24 調薬室とモフモフと
高級車に乗って帰って来た娘に大変驚いた様子のお母さんでしたが、詳しくは聞かずに嵐山さんに丁寧に挨拶をしてお礼を言っていました。
もちろん、わたしも降りる際お礼をしましたよ。
嵐山さんの家はわたしの家からさらに先にあるらしく、住所を聞いてみると意外と近かった、ついでの様な物だからと言っていましたね。
そうしてお昼ご飯も食べた後は、そうゲームです…… なんかダメ人間になったような気がしますがまあいいでしょう。
VRギアを被り、さあフロプスです。
INした所はやはりお城内のわたしの部屋ですね。
クラメンのIN情報を見ると、まだ誰もと言うか知っている人はINしてないようですね。
ではどうしましょうか?
一応クラチャでINの挨拶を交わし、向こうからも挨拶が返って来たので受け入れてはもらっているようですね。
そうして、わたしは飛びついてきた二人を構いながらしばし考えます。
新しくかわいい子を探しにいくか、わたしはステータスを確認し、そういえば薬学が上がってない事を思い出します。
「シャナ、薬学上げるには生産しかないの?」
私はトウカの背中の上でくつろぐシャナに聞いてみました。
『基本そうだね~ なに薬学上げるの?』
「そうしようかなって」
わたしの肩に飛んでくるシャナにそう答えると、シャナが提案してきます。
『じゃあ、この城の中にある生産施設見に行こうよ!』
そういえばお城には生産施設があるんでした。
「そうしよっか? トウカも来る?」
「きゅーーん!」
トウカも来るようで、わたしの腕の中に飛び込んできました。
『よーし、探検だ~!』
「きゅんきゅーーん!」
かわいい二人を装備していざ探検ですよ。
始めて来たときも思いましたが、この城はとても広いです。
あちこち見て回るだけでも楽しいですが、時間がいくらあっても足りなさそうですね。
適当な所で生産施設へ向かいましょう。
城内各所にあるエレベーターぽい物、これはなんと言ったらいいんでしょうか、大きなお盆?のような物が上下に移動しています。
それに乗って一階下の生産施設へ。
えーと……
やはりここも大変広く、迷ってしまいそうです。
「おう? ミリオか、こんじゃぞい」
声のした方を振り向けば、まさかりまっするが立ち並ぶドアの一つから出てくる所でした。
「こんです」
『こんまっす~!』
「きゅーん」
「おお、二人共元気じゃのう」
さっき見た時はINしてなかったので、今INしたんでしょうかね?
聞いてみると先ほどはお昼休憩だったようです。
「そんでミリオはここに見学にでも来たのかの?」
「あっ、それなんですが。 薬学を上げようかと思ってて」
わたしがそう言うと、まっするはそう言う事かと頷き、調薬室へと案内してくれました。
「調薬室は三つあっての、二つは埋まっておる。 残りの一つを使うがええ」
それは有り難いですね。 案内された部屋のドアを開け中に入ります。
そこは街にあった生産施設の部屋よりも大きく、また機材が増えていました。
「機材と素材は好きに使えばええよ。 ……さてエリーに薬室増やして貰っとこうかの」
こういった部屋なんかは、余裕を持って用意するのがまっするの考えらしいですね。
鍛冶に戻るというまっすると別れ、早速薬学を上げましょうか。
「きゅーーーん」
「ほーらトウカ、モフモフだねー」
わしゃわしゃ、なでなで、はふはふ……
はっ!?
あれ? 気付いたら2時間ほどが過ぎていました。
たしか…… 1時間ほどは調薬に励んでて、そうしたらトウカとシャナが飽き出してシャナはお眠になったんですが、トウカが構ってアピールを始めそして……
薬学はいちおう5まで上がっていますね。
つまりセーフ、ですね。
「アウトじゃないかなぁ」
振り向くと、ドアに寄りかかって呆れた目でわたしを見る紅蓮がいました。
もしかして見られてたんでしょうか。 は、恥ずかしい……
「きゅー? きゅんきゅん!」
お腹を見せた状態でひっくり返っているトウカがもうしないの? という目で見てきます。
か、顔をうずめねば!
あ、いえ分かっていますよ。 紅蓮さんそんな目で見ないでください。
トウカを抱き上げ、なでなで。
それに気を良くしたのかわたしの頬をペロペロ舐めてきます。
ああ、かわいいですね。
「なんかミリオって可愛いものが相手だと印象変わるよな」
紅蓮が可笑しそうにそう言います。
そうですかね? わたしは何時もと変わらないと思いますが。
「いやー? 普段はちょとクールな感じがするけど、今はククッ」
えー? そうですかねえ。 クールとか考えた事もないんですが。
まあそれはいいとして、夕飯まで薬学を上げてその後狩りでもいこうと言う事になりました。
その間、薬学に専念出来るよう紅蓮がトウカとシャナの相手をしてくれるようです。
……あれ? これってただ紅蓮がトウカ達と遊びたいだけなんじゃ?




