3 キャラを作ってみよう 2
『では職業ですが、朝霧様は【魔獣使い(ビーストテイマー)】をご希望でしたね?』
「はい、そうです」
そう、わたしはそのためにこのゲームを選んだのですから。
ちょっとドキドキしながらそう言うとシス子さんは、ニコリと微笑んで説明してくれました。
『ではまず初期職業に【獣使い(テイマー】を選択してください。 テイマーが基本職でビーストテイマーが上級職になります。』
なるほど、PVに出てたビーストテイマーは上級職だったんですね。
わたしは思考制御で出て来たカーソルを動かしテイマーを選択します。
『はい結構です。 次にスキルの選択になりますが、説明は必要でしょうか?』
シス子さんの説明によると、プレイヤーの初期スキルは5つ選べるという事です。 その内の一つは職業専門スキル、戦士なら武器スキルと呼ばれるスキル、たとえば《剣》スキルとか《槍》スキルなどを最低一つは選ぶ事。魔法使いなら魔法スキル、テイマーなら《使役》スキルになるそうです。
ふむ…… ではこう、ですかね?
まず、《使役》は当然取るとして、あとは《魔法(無)》と《魔力操作》。
後は《杖術》もあった方がいいのかな? ふむふむ。
ほかには…… 生産にある《薬学》かな?
わたしは試行錯誤を繰り返し、やっとこの5つを選び終えました。
ちなみに《魔法(無)》とは属性のない魔法全般が使える魔法で、魔法使い系以外が最初に覚えれる唯一のスキルだそうです。
《魔力操作》は魔法と、なんとテイムスキル《使役》にも影響するらしいので取りました。
《杖術》は魔力が少し上がったり、一応攻撃にも使えるスキルで魔法使い系必須スキルとの事。
《薬学》は、ポーションという傷を治す薬なんかを作れたりするらしいので持ってて損はないかなと。
『次に朝霧様がゲーム内で使用するアバターの作成になります。』
シス子さんがそう言うと、わたしの目の前にマネキン?のようなものが現れました。
そのマネキンの周りにはウィンドゥ
が幾つか浮かんでいます。
そのウィンドゥにはいろいろなパラメータが表示されていました。
それをシス子さんの指示にしたがい色々といじってみましたがどうもしっくりこないですね。
そのことをシス子さんに伝えると。
『では朝霧様の身体データを参考なさいますか?』
と聞かれました。 どうも最初の起動時に、わたしの身体の外見データをスキャンして登録しているらしいですね。
それはゲームで使用する目的の他にも本人認証などにも使用するデータだそうです。
ふむう……
「じゃあお願いできますか?」
『了解しました。 ……データコンバート完了しました。 確認をお願いします。』
すると目の前には、さっきリセットしてマネキン状態に戻っていたものがリアルでのわたしの姿になっていました。
……レオタードみたいな服を着た状態で。
「うひゃあううぅぅぅ!?!?」
わたしはあわててその身体を手や体を使って隠そうとしましたがすり抜けて転んでしまいました(泣)
『だ、大丈夫ですか?』
シス子さんがそういってわたしの手を掴んで起こしてくれました。
ご迷惑をおかけします。
うう、恥ずかしい。 わたしは急いでOKボタンを(思念操作で)押し、アバターを消しました。
『よろしかったのですか?』
シス子さんが心配そうに聞いてますがいいのです。
『はあ…… それでは最後にラグナスフィアで使用するアバターネームを決定してください。』
シス子さんが大丈夫かなぁ、などと呟いてますが、はずかしいよりはましです!
後になって知りましたが、こういうゲームの場合リアルのデータをそのまま使用するのはプライバシーの面で色々まずいらしいのですが、この時のわたしはそんな事もわからずただ恥ずかしいとしか考えてませんでした。
その事に気付き、またシス子さんの有能さを知るのはもうちょっと後の事です。
さて名前ですか。 うーんたしかリアルでの名前は推奨しないんでしたっけ?
操…… サオ、違いますね。 ミオ…… かな、あまり元の名前から離れてても覚えきれないかもしれませんし?
「ではミオでお願いします」
『……ミオ、でよろしいですか? アドバイスさせていただきますと、前後や間に一文字くらい入れる方がよいかと思います。』
むむ、なるほどですね。
なら……
「ミリオ、ですかね」
『ミリオ。 でよろしいですね? 登録いたしました。 キャラクターの全ての作成行程の終了を確認しました。 問題なければこれよりゲームを開始いたしますがいかがいたしますか?』
いよいよですね。
もちろんわたしは頷く。
「はい、お願いします」
『ではゲームを開始いたします。 ゲーム開始後にチュートリアルが開始されますが、必要なければ選択にて飛ばすことも可能です。 それではよいゲームライフを。』
シス子さんがそう言うと周りが輝き出しました。
見たこともない文字が周りを飛び交い、それぞれもまた輝く。
その文字は、わたしの周りをグルグルと回るとしばらくして視界を閃光がはじけました。
不思議と目が痛くもないその光が消えるとわたしは草原に立っていました。