よしスキルブック買いにいくわよ!」


おお! そういえばスキルブック買うの初めてですね。

わたしは喜んでエリザベータについていくのでした。




ゲートを潜り抜けセカンドットの街へ。

そういえば立ちよったくらいで、あまりこの街を歩いてませんね。

スキルブックが使用出来るのは一次転以上からなので、当然それを売っている店はセカンドット以降の街になります。

セカンドットからお店の種類が増える訳ですね。

それがスキル屋です。

NPC,住人は前にも言ったと思いますが、ヒューマリオンによる管理によって人間とそん色ない行動をします。 が、そこはゲームなのでシステマティックな対応も出来ます。

まあ人によって対応を変えるとも言えますが。

エリザベータはあまりなりきりプレイなんかは得意じゃないという事で、必要最低限の対応で買い物などをするようです。


「まあミリオがやりたいならいいのよ? 別に他人がする事を否定する気はないし、見るのもイヤダーなんてアホな事は思ってないしね」


好みなんて本来、自分の中で完結しているものですしね。

人に言われてそこから変化はするけど、決してその”他人の好みその物”になる事はないんですよね。

わたしも今の所、住人と楽しく交流する気分でもないのでウィンドゥに従いスキルブックを買います。

お値段は150k……

所持金のほとんどが吹き飛びましたがトウカ達のためです。 涙なんか出てませんよ?


わたしの住民への対応ですが、今はやる事、覚える事が多いので、手すきになったらそういうプレイもいいかもしれません。

まあシャナ達と過ごす方が先決ですが。

ん? シャナ達もNPCだから交流してる事になるんですかね?

トウカのお腹をワシャりながら、ちょっとだけ考えましたがまあいいか。

あ、クリシュナ、忘れてた訳じゃないので足を踏まないでください。

ツンッとそっぽを向くクリシュナを抱き上げトウカと一緒にワシャワシャ。


「きゅーーん♪」 「にゃ ……ゴロゴロ♪」 


『ふふ、みんな仲良しだねぇ~♪』


頭の上のシャナが、ニコニコとトウカ達を見ています。


「本当に楽しそうにしてるよねミリオは。 ゲームを楽しんでくれてるようでちょっと嬉しいかも」


エリザベータは、そんなわたし達を見て面白そうに言います。

実は、クランのメンバーは濃い人が多いため気後れしてるんじゃないかと心配していたそうです。

でもトウカ達とのふれあいなんかを見て心配ないと思ったようです。

うーむ、エリザベータは結構気配り屋なんですかね。 クランを纏めてるんだから当たり前でしょうか。


「そうですね。 わたしもここまでハマるとは思いませんでした」


さて! 戻ったら料理をしてみましょう。

食材をいくつか購入し、わたし達はお城へと戻りました。



ツッコミ神のハリセン:オープンβ時のイベント、”寒いギャグを言う悪霊を退治せよ”に登場したジョークアイテム。 叩いてもダメージは出ず、その代わり必ず「あいたっ!?」という。

クリア時のスコアに応じて金、銀、銅のハリセンを貰える。

売買不可、譲渡不可、廃棄不可、分解不可、倉庫に放り込むしかない呪いのアイテムとも呼ばれる。

一時期、これの使用スキルを覚えられれば新しい職になれるんでは? というデマが流れた。


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