35 嵐山さんは不器用
次の日、学校にて嵐山さんに昨日の内に無事に掲示板に書き込みが出来たことを伝えられました。
今日INしてハインドさんがいたらちゃんとお礼を言わないとですね。
わたしの情報を出さずになんて結構無茶な事言った自覚あります。
「まあそこの所はあの方も慣れていらっしゃるでしょうし、お気になさらずに」
そうたおやかに話す嵐山さんにわたしは。
「それでも、ですよ。 お礼は大事ですよ」
と言うと、ニコリと本当にそうですねと笑いました。
「そういえば、嵐山ではなんですし、乙女、でいいですわよ?」
突然に、何の脈絡もなく名前で呼べと言ってきた嵐山さん。
なんだか可笑しくなりましたが、ここは笑う所ではないので、それよりも。
「では、わたしの事も操でお願いします」
そう伝えると、乙女は嬉しそうに。
「よろしくですわ。 操」
そう言うのでした。
それから、清美がわたし達の関係を更に不信に思いだしてきたので乙女と相談してある程度は関係を教えておいた方がいいですね。
清美は別に悪い子じゃないので大丈夫でしょう。
後は問題も起きず帰宅します。
諸々を済ませINしましょう。
INしたわたしにトウカ達が飛びついてきます。
『ミリオやっほい!』 「きゅきゅーん」 「にゃう」
本当に可愛いですね! この子達や紅蓮達に逢えた事がこのゲームをやって一番嬉しい事ですね。
そうしてモフモフしていると、わたしの前にウィンドゥがポップアップしました。
内容は、占領戦登録まで残り2日です。 という事でした。
そういえば昨日もありましたね、この通知。
占領戦については聞いています。
どうやら今回ヴァニティは戦闘はないようです。
明日までに登録されていないと、戦闘自体が始まらないようなのです。
まあ戦争系は二次転職後でないと参加できないらしいのでしばらく関係ないですね。
一応説明しますと、一次転職がLv10から。 二次転職がLv30からで、三次転職が50から転職可能だそうです。
また、二次転職からは専用の転職クエストという物があり、それをクリアして初めて転職が可能になるそうです。
さらにモフモフを続けているとクランが賑やかになってきます。
”エリザベータ:こんよー”
”紅蓮:こんー”
”リナリー:こんこん”
”しょーいち:こんばんわ”
”ひぎつね:こんこーーーーん!”
おや? 初めましての人ですね。
”エリザベータ:ひーふぉさんおひさ!”
”ひぎつね:ひさひさやっほい! やっと仕事片付いたよ”
”エリザベータ:丁度いいわ。 皆食堂に集合!”
クラチャで言われた通り食堂に向かいましょう。
途中、紅蓮とリナリーに遭遇したので揃って向かいます。
「おふくろさん仕事忙しかったらしいねぇ」
「2週間ぶりか?」
おふくろさんと言うのはひぎつねさんの事らしいです。
どんな人かは会ってからのお楽しみと言われたので、まあ楽しみにしましょう。
食堂に入ってまず目に飛び込んできたのは、三角巾と割烹着を着た女性でした。
それ以外に目を引くのは三角の耳、キツネ耳でしょうか? に大きなキツネのモフモフ尻尾でした。
「キミが新人ちゃんだね? 初めまして! 私がひぎつね。 職は長弓使いの【ホワイトフェザー】だよ」
そう言って握手を求めてくるのはちょっと大人びた美人のお姉さんでした。
「ひーふぉはねえ、千里一矢の二つ名があるのよ」
そのひぎつねさんの肩に寄りかかり説明してくるのはエリザベータでした。
「あはは。 その恥ずかしい二つ名はかんべんだよ」
「ならおふくろさんだね!」
すかさずリナリーがひぎつねさんに言います。
まあ、見てるとおふくろさんと言いたい気持ちも分かりますね。
見た目は20代に見えますけど。
去年流行ったドラマの主人公がそんな恰好をしてたはずです。
タイトルもずばり「おふくろさん」でしたし。
「まあそっちのがいいかなぁ」
と、ひぎつねさんは苦笑しています。
無事トウカ達との挨拶も済ませ、顔合わせは終了しました。
また集まったら顔合わせは行うとの事。 助かります。
「さて、後は占領戦の話しでもしようかしら?」
むむ、占領戦ですか、わたしはおじゃまですかね?
「ん? あー、そうだな。 邪魔ってかミリオが暇になるだろうから好きにしてていいぞ?」
と紅蓮に言われたので遠慮なく退室し、そうですね薬学上げましょうか。
「行きますよー」
「きゅーん」 「にゃう」 『は~い♪』
皆を引き連れ生産施設へ。
眠るまでの間せっせと薬を作り、なんとか薬学が10まで上りました。 あと5ですね。
時間を確認してもういい時間なのでクラチャで就寝の挨拶をしてログアウト。
ではおやすみなさい。
【ホワイトフェザー】【アーバレスタ】からの派生で長弓スキルと狙撃スキルが高レベルである事で転職できる。 高難易度のクエをクリアする必要があるが。
元ネタはベトナム戦争で活躍したアメリカの軍人。 カルロス・ハスコックの異名から。
映画「山猫は眠らない」の主人公のモデルにもなっている有名な狙撃手。
一撃必殺を浸透させた人であるという逸話もある。
異名の由来は、愛用の迷彩用帽子に目印として白い羽を付けていたため。
白い羽は臆病者の証として知られ、「狙撃手は臆病かつ慎重たれ」という彼の皮肉によるものだそうです。




